ドッペルゲンガー殺人の顛末
〇〇県〇〇市某所。
「やってしまったぁっ」
ドッペルゲンガーの能力を持つアリスは酒によった勢いで、分身の自分を刺して殺してしまった。
分身の自分は血をだらだらと流しながら倒れている。
救急車が来たが脈は止まり、瞳孔は開き、心肺はもちろん停止していた。
次にパトカーが来て現場検証が始まった。「死亡したのは羽住アリスさん21歳女性。現行犯で住所不定無職現場に居合わせた第一発見者を現行犯で逮捕します」
「あのー、あたしも羽住アリスなのですが……」
「あなたには黙秘権があります」
「聞けよっ!!」
アリスは近くの警察署に来た。カツ丼は出た。
「パクパクっ」
カツ丼を食べるアリス。
「さっそくだが、名前を教えてもらおうか」
「アリスです。羽住アリス」
「殺された羽住アリスさんと同姓同名だということですね」
「はい、っていうか殺されたのはあたしなのでは?」
「あなたは羽住アリスさんを殺してしまった。理由を教えてもらえるかな?」
「理由ですか、あっちのあたしがスマホを使っていてあたしにも使わせてっていって使わせてくれなかったので刺しました。説明が面倒だったので救急車は呼びませんでした。気づいたら冷たくなったので救急車を呼びました」
「では、あなたは羽住アリスさんを殺したことを認めるということですね?」
「あのっ、あたしが羽住アリスなのですが……」
「あなたは殺したことを認めるということですね?」
「ロボットかなこの人?」
アリスは警察署で過ごすことになり、女性であるため一般の牢屋とは別の牢屋で過ごすことになる。
判決は懲役30年。実刑だった。たまに外に分身を作って遊ぶ以外は基本は刑務所で刑に服する以外は特にやることはない。
外で捕まると脱獄したということで逃亡の罪で刑期が増えた。
脱獄を何度も試みたため、あたしのためだけに新しい刑務所が建った。テレパスであたし同士でコミュニケーションをとると、800名ほど刑務所にはあたしがいるらしい。
むむむっ。
何かがおかしい気がする。一年間刑務所で過ごしているが、刑期が伸びているため懲役は40年になっていた。
自分殺しで捕まって、別の自分の逃亡の罪で刑期が伸びている。
もうどうにでもなれー
と逃亡し適当な家で現金を盗んで確保し、変装して各県に潜むことにした。警察に怯えながら、指名手配で顔バレしつつここ数ヶ月は平穏な暮らしをしている。
もちろん、アリスはアリス全体を統率できるわけもなく800名の羽住アリスのうち何人かは脱獄し、その度に捕まり、刑務所にいる人数は1200名、1500名と増えていった。
全員に匿名で現金書留が届き、生理用品など生活物資を確保できた。
終わり。