2 依頼人はクラスメイト
翌日の放課後、私と綾芽と園真会長は、依頼人との待ち合わせ場所に向かった。
その場所とは社会科の資料室。
依頼人はこの高校の生徒で、この場所は放課後人が来ないという事もあり、
園真会長がここを待ち合わせ場所に指定した。
資料室へ行くと、依頼人と思しき女子生徒はすでにそこに居た。
少しウエーブのある黒髪を肩の下あたりまでのばした、整った顔立ちの女の子。
ちなみに彼女は私のクラスメイトで、名前は柊彩。
性格は真面目で人当たりもよく、彼女が誰かに恨まれているという話は聞いた事がない。
そんな彼女は私の顔を見ると、少し驚いた様子で言った。
「え、習志野さん?あなたも園真探偵事務所の人なの?
もしかして、あなたが噂のシティーガールハンター?」
「ち、違う違う!それはこっちのグルグル眼鏡の方」
「そ、そうなの?」
グルグルのビン底眼鏡をかけてお下げ髪にしている綾芽を見て、
柊さんはきょとんとした様子で目を丸くする。
そりゃそうか。
一見すると、今の綾芽はオタクっぽい文科系女子。
そんな彼女が忍者のように地を駆け、家の屋根の上を飛びまわり、
屈強な男どもをバッタバッタとなぎ倒すなんて、
実際にこの目で見た私ですらまだピンとこないのだ。
初対面の柊さんがこういうリアクションをするのも無理はない。
と、そんな中、園真会長が柊さんに左手を差し出して言った。
「初めまして、私が園真探偵事務所の代表取締役社長
(そんな大層な肩書があったのか)の園真况乃です。
このたびは仕事のご依頼ありがとうございます。
あなたが依頼人の柊彩さん、で、よかったかしら?」
「あ、はい、私が依頼人の柊彩です。よろしくお願いします」
そう言って柊さんは園真会長と握手を交わし、私たちは部屋の中央に置かれた会議机を挟み、
柊さんと向き合ってパイプ椅子に腰かけた。
知り合いが依頼人とはいえ、部屋にはお仕事の雰囲気が漂い、何だか緊張する。
そんな中園真会長が、
「では、改めて依頼の内容を聞かせてもらえますか?」
と切り出した。
それに対し柊さんは、一枚の封筒を取り出し、それを机の中央に置いた。
「これが昨日の放課後、私の下駄箱に入っていたんです」
それを聞いた園真会長は封筒を手に取り、その中に入っていた一枚の便せんを取り出した。
そこには丁寧な毛筆でこう書かれていた。




