1 心当たりは全く無い
柊さんの殺人予告の当日である土曜日、私は柊さんの自宅の前にやって来た。
今日は学校が休みなので柊さんはカジュアルな普段着だが、私はいつものシテ高の制服である。
ちなみに園真会長と綾芽は直接現場に行く事になっていて、ここに来たのは私一人。
一応今日の段取りを柊さんに説明し、状況を把握してもらうためだ。
ちなみに今日の段取りはこうだ。
まず私が柊さんになりすまし、殺人予告の現場に出向く。
そこに現れた殺し屋が私を殺そうとしたら、綾芽がこれを撃退。
あわよくばひっ捕まえて、殺しの依頼をした人物を聞き出す。
そもそも予告状自体がただのイタズラなら、それはそれでОK!
これなら柊さんを危険な目にあわせなくて済むし、
相手の正体も分かるだろうという園真会長の判断である。
そんな私の説明を聞いた柊さんは、申し訳なさそうに言った。
「あの、依頼しておいてなんだけど、こんな事に巻き込んでしまってゴメンね?
もし本当に殺し屋が私の命を狙っているのなら、習志野さんを危険な目にあわせちゃう・・・・・・」
「それが私の仕事だから気にしないで。ちゃんと守ってくれる人間も居るしね。
それより本当に、命を狙われるような心当たりはないの?本当に些細な心当たりでもいいけど」
私はそう言ったが、柊さんはしばらく考えた後、首を横に振った。
「やっぱり、心当たりはないわ。
自分で言うのもなんだけど、どうして命を狙われるほど誰かに恨まれるのか、全くわからないもの。
殺し屋に命を狙われるより、誰かに自分の分らないところで、それだけ恨まれてるって事の方が怖いわ」
「そう、だよね・・・・・・」
二人の間に気まずい沈黙が流れる。
すると私のスカートのポケットに入っている携帯がブルブルッと震えた。
「あ、きっと園真会長だわ。じゃあ私そろそろ行くね」
「うん、くれぐれも、気を付けてね」
心配そうな柊さんに見送られ、私は殺し屋が居るであろう、丸山第三ビルの屋上へ向かった。




