もう……私は蛹じゃない 3/4
―4日後
フランフランの町の近く、お馴染みの面々が居る拠点では、老ダークメイジが頭を抱えていた。
「どうして見つからんのじゃ……
オリハルコンのオの字も出て来んぞ」
オリハルコンの兜……この世界で圧倒的な性能を誇る素材で作られた兜。
装備すれば防御力は+100を超える性能を持ち、自動修復機能もあって劣化もしない。
弱い事で有名なフランフラン近郊の魔物の場合、コレを装備した冒険者に対してかすり傷一つ与える事が出来なかった。
当然所有者は自慢したくもなるだろう。
だから彼等はこの2か月近くの間、人間達の町にも網を張って、そんな所有者情報が上がって来るのを待っている。
ところが一切その情報が上がってこない。
……すぐに見つかると高を括っていた、老ダークメイジは、予想を誤ったと思って頭を抱えた。
そんな彼の傍で、暗い表情の若いダークメイジやオオガラス、スライム、オオオウムの面々がソファーに座る。
若いダークメイジが悲しそうな声を上げた。
「どうしよう……このままミトと、一生逢えなかったら」
若いダークメイジの言葉に、祖父は「バカな事を言うモンじゃない」と嗜める。
それを聞いているスライムは、少し遠慮がちに言った。
「あの、コウゾウさん」
「なんじゃ?」
「こんな時に、こんな事言うのもあれなんですけど」
「別の話か?」
「ええ、そうです……」
老ダークメイジはそれを聞くと溜息を一つ吐いて「言うてみよ」とスライムに言った。
「実はこの前スゴバーム城のオスカルの所に、皆の成果給のお金を、代表して貰いに行ったんですよ。
そうしたらオスカルが『兜じゃなくて勇者狩りをやってくれないか?』と言ってきたんです……」
それを聞くと、老ダークメイジは、無表情に答える。
「だったら勇者狩りをせねばならんじゃろな。
ワシらの活動を資金面で支えているのはデーブ(オスカル・アンドレ・ロマンの本名)じゃ。
無下には出来ん」
それを聞くスライムは、言葉を続けた。
「それでですね、オスカルが今度時間を見繕ってコッチに来るって言うんです」
「……なんでじゃ?」
「なんでもクワタとコウゾウさんに用があるとか……」
「ワシに用があるのは分かるが、どうしてクワタ君に用があるのじゃ?」
老ダークメイジはそう言って、オオガラスに顔を向ける。
スライムは「さぁ?」とその背中に答え、オオガラスは心当たりも無いとばかりに首を振る。
「……俺何かしましたっけ?」
オオガラスはそう言って、不安そうな表情を浮かべた。
この時……
オオガラスの隣で、若いダークメイジとオオオウムが、目線を合わせてニンマリと悪い笑みを浮かべる。
(うん?こいつ等……)
この様子に違和感を覚えた老ダークメイジ。
孫が、この件について何かを知って居そうだと直感する。
老ダークメイジは嫌な予感を覚えて、その表情の意味を尋ねる。
「コウスケ、お前……」
彼がそう言いかけた時、外から強い魔法の気配と、光の柱が一本立ち上った。
そちらに目を向ける5匹。
この魔法の気配は、移動魔法のエアタクシーである。
彼等は“誰が来た?”と思った。
やがて玄関をコンコンと叩く音が響く。
そして玄関の向こうの者は、こちらの返事を聞く間もなく、ものすごく明るい元気な声で言った。
「あっ、コウゾウさん、オスカル・アンドレ・ロマン様に仕える、コージです。
開けても宜しいですか?」
明るい声の“コージ”と言う存在に心当たりがあった老ダークメイジは「どうぞ」と答える。
次の瞬間扉が開かれ、外からリビングデッドアーマーとそして……オスカル・アンドレ・ロマンが入って来た。
「で、デーブ‼どうしたんじゃ一体」
「だから私をその名で呼ぶな!
まったく、コウゾウさんだけだ、その名で呼ぶのは……
それは良い、ちょうど時間も出来たんで、エアタクシーで来た。
それで、少し話をしたいがいいか?」
「ああ、それは構わんが……」
その様子を見ていたリビングデッドアーマーが、ものすごく明るいノリで言葉を発する。
「それじゃあ、ちょっと始めましょうか。
若いのからオジサマまで、皆ここに集まってる事だしね」
緊迫感ゼロの明るいリビングデッドアーマーの様子に、若いダークメイジが嬉しそうに言った。
「コージ君、チョリーッス!」
「コウスケ君ちょリー……ちょっとちょっと、俺先輩よぉ。
お久しぶりって言わないんかい?」
「ごめんごめん、それじゃあ改めて……
コージ先輩、お久しチョリース!」
「アホのコウスケ、お久しチョリーッス!」
これを見て老ダークメイジは眉を顰め、オスカル・アンドレ・ロマンもしかめっ面を浮かべる。
次の瞬間老ダークメイジは、黙って孫のところに行くとポカリと一発頭を叩き。
オスカル・アンドレ・ロマンは、そこら辺に在った棒で、リビングデッドアーマーをぶん殴った。
その後オスカル・アンドレ・ロマンは「まったくやってられん……」と呟き、老ダークメイジに言う。
「コウゾウさん、少し相談させてくれ。
私はそろそろ中ボスを変えたいと思う」
「中ボスを……か」
中ボス……冒険者に立ちふさがる、門番の役を果たす、強い魔物。
勿論鉄の国を治めるオスカル・アンドレ・ロマンにも中ボスが居る。
それがワスプ―ルの橋を守る最強の番人その名も……
「中ボスをコージから変えて、もっと強い魔物を中ボスにしたい」
「うむ、まぁ……そうじゃな」
そんな話を目の前で聞かされても、全身から嬉しそうな雰囲気を漂わせる、リビングデッドアーマーの彼。
それを見てオスカル・アンドレ・ロマンは悲しそうな溜息を吐いた。
老ダークメイジはそれを見て心配し、オスカル・アンドレ・ロマンに尋ねる。
「どうした?コージ君、辞めたがっているみたいじゃが……」
それを聞いて、オスカル・アンドレ・ロマンは、再び溜息を吐く。
「ああ、実は貯金が貯まったから、武者修行の旅に出て、次はデュラハンに上位転職したいんだそうだ」
「ああ、そう言う事か……
よくある辞職理由じゃの……」
魔物は基本自分の事しか考えない生き物である。
オスカル・アンドレ・ロマンは、それを思いながら呟く。
「散々良くしてやったのに、裏切りやがってこの馬鹿鎧めッ!」
するとリビングデッドアーマーが……
「ちょっとボスゥ、ちゃんとデュラハンになったら、帰って来るんで待ってて下さいよぉ。
鮭と鎧は、海出て大きくなって帰って来るんですよっ」
「鎧が海を泳ぐかっ!
このアホ鎧めッ!」
ボカン、ポカーン、ポカーン
オスカル・アンドレ・ロマンは、手にした棒で再びリビングでドアーマーをぶん殴り始める。
「ちょっとボス、痛いんで辞めてくださいよ!」
「鎧のくせに痛がるなっ!
お前はただの鉄板だろうがっ!」
それを見て老ダークメイジは、溜息を吐いた。
「デーブ、もういいじゃろ話が進まん」
「ハァハァ……それもそうだ。
まぁとにかくそれでだ、すぐに中ボスを代わりに用意しなきゃいけなくなった。
次の奴を入れたら、コージは退職だ。
でもそうは言ってもコージより強い奴がウチには居なくてな」
「人材不足じゃな……」
「まぁ、それがウチの悲しい所だ。
そこでどうしようか考えていたら、そこにいるコウスケが良い情報を私にくれてな」
『…………』
老ダークメイジは黙って、孫に顔を向けた。
孫と隣のオオオウムは悪い表情を浮かべている。
そしてオスカル・アンドレ・ロマンは、老ダークメイジにこう言った。
「そこでクワタに話を聞きたいんだが」
「は?クワタ君を中ボスにするのか?」
驚いて顔をオスカル・アンドレ・ロマンに向けた老ダークメイジに、彼は答えた。
「そんな訳ないだろう……
今、このオオガラスは“あの”サワちゃんと付き合っているそうじゃないか。
なんでもサワちゃんにこのクワタはメロメロで『いつか結婚できたら良い』と言っているのだろ?」
「そうなのかっ!」
初耳だったので、慌てる老ダークメイジ。
思わずオオガラスの方に顔を向けると、オオガラスは慌てて「いや、そんな、まだ早いし……」と呟く。
それを聞いて嫌な笑みを浮かべて、若いダークメイジが言った。
「お、クワタぁ……付き合って2か月で随分と早いんじゃないの?」
それを煽る様にオオオウムも付け込む。
「クワタぁ、流石やる時はやる男だぎゃぁ」
するとオオガラスは真っ黒な体を、ほんのり赤く染めて言った。
「ま、まだ……サワちゃんの気持ちを聞いて無いから」
『…………』
実はそう言う回答が帰って来るとは思っていなかった、若いダークメイジと、オオオウムは唖然とした表情でオオガラスの顔を見た。
「あれ、マジで本気だったの?」
するとオオガラスは「う、うん……」と頷く。
「クワタぁ……サワちゃんの事どれだけ知ってるぎゃ?」
オオオウムがそう尋ねると、オオガラスは世界で一番優しそうな男の顔で語り始める。
「サワちゃんは……優しくて、可憐で、そして可愛いよ。
年上だけど、俺はサワちゃんの事が本気なんだ。
むしろ俺は年上が好きって言うか……」
「ほ、ホーン……」
「俺がしっかり男らしく守ってやらないと、サワちゃん傷ついちゃうからさ。
強くなってからと、実は思っていて……
あの子……弱いからさ」
それを聞いたオスカル・アンドレ・ロマンは、首を傾げながら言った。
「お前が何を言っているのか分からんが……まぁいい。
重要なのはあの子と添い遂げても良いと思っているのだな?クワタ」
「そ、そうです……」
「ならば命令だ、お前は今すぐサワちゃんと結婚するが良い」
「ええっ?」
それを聞いて戸惑う、オオガラス。
そんな彼にオスカル・アンドレ・ロマンが言った。
「実は私もサワちゃんとは知り合いでな、死にそうな時に助けてもらったことがある」
「はぁ……」
「実はサワちゃんの父親とは……」
そう言いかけたオスカル・アンドレ・ロマンを押しとどめるように、老ダークメイジが言った。
「あ、デーブ。
親父さんの話は又にしてくれんか?」
「コウゾウさん、その名前で私を……」
「いや、それよりも話すことがあるじゃろ?」
「うむ、まぁ……そうだな。
とにかくクワタ、サワちゃんと結婚するならうちに就職するよう言ってくれ。
給料はこれまでの倍払うから」
「ええっ!」
「それとだ。就職するなら、結婚式もこっちで面倒を見てやる、この話をサワちゃんにしておけ。
来週までにモバセルラで経過を私に話せよ!」
思っていたよりも大きな話になって困惑するオオガラス、そんなオオガラスに若いダークメイジが言った。
「ごめんなクワタ。
今日までお前を誤解していたわ。
マジでお前は最高の鳥野郎だ」
そう言って祝福するように肩を軽く抱く若いダークメイジ。
「俺もお前を誤解していぎゃ。
本気の愛に心が震えたぎゃ。
祝福させてぎゃ、兄弟……」
そう言ってオオオウムも、オオガラスの肩を抱いた。
「お、おう……なんだか照れるな」
そう言ってはにかむ、オオガラス。
それを見て、事情も分からないのに貰い泣きするリビングデッドアーマー……
オスカル・アンドレ・ロマンはそれを見て「良く分からんが、まぁいい……」と呟く。
……因みに老ダークメイジは、友人であるフェニックスに、この話をどう伝えようか真剣に考えていた。
「……ゾウさん、コウゾウさん!」
心ここにあらずと言った感じで、思案に暮れ始めた老ダークメイジに、オスカル・アンドレ・ロマンが声を掛ける。
「お、オオ……どうした?」
「どうしたじゃないよ、ボケるのはまだ早いだろうが……」
「なんじゃと小僧!」
「なんだよ、聞いてるじゃないか……
とにかく勇者狩りを優先してくれ。
特にソロで活躍する、女盗賊が最近めきめき頭角を現している。
……相当悪どい女でな。
戦闘中に魔物から持ち物全てを盗み取った後で魔物を倒すのだそうだ。
これをされると魔物達も持ち金が半分になるだけでは無く、お金を溜めて買った様々な装備品も丸ごと失うから、こいつ等の被害額が桁違いに増えた。
おかげで破産した魔物がここ1か月で600匹に上る」
それを聞いた老ダークメイジは、さすがに驚いて「そんなにかッ?」と、声を上げた。
オスカル・アンドレ・ロマンもその声に頷いて言葉を続ける。
「一匹当たりの被害額も、平均500ゴールドに上るから、バランス崩壊も良い所だよ、まったく……
イイダバシで調整も入ると思うが、今のところはこの新しいやり口に対処は出来ていない。
……まぁ、とにかく。
このやり方で金を巻き上げ続けるこの女盗賊は、現在相当金を持っていて。
噂によれば新しい勇者パーティを自分の金で結成し、それに参加したようだ。
しかも、メンバー全員がミスリル銀の装備で全身を固めている」
「ミスリル?
あんなのを揃えたら余裕で60000ゴールドになるじゃろうが」
「フランフランではな。
鉄の国では半分ぐらいで買える、だからその差額の利益を求めて、魔物達も密貿易に加担しているのだ。
……まったく、人間を強くする行為に手を染めおって」
……それを聞き、思わず老ダークメイジは不思議な笑みを浮かべた。
それに何も思わず、オスカル・アンドレ。ロマンは言葉を続ける。
「とにかくウチは防御を固めるために、フランフランに強い魔物を集めている。
それと、別の話にはなるが……
ワスプ―ルの橋を通ろうとする、それ以外の冒険者どもの動きも活発だ。
連中を抹殺するために私も忙しい。
だからコウゾウさんはコージと連絡を取り合って、冒険者が橋を越えないように助けてやってくれ。
冒険者ユニットは、一回でも橋を越えて、人間の集落に辿り着くと厄介だ。
越えた連中は、次からはエアタクシーやキマイラの翼のレプリカで、フランフランと鉄の国を簡単に行き来してしまう。
……行動範囲が急に広がると、どこに魔物を配置したら良いのか分からないんでな。
はぁ、まったく……」
老ダークメイジは、努めて表情を消しながら「身勝手な魔物が多くて困る」と呟いた。
……魔物とは、自分の事は棚に上げるのが得意な生き物である。
人間相手にオリハルコンの兜を売ろうとしている事は黙り、そんな言葉を口にする老ダークメイジ……
それを聞いて、オスカル・アンドレ・ロマンは言葉を続けた。
「盗賊なんて、これまで不人気職だったから、私も困惑しっぱなしだ。
それに……一人でも一気に伸びる冒険者が居ると、他の奴もマネして盗賊になる奴も増える。
このやり口を他の奴もやり始めるのは、時間の問題だろう。
……これからが正念場だ、コウゾウさん。
いや、すでにこの女盗賊が徘徊するエリアでは、倒される魔物が激増した。
正念場になったという事かもしれない……
問題となった、この女盗賊のレベルも、もう14は軽く超えているだろう。
おかげで今や、魔族教会は復活の儀式で大忙しだ。
それだけ死者の数が馬鹿みたいに上がっているよ。
……冒険者が私の元に辿り着くのも、もう時間の問題かもしれん。
だから、もし私の元まで来たらすぐに連絡するから、すぐに来てくれ。
じゃあコージ、コウゾウさんと連絡先を交換しろ」
「あ、はーい。
それじゃあコウゾウさん、よろしくお願いします」
そう言ってリビングデッドアーマーは自分の番号と駐留先を書いた、書付を老ダークメイジに渡した。
老ダークメイジもそれを受け取りながら「そうじゃな、コージ君よろしくな」と言って、自分の番号と駐留先を紙に書いて渡す。
それを見届けたオスカル・アンドレ・ロマンは、老ダークメイジに言った。
「じゃあコウゾウさん、大量に居る勇者グループには気をつけて。
それと、本気で今回サワちゃんをウチに引っ張り込むから、サワちゃんのネタはどんな小さな事でも私に連絡してくれ」
「うむ……」
「それじゃあ、コージ、帰るぞ」
「あ、はい。
じゃあコウスケ、また今度な」
「ああ……コージ君も連絡ちょうだいよ。
今度遊ぼうぜ」
こうしてオスカル・アンドレ・ロマンとリビングデッドアーマーは、そのまま外に行き、来た時と同様に、光の柱を立ててこの場から瞬間移動していった。
こうして彼等が見えなくなると、老ダークメイジは孫に小言を言い始める。
「コウスケ、コージ君はああ見えてもお前の先輩じゃぞ。
もう少し礼儀を払わんか」
「え?だってコージ君全然怒らないよ。
別にそれで特に何も起きないし良いんじゃない?」
「いやいや、そもそもコージ君の方が年上なんじゃぞ。
コージ“さん”じゃないのか?」
「年上だからちゃんとコージに“君”をつけてるじゃん。
爺ちゃん、昔と今は違うんだよ?」
……そんなモンなのだろうか?
そう思って戸惑う、老ダークメイジ……
年上に“君”って……
やがて老ダークメイジは「若者にはついて行けん……」と呻いて外に向かう。
そんな祖父の気持ちを分からず、孫はスライム相手に「マジでコージ君バカっぽくて最高だわ!」と楽し気に歓談している。
「ワシ、育て方を間違えたかなぁ?
コウタは真面目な子に育ったのに……」
それを傍目で見ながら扉を閉める老ダークメイジ。
フェニックスに今日の件を話すのも気が引ける中、繋ぎたくもないモバセルラの魔法を使う……
◇◇◇◇
―3週間後
……ダークメイジと言う魔物が居る。
フランフランの国では、ダークメイジは強い部類の魔物。
そしてこの物語の主人公達だけではなく、他のダークメイジも日々様々な勇者グループと死闘を繰り広げていた。
そんな中、今6匹組のダークメイジが、一組の勇者グループと交戦をしている。
女盗賊が前衛で、その後ろに勇者、僧侶そして遊び人……
こんな構成の勇者パーティと交戦中のダークメイジ達は、今や全滅の危機に在る。
「あらあら……随分と弱いのね」
交戦中に女盗賊が、大きな羽飾りのついた帽子の顎紐をいじりながら、敗北寸前のダークメイジをせせら笑う。
6匹のうち3匹はもう倒され、残りは3匹だけとなった、瀕死のダークメイジ達。
嘲りを受ける彼等は、誇り高く女盗賊を睨みつけて言った。
「く、クッソぉ……化け物め。
どうして魔法も、攻撃も一切ダメージが入らない!」
女盗賊は、高らかに笑いながら答える。
「アハハハハッ、何を言うかと思えば世迷い事を……
だけどいいわ、私は今日機嫌が良いの。
私がダメージを受けない理由、それはね……私が神に愛された女だからよ」
「⁉」
「私の人生は漆黒の闇の中だった……
報われない日々、食い物にするロクデナシ。
そんなのが纏わりつく私の人生……
だけどある日悟ったの、力ある者から力を奪って自分のモノにすれば、そんなものは過去のモノになるんだ、ってね。
その日、私は盗賊に生まれ変わった。
そして大金を手に入れ、そして誰にも傷をつけられない体を手に入れたの。
……それと、こんな能力も、ネ♥」
女盗賊はそう言うと、右手ををヒラヒラと動かし、次に掌をダークメイジに見せた。
その手にはルビーの指輪が握られている。
「見覚えがあるかしら?」
「そ、それは祝福の指輪……
もしかして……あ、俺のがない!」
女盗賊はニンマリと笑うと、邪な笑みを浮かべて言った。
「私に盗めないものは何もない、だって私は盗賊、そしてレベルが18なのだから」
物語もいよいよ”承”の部分が終わろうとしています。
なろう界のアンダーグラウンドにも目を止めて頂き、ありがとうございます。
きっと見た事の無い展開にびっくりするかもしれませんが、箸休めに是非見て行ってください。
そして……そんなあなたが大好きです!
また明日。




