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シティーガールハンター2  作者: 椎家 友妻
第一話 新しい生活と狩人の相棒
11/37

11 プラモショップ葺(ぶき)野(の)

 という訳で私は綾芽につれられ、武器をメンテナンスに出してあるというお店にやって来た。

そこは園真探偵事務所の近所にある商店街を抜け、

雑居ビルが並ぶ通りを路地に入って少し歩いた所にあった。

看板には『プラモショップ(ぶき)()』と書かれていて、

店の窓には車やお城、戦車やロボット等、様々なプラモデルのポスターが貼られている。

店の前にはガチャガチャも置かれていて、キャラもののキーホルダーや変な虫のフィギュア等、

これまた色々な種類のガチャガチャが置かれている。

一見すると本当にただのプラモデル屋さんみたいだけど・・・・・・。

 「ここが、あんたの言ってた武器屋なの?」

 私が不安になりながら尋ねると、綾芽は

「そうですよ」

と軽い口調で答え、お店の引き戸をガラッと開けて中に入って行った。

なので私も後に続く。

お店の中はそう広くはないけど、中のスペースを目一杯使って棚が並んでいて、

その中に色々なプラモデルの箱が所狭(せま)しと積み上げられている。

壁際の棚にはモデルガンの箱もあり、

『ベレッタなんちゃら』とか、

『コルトガバメントなんちゃら』とか、

私の頭にイマイチ入ってこない名前の箱がズラッと並んでいる。

この中に、園真会長の持っているデザートなんちゃらとかいうモデルガンもあるのだろうか?

 と、棚のモデルガンをキョロキョロ見ていると、店のカウンターの奥から

「あらいらっしゃい」

と声がしたかと思うと、そこから一人の女性が現れた。

年は二十歳すぎくらいだろうか?

背中までありそうな黒髪を後ろで一つに束ね、

パッツリと眉のあたりで綺麗にカットされた前髪の下にこじゃれたメガネをかけ、

そのメガネの中から、(さわ)やかに輝く瞳がのぞいている。

そして『プラモショップ葺野』とロゴの入ったエプロンをしているその女性に、

綾芽は気安い口調で声をかけた。

 「こんにちは苽子(うりこ)さん、こないだメンテに出してたやつ、できてます?」

 すると苽子さんと呼ばれたその女性は

「もちろん、ちょっと待ってね~」

と言い、またカウンターの奥へ引っ込んで行った。

その後姿を眺めながら、私は隣の綾芽に声をひそめて聞いた。

 「あの人が武器屋さんなの?何か、あんまりそれっぽくないね。お店も、普通のプラモ屋さんみたいだし」

 「そりゃあ、日本でおおっっぴらに武器の販売なんかできないからね。

表向きはプラモデル屋の看板娘で、

裏の顔はこの辺りの裏社会の人間に数多の武器を提供する、影の武器屋という訳」

 私の声が聞こえたのか、すぐに裏から出てきた苽子さんがニッコリ笑ってそう言った。

 「そ、そうなんですか・・・・・・」

 そんな凄い秘密、私みたいな平凡な女子高生が知ってしまってもよかったんだろうか?

と思いながら目を泳がせていると、苽子さんは私の頭のてっぺんから足の先までを()めるように眺めた。

 「な、何ですか?」

 私がたじろぎながら尋ねると、苽子さんは妖しい光をその瞳に宿しながら言った。

 「あなたが最近况乃ちゃんの所に入った新しい助手さんね?名前は何て言うの?」

 「わ、私は、習志野(ならしの)()(こと)と言います。え~と、よろしくおねがいします」

 「詩琴ちゃんね。私は葺野苽子(ぶきのうりこ)、ここでプラモ屋兼武器屋を営んでいるの、よろしくね」

 苽子さんはそう言ってほほ笑むと、カウンターの中から出て来て私の後ろに立ち、

いきなり私のふとももを撫で始めた。

 なでなでなで。

 「ちょ、いきなり何するんですかっ⁉」

 裏返りまくった声でそう叫び、私は咄嗟に苽子さんから後ずさる。

それに対して苽子さんはうっとりしたような(あや)しい笑みを浮かべて言った。

 「さすが十代半ばの女の子のお肌はきれいねぇ。食べちゃいたいくらいだわ」

 な、何を言っているんだこの人は⁉

 「気を付けてくださいしぃちゃん。この人はこう見えてかわいい女の子に目がないんです。

油断してたら本当に食べられちゃいますよ」

 パニックになりそうな私に、綾芽がそう言って耳打ちする。

え、この人ってそういう趣味の人なの?

それに対して苽子さんは、肩をすくめてこう返す。

 「あらぁ、私は節操(せっそう)無く女の子に欲情する訳じゃないのよ?

私にだって好みがあるんだから。ちなみに詩琴ちゃんは私の超好みよ♡

どストライクと言っても過言じゃないわ♡

しなやかに鍛えられた手足。

無駄なお肉のないお腹。

それを包む卵みたいにプルプルしたお肌。

ボーイッシュな切れ長の瞳に、無造作なショートカット。

そういうかっこよさの中にほのかな可愛さがブレンドされた女の子が、私は最高に好きなの♡」

 これは私をほめてくれてるんだろうけど、全身には鳥肌がたち、(へび)(にら)まれる(かえる)のような気分だ。

ひとつわかった事は、この人は本当にそういう趣味の人で、

どうやら私みたいなのがタイプらしいという事だ。

ここには絶対に由奈ちゃんは連れて来ないでおこう。

あと、一人で来るのもやめよう。

そう心に(ちか)っていると、綾芽が痺れを切らしたような口調で苽子さんに訴えた。

 「苽子さんの女の子のタイプの話はもういいですよ!それより私の相棒を早く出してくださいよ!」

 「ああ、そうだったわね」



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