3 会長は黒幕より悪党
そんな彼女の後姿を眺めながら、私は園真会長に尋ねる。
「これで、よかったんですか?
彼女が殺しの黒幕だってわかったんだから、
何としてでも依頼を取り消させるべきじゃなかったんですか?」
それに対して園真会長は、不敵な笑みを浮かべてこう返す。
「だって、それじゃあおもしろくないでしょう?
ああいうタイプは自分がやらかした事をまざまざと見せつけてあげなきゃ、何も学ばないわよ」
「だって、潟奈ちゃんはまた柊さんを狙いに来るんですよ?そこで柊さんの身に何かあったら・・・・・・」
「瞬きの潟奈は殺しの処女なんでしょう?そんなハンパな殺し屋相手に、綾芽は負けないわよ」
「そう、かもしれませんけど・・・・・・」
ちなみにこの前の公園での出来事は、誰にも言い出せずにいた。
私のせいで潟奈ちゃんが、殺し屋として腹をくくったかもしれないとは、とても言えなかったのだ。
何だか、本当に後戻りはできないところまで来てしまった気がする。
どうしてこうなってしまったのか?
最初のキッカケは、与田君が柊さんに片思いをした事だ。
それにやきもちを焼いた信濃根さんが殺し屋である潟奈ちゃんに依頼をして、柊さんを殺す事を計画した。
じゃあやっぱりこの事件の一番の黒幕は信濃根さんで、
彼女を止める他に、この事件を無事に解決する方法はないんじゃないの?
私が真剣にそう考えていると、園真会長は至って軽い口調でこう言った。
「ねぇ、この事件ってさ、与田君って男子を殺しちゃうのが一番手っ取り早いと思わない?
そうすれば柊さんは誰にも恨みを買わなくて済むし、
あの信濃根って子も、いちいち柊さんを恨まなくて済む訳でしょう?」
「え、あの・・・・・・」
その、身も凍るような園真会長の言葉に、私が声を詰まらせていると、
園真会長はよそ行きの完璧な笑みを浮かべながらこう続けた。
「やぁね、冗談よ、冗談♪」
それが本当に冗談なのかどうなのかはさておき、
園真会長の方が信濃根さんなんかよりよっぽど悪党だという事は、骨身に染みて感じたのだった・・・・・・。




