表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シティーガールハンター2  作者: 椎家 友妻
第四話 殺し屋の弱点と人生相談
26/37

2 公園でハラキリ

 そして翌朝、私はいつもの日課の新聞配達に(はげ)んでいた。

探偵事務所の仕事があるとはいえ、アルバイトの方もおろそかにはできない。

(かせ)げるところで少しでも稼がないと、莫大(ばくだい)な借金はとても返せないのだ。

 ああ、十五の身空でなんてかわいそうな私・・・・・・。

 まあ、そんな事を(なげ)いたところで誰も助けてくれないから、結局自分が頑張るしかないんだけどね。

それにしても潟奈(・・)ちゃん(・・・)(勝手に親しみを込めて呼んでみる)はまた襲ってくるんだろうか?

人殺しをした事がないなら、そんな物騒な仕事やめて、

もっとまともな仕事をすればいいのに(私もそうだが)。

あの真面目そうな性格と器量のよさなら、どんな仕事でもできそうな気がするけど?

そもそも家庭の事情はどうなっているんだろう?

私みたいに訳ありなんだろうか?

だから殺し屋なんて危ない稼業に手を染める事になったの?

 ああ、こんな事を考え出すと、直接彼女と会って色々と聞いてみたくなってきた。

でも今彼女と遭遇(そうぐう)したら、彼女は私が柊さんだと思い込んでいるから、また私の命を狙ってくる訳よね?

ああもう、どうすればいいの?

 そんな事をモンモンと考えながら公園の前に差し掛かった、その時だった。

公園の砂場の所に人影があるのに気が付き、私は思わず足を止めた。

その人物とは何と潟奈ちゃんで、今日は白鳥学園の制服ではなく、真白な無地の着物を身につけている。

 な、何であの子はこんな早朝に、しかもあんな恰好で公園に居るの?

 そう思った私は思わず近くの木の陰に隠れ、彼女の様子を観察した。

彼女はひどく思いつめたような顔をしていて、砂場の上に正座をすると、

おもむろに左手に持っていた(さや)から愛刀の(またたき)を抜いた。

そして(ふところ)から白い布を取り出して刀身の真ん中あたりを包んで両手に持ち、

切っ先を自分のお腹に向けたではないか。

 あ、あれってまさか、せ、切腹⁉

もしかしてあの子、今ここで切腹しようとしてるの⁉

 そう悟った私は後先考えずに潟奈ちゃんの方に向かって駆け出し、声を荒げた。

 「ちょ、ちょっと何してんのよ⁉バカな真似はやめて!すぐにその刀をしまいなさい!」

 私に気づいた潟奈ちゃんは、自分に向けた刀を一旦鞘に納めた。

そして私に三つ指を突き、深々(ふかぶか)と頭を下げて言った。

 「昨日はあなたを殺す事ができず、本当に申し訳ありませんでした。

この責任を取り、私はここで切腹いたします」

 「いやいやいや!切腹なんてしなくていいよ!

それに私を殺せなかった事を謝らなくてもいいから!私はまだ死にたくないの!」

 「そう、なんですか?ですが私は、このまま殺し屋としては生きていけない身の上。

ならばここで切腹し、この命を絶つ他ありません!」

 「だから切腹はダメよ!とにかく落ち着いて、あっちのベンチに行って話そう?

何でも相談に乗るよ?ね?」

 私が必死に(さと)すようにそう言うと、潟奈ちゃんは力なくうなだれ、静かに頷いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ