1 決戦の地へ
日は過ぎて、殺人予告の木曜の夕方になった。
現在四時五十分。
今回は潟奈ちゃんの方からこちらにやって来る事になっていたけど、
天下の往来で綾芽とドンパチ始められても困るので、
結局この前と同じ丸山第三ビルへとやって来た。
この前と違うのは、潟奈ちゃんのターゲットである柊さんもこの場に居る事。
どうしてもこの戦いを見届けたいという彼女の強い希望から、結局同行してもらう事になった。
おそらくこの様子を、殺しの依頼主である信濃根さんも、どこかで見ているに違いない。
この戦いで、綾芽は潟奈ちゃんを退ける事ができるだろうか?
この前公園で潟奈ちゃんの相談に乗った私は、妙な具合に潟奈ちゃんを元気づけてしまった。
これが凶と出なければいいんだけど・・・・・・。
私は屋上へ上がるエレベーターの中で、ひたすらそう願っていた。
そんな中園真会長が、柊さんに念を押すように言った。
「一緒に来たのはこの際仕方ないけど、
くれぐれも自分で自分の命を危険にさらすような真似はしないでちょうだいね。
私達はあなたのボディーガードが仕事だけど、自分から死のうとする人は守れないから」
「わかっています。絶対にみなさんのお邪魔になるような事はしません」
柊さんは力強くうなずき、キッパリと言った。
一方の綾芽はビン底メガネもお下げ髪も取り外した戦闘モードになっており、
大きく見開いた瞳の中に、火傷をしそうな程の闘志をたぎらせていた。
まあ、普段はオバカな綾芽だけど、この子なら真の殺し屋として覚醒した潟奈ちゃんとも、
互角に渡り合えるよね?
綾芽の背後で見ている事しかできない私には、今はそう祈る事しかできない。
とにかく綾芽に潟奈ちゃんをやっつけてもらって、潟奈ちゃんを殺し屋の道から抜けさせて、
信濃根さんを反省させて、柊さんと仲直りをさせる。
これが私の願う最高のハッピーエンドプランだ。
これが叶うなら、私だって少々危ない橋でも渡る覚悟はある。
とにかく、自分にできる事をやろう。
そしてエレベーターは屋上にたどりつき、ゆっくりとそのドアが開いた。
すると屋上の中央に、私たちを待ち構えるように彼女が仁王立ちで立っていた。
そう、桐咲潟奈が。




