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シティーガールハンター2  作者: 椎家 友妻
第一話 新しい生活と狩人の相棒
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8 園真会長、バクバク食べる

 「残念ながら、彼女は高校で部活には入らないわ。

学校が終わったら、探偵事務所での仕事があるからね」

 その人物は園真会長で、ちゃっかり由奈ちゃんの卵焼きをひとつつまんで口に運んでいる。

 「あら、この卵焼きおいしいわね。ちょっと詩琴、あなたもこれくらい作れるようになりなさいよ」

 「う・・・・・・れ、練習します。っていうかいきなり現れて何なんですかっ!

ちゃっかり由奈ちゃんのお弁当をつまみ食いしてるし!」

 「人聞きの悪い事を言わないで頂戴(ちょうだい)。私はつまみ食いをしてるんじゃなくて、堂々と食事をしているのよ!」

 「そんな堂々と言う事じゃないでしょ!」

 私が園真会長にツッコミを入れていると、由奈ちゃんは私の肩をポンと叩いて言った。

 「まあまあ、お弁当は沢山あるし、大勢で食べた方が楽しくていいじゃない。

それより園真会長、探偵事務所での仕事って、

しぃちゃんもそのお仕事のお手伝いをするって事ですか?」

 「そうよ」

 タコさんウインナーをほおばりながら答える園真会長(本当に堂々と食事してるなこの人)に、

由奈ちゃんは心配そうな顔で私に目配せをしてこう続ける。

 「あの、そのお仕事って、この前私を助けてもらった時みたいな、危ない事もするんですか?」

 すると園真会長は由奈ちゃんの顔をじっと見詰め・・・・・・

今度は(にわとり)のから揚げを口に放り込んで言った。

 「このから揚げも家で作ったの?なかなかいけるわよ。あなた、料理のセンスがあるわね」

この人本当に食べる事優先だな!

それに対して由奈ちゃん。

 「いえ、これは私のお母さんが作ったんです。揚げ物はまだまだ練習中で」

 由奈ちゃんもちゃんと答えなくていいよ!

そんな中両手におにぎりを持ってそれを交互に口に運ぶ綾芽が、

口の周りにご飯粒をまき散らしながら言った。

 「大丈夫ですよ由奈さんモグモグ!

しぃちゃんはあくまで助手なんで、あんな危ない仕事を手伝ったりはしませんパクパク!

そういうのは私の担当ですからモシャモシャ!」

 だから食うか喋るかどっちかにしろっての!

心の中で私がツッコミを入れる中、由奈ちゃんは()に落ちない様子でこう続けた。

 「でもそれじゃあ、綾芽ちゃんも危ない仕事をしてるって事でしょう?

大けがするかもしれないし、下手をすれば命にかかわる事だって・・・・・・」

 「ま、それが仕事だからね。」

 園真会長の答えはにべもない。それを引き継いで綾芽が言った。

 「そうです。それに私はそうやすやすと敵にやられたりしないし、

しぃちゃんを危ない目にあわせたりもしません!だから安心してください!」

 「で、でも・・・・・・」

 と言葉を続けようとする由奈ちゃんに、園真会長は冷たい口調で言い放った。

 「これは仕方のない事なの。詩琴は私に莫大(ばくだい)な額の借金があるからね。

それを全額返済しない事には、彼女は自由の身になれないのよ」

 そして園真会長はその絹のように(つや)のある長い銀髪をフワリとひるがえし、

校舎の入り口へ戻って行き、最後に一言こう付け加えた。

 「お弁当、おいしかったわよ。明日もまた来るわね」

 って明日も来る気かい!

あの人学校の中では(化けの皮をかぶっているが(ゆえ)に)凄い人気者なのに、

一緒にお弁当を食べる友達とか居ないのかしら?

まあ、ちゃんとした友達は居そうにないか・・・・・・。



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