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攻略対象者なのに悪役令嬢を溺愛中  作者: のあ
第一章【学園入園前)】
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シャルル10歳 王族のパーティー2

ベアトリス視点


今年10歳になった私は王族主催のパーティーへの招待を受けた。


シャルル様と5年ぶりに会える!


と思いウキウキしていると、お兄様の機嫌が悪くなるのを感じ、屋敷の中ではパーティーの話題を出さないように気をつけていた。


両親はそんな私の気遣いを感じず、事あるごとにパーティーの話題を出すものだから、お兄様の機嫌が悪くならないよう、慌てて話題を変えたりと大変だった。


シャルル様は私を覚えていてくださるかしら、いや、あんな短時間のこと、忘れていらっしゃるだろうと悶々と考え、1人になると空想の世界に飛び立ってしまう。


とはいえ、パーティーの準備に日々忙しく、ダンスの練習も抜かりなく教わり、初めて王族の前で、王様へのご挨拶、ということでその練習など、慌ただしい毎日を過ごした。


*******


パーティーでは、お兄様のエスコートで入ってきたものの、両親は宰相という立場から挨拶周りがあるらしくすぐに私たちから離れていった。


お兄様がいてくださる、と思っていたが友人に強引に連れられて行った。


本当に強引に、力づくで連れていかれるお兄様が

「壁際によって目立たないように待っていてくれ!五分以内に戻ってくる!!」

とおっしゃったので、大人しく壁際で待機する。


お茶会にも相変わらず参加せず、お友達も知り合いもいないこの場所で私はお兄様の帰りを待ち続ける。


「お久しぶりです。」


最初、自分に声をかけられたことに気づかなかったが顔を上げるとシャルル様がいらっしゃった。


5歳の時以来なので、随分と印象が変わり、妖精のような神秘的な愛くるしさは鳴りを潜めていたものの、相変わらず女性かと見紛う程の線の細さと美しさを兼ね備えていらっしゃった。あの頃よりずっと長く伸びた手足はつつけば折れそうに華奢に見えるものの、ピッタリと体に合って作られた服からは筋肉がついた男性の体の片鱗が見える。


「ご成長なされましたね。」


「お互いさまです。

あの時はお目にかかれませんでしたが、

夜の闇を映しとられたような御髪ですね。

夜の妖精さまと踊る光栄をいただいても?」


そう言って差し出される手。


「その前に改めてご挨拶させていただきます。

ベアトリス・ドアバックと申します。

光の妖精さまと踊れること、光栄に存じます。」


あの時と同じようにスカートをつまんでお辞儀をし、シャルル王子の掌に手を重ねた。


*******


シャルル視点


ベアトリスが壁際に1人で立っているのを見つけてから、目が離せなくなった。

前回会ったのが5歳。あれから5年。

その立ち姿だけで彼女が変わっていないことがわかった。


嬉しい


ほんの少しではあったが、彼女がゲームのように嫌味なキャラになっていないか、と心配していた。

変わりなく、凛と立ちながら、目は不安な様子を滲ませている。

変わらない。

外面ではプライドと品を保ちながら、内面は弱々しい。


なんだろう、彼女は男の庇護欲をそそる術でも知っているのではないか。


他の男が気付く前に声をかけるべきだ、と思った俺はアラン達の前を後にして彼女に近づいた。


「お久しぶりです。」


ベアトリスは俺を見上げ、暫し沈黙していた。

あれ?

まさか忘れられている?

勝手に王子と会った印象は大きいだろうと思って忘れているとは思わず声をかけたが、

考えてみたら5年も前で彼女は5歳児。

逆に覚えている方がおかしいかもしれない。

と俺が焦り出した時


「ご成長なされましたね。」

と言ってくれてホッとした。


「お互いさまです。

あの時はお目にかかれませんでしたが、

夜の闇を映しとられたような御髪ですね。

夜の妖精さまと踊る光栄をいただいても?」

そう言って手を差し出した。


「その前に改めてご挨拶させていただきます。

ベアトリス・ドアバックと申します。

光の妖精さまと踊れること、光栄に存じます。」


あの時と同じようにスカートをつまんでお辞儀をしてくれたベアトリスは相変わらず美しかった。

彼女の手を取りダンスフロアへと進んだ。


俺たちのダンスに、踊っているものもそうでないものも注目していた。


光と闇の二大属性。

第一王子と宰相の娘。


注目しない方がおかしい。


あまり視線は気にしないようにしながらベアトリスに目をやった。

ベアトリスはこちらを見ないようにしているようなので遠慮なく見させてもらう。


前回はローブのフードを深くかぶっていたため見ることができなかった黒髪はハーフアップで多くは垂らしている。

元日本人としては懐かしい黒髪だがらここまで綺麗な髪は見たことがない。

濡れたようなしっとりとして艶のある髪の色は黒、といってもかなり濃い。日本人の黒髪が灰色に見えるくらいだ。


10歳の女の子、というと前世ではガキンチョ、という印象しかなかったが細く柔らかそうな白い腕、肩、細い首、とドレスの露出部分を間近に見ているとなんだかこちらもどきどきしてくる。

伏せられた眼は5歳の頃の面影がある猫のような吊り目。

濃紫と淡紫の瞳。

顔立ちは大人になってもやはり面影が色濃く残っている。

「顔を上げてくれないか?」

俺が声をかけると一瞬ビクッとしたあと、ベアトリスは恐る恐る顔をあげ俺の顔を見る

「変わらず美しい眼だな」

と俺が声をかけると

また真っ赤になって顔を逸らしてしまう。

なんだこの可愛い生き物は。

「顔をそらさないで。こっちを見て」

泣きそうな顔で顔を上げるベアトリス。

やばい。持ち帰りたい。


そんなことを何回か繰り返し、俺はダンスを終えるのだった。


一曲終わった後にフェルディナンドが俺を睨みつけながら引ったくるようにベアトリスを連れて行ってしまった。

あ、今後の予定立てていないや。


ダンスの間は誰にも邪魔されないのでチャンスだったのだが、

ベアトリスの反応が可愛すぎてつい遊んでしまった。

まあ仕方がない。ベアトリスが可愛いのが悪い、と俺は諦めることにした。


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