6 彼が殺しの依頼主?
「これを見て頂戴」
その日の夜。
事務所の机の上に、園真会長は一枚の写真を出して私と綾芽に言った。
その写真には私のクラスメイトの男子生徒が写っていた。
背が高い爽やか系のハンサムで(私は全然タイプじゃないけど)、
クラスの女の子に割と人気があるらしい。
名前は、何だっけ?
すると園真会長は写真を指さしてこう続けた。
「彼の名前は与田敦。詩琴のクラスメイトよね?」
「あ、はい、そうですね」
あんまり興味がない相手なのであいまいに返事を返すと、
それを気にするでもなく園真会長は続けた。
「昼休みの後、とある情報筋を使って、柊さんに片思いをしているであろう男子をリストアップしたの。
その中で最も彼女への思いが強いと思われるのが彼だったという訳。
周りの女子から見ても、それは明らかみたいよ」
「へぇ、彼は柊さんの事が好きなんですね。でも、それが今回の事件とどう関係があるんですか?」
私が何気なく聞くと、園真会長はひとつため息をついて言った。
「ま、関係があるかはもうちょっと調べてみないとわからないところだけど、
何らかの形で彼がこの件にかかわっている可能性はあるわ。
例えば今度の殺人予告の場所に彼も一緒に現れ、柊さんに交際を迫り、
断れば殺し屋に殺してもらうつもりとか」
「えぇっ⁉そんな脅迫じみた告白がありますかね⁉」
「可能性のひとつとしてはね。
現に殺人予告状は届いている訳だから、そういうぶっ飛んだ理由が絡んでいる事は間違いないわ」
「な、なるほど・・・・・・」
園真会長の言葉にうなずく私。
するとそのやり取りを黙って聞いていた綾芽が口を開いた。
「じゃあ明日、彼に直接問いただしてみますか?殺し屋に柊さんの殺しを依頼したかどうか」
「そんな事して本当に彼が殺しの依頼人だったら、今度は彼が殺し屋に命を狙われる事になるわよ。
殺し屋が最も優先するのは自分の秘密を守る事だからね。
それを不用意に漏らすような相手は、例え依頼主だとしても容赦なく命を狙うわ」
ひえぇ、なんだかますます穏やかじゃない話になってきた。
こんなヤバイ事件、本当に無事に解決する事ができるんだろうか?
そんな中園真会長は軽い口調で言った。
「まあ、こちらからは下手に動かず、様子を見た方がよさそうね。
どちらにしろ予告の日まで、相手は動かないでしょうからね」




