4 朝は大体こんな感じ
結局その後警察を呼び、男は警察に連れて行かれた。
その時やって来た中年の男の刑事さんは况乃さんの知り合いらしく、少し困ったような顔でこう言っていた。
「園真さん、あんまり派手な事はせんでくださいよ。
私もフォローできる範囲には限界がありますからね」
「もちろん、分かっているわよ」
園真会長はそっけなくそう答えていたけど、あの刑事さんは昔からの知り合いなんだろうか?
しかもあの様子だと、今までにも色々と迷惑をかけているんだろう。
あの人も散々園真会長に振り回されているに違いない。
そしてこれからは私も、そういう事に巻き込まれていくんだろうなぁ・・・・・・。
そう思うと、朝からどっと疲れが押し寄せてくる私なのだった。
まあ、園真探偵事務所に住むようになってからの私の朝は大体こんな感じだ。
毎日綾芽が潰した組織の生き残りが殴りこんでくる訳ではないけど、
早朝の新聞配達と、園真会長を命がけでベッドから起こすのと、
本当にささいな事でケンカする綾芽と園真会長の仲裁をしながらの朝食が、私の朝の日課である。
できればもっと普通に起きて普通に朝ごはんを食べて普通に学校に行ければそれでいいのだけど、
ここでの生活はそんな普通の願いを叶えてくれるような環境ではなかった。
かと言って両親に見捨てられ、住む家も失った私に帰る所はないし、逃げる場所もない。
この状況を受け入れて、たくましく生きていく他に道はないのだ。
はぁ・・・・・・とりあえず学校に行こう。