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その6

 炎の円盤は建物の入口を吹き飛ばして庭の木を吹き飛ばしています。庭の向こうに大通りが見えます。止まる気配ないです!!



 あああああ…… って震えていたら炎の円盤の真ん中を突き破ってわたしの方に駆けてくる、わたしと同世代か少し年下くらいの女の子が現れました。その子が通りぬけた瞬間に炎の円盤は燃料が切れたみたいに真ん中から穴を開けて消えていきました。



 フード付きの長いマントを来た、青っぽい黒髪が顔の上半分を隠している女の子。手に短杖を持っていました。短杖っていうのは短い杖のことです。ゲームで魔法職がよく装備していました。



「カカーっ!! ウクスマを召喚できたんだからカカだよね!? 亡者に会えたんだね!? 復活できたんだよね!? よかったー!!」



 そう叫んでわたしに抱きついてきました。



 抱きつかれてわかったことがあります。この子は体重が軽いです。あと体中に宝石や護符みたいな怪しさ満点のアイテムをつけまくっています。そしてさらっとナチュラルに、わたしは亡者扱いされました。もう何もかもがショックです。



 抱きついてきた子がわたしの顔を見て叫びました。



「……やっぱりカカじゃない!! 亡者だっ!! カカを乗っ取ったのね!? 返せ!! カカを返せ!!」



 冷静なリアリストのわたしは一瞬で理解しました。このウルサイ女子と今、ここで、仲良くなっておかなければわたしはピンチになる。



「こんにちは! はじめまして! 今日からこの世界でお世話になる、回向奏えこうかなでです。どうぞよろしくお願いします!」



 正論最強。



「いやだ!!」



 感情、さらに最強。



「カカは紅い髪と緑色の宝石みたいな瞳の召喚術士なんだよ!? こんな…… こんな不具合のつめ合わせ福袋みたいな顔してない!! カカを返せ!!」



 殺そうか? この女? 



『殺したらダメだよ? ノワは私の妹で私の親友だよ』



 頭の中でカカの声がしました。



 わたしはカカの顔を思い出しました。美少女でした。絶世でした。わたしの顔は不具合の詰め合わせ福袋と言われました。カカの親友か知らないけれど、わたしはこんなヤツと親友になる気はない。



 目の前が急に透明なガラス一枚を隔てたみたいな、カメラ越しに見る風景みたいな現実感すこし薄れた感じになりました。顔をぐっとノワという子に近づけます。でもわたしの意思じゃない。カカが身体の主導権を握ったんだとわかりました。



「ノワ!! ウクスマの火矢を見たでしょう!? 私はちゃんと戻って来たよ!! 今はこの体をカナデと二人で半分づつ使っているだけ。落ち着いて私の事をよく見て見なさい!!」



 同じ体を使っているのに、なぜかカカの声の方が少しだけ高い感じがしました。不思議です。カカの声を聞いてノワと呼ばれた子が嬉しさ爆発みたいな表情になりました。



「カカ!! 本当にカカだ!! おかえりなさい!! カカが死んでいる間、カカの体が死者の行進に加わらない様にずっと守っていたよ!!」



 カカがノワの頭をフードの上からそっと撫でました。ノワがものすごく嬉しそうな顔をします。やだ、こいつも可愛い。どいつもこいつも美形だ。なんなの? この世界?



「ノワ。どうして死獣を召喚して私を襲わせたの?」



 カカの声が低くなりました。怒っています。そりゃそうだよね。わたしも頭に来ました。カカの感情がわたしにも影響したりするのかな? と思いました。



「祭壇からカカが起き上がったのは建物の外からでも分かったけど…… 中身がカカじゃなかったから…… 乗っ取られたのかと思った」



「うん。ちゃんとした理由があればいいんだ」



 カカがそう答えました。



 いいの!? なんだか大きな建物の入口一面、壁が吹き飛んで外から丸見えなんだけど!? 建物の中にいた人、大きな怪我人は出なかったみたいだけど転んで足とか押さえている人もいるし、だいたい大人の人を驚かせたんだよ!? 怒られないの!?

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