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もしも童話『赤ずきん』の主人公がラノベ系チート主人公だったら

息抜きに書きました。

ふと思ったんですが有名な童話の主人公って日本なら男の主人公が多いんですけど海外、特にグリム童話なんかは女の主人公が多いのはなんでなんですかね。




昔々、あるところにとても可愛らしい女の子がいました。


その子の美しさといったらもう道行く人が全員振り返ってしまうほどの美しさでした。

顔は黄金比、体はボンキュッボンのパーフェクトボディ、黄金に輝く髪はまさに宝石。


彼女はとても美しいため、よく男の人から求婚されます。

しかし彼女はいまだ独身です。

なぜなら彼女は鈍感なため求婚されたことに気づかないからです。

彼女は自分のことを『あまり可愛くない女性』だと思っています。

なぜなら彼女は鈍感だからです。


ある時、その女の子のおばあさんが赤いビロードの布で、女の子の被るずきんを作ってくれました。

そのずきんが女の子にとても似合っていたので、皆は女の子のことを『赤い天衣をまとった女神』と呼んでいましたが、彼女自身が『赤ずきん』と名乗るようになったため、皆は彼女のことを『赤ずきん』と呼ぶようになりました。

皆彼女に嫌われたくなかったのです。


ある日の事、お母さんは赤ずきんを呼んで言いました。



「赤ずきんや、おばあさんがご病気になってしまったのよ。だからあなたの力である『完全治癒』でおばあさんを治してあげてきなさい。」


「はい、お母さん。」


「それじゃあ、ついでにこのケーキと、ブドウ酒を1本持っておいき。」



赤ずきんがおばあさんの所へ一人で行くのは初めての事だったので、お母さんは悪い虫が赤ずきんに付きまとないか心配でたまりません。

でもお母さんには用事があるため、一緒に行けないのです。



「いいですか、途中で道草をしてはいけませんよ。それから、オオカミに用心するのですよ。オオカミはどんな悪いことをするかわからないから、話しかけられても知らん顔をするか魔法で消し炭にするのですよ。」


「はい、お母さん。大丈夫よ。」



赤ずきんは、お母さんを安心させるように元気よく、



「いってきまーす!」



といって、出かけていきました。



おばあさんの家は、常人ここから歩いて5時間ぐらいかかる森の中にありました。

その日はとても天気のよい日で、赤ずきんがスキップをしながら時速100km/hで歩いていると、そこへオオカミが現れたのです。



「こんにちは。赤ずきnぶへらっ!」



オオカミさんは赤ずきんに話しかけようとしたのですが、誤って赤ずきんの目の前に飛び出してしまったため、赤ずきんに吹き飛ばされてしまいました。

突然の飛び出し行為はとっても危険です。絶対にやめましょう。


赤ずきんは自分が何かにぶつかったことに気づき、慌てて足を止めました。

辺りを見渡してみると、遥か彼方へ吹っ飛んでいくオオカミが見えたため、赤ずきんは『引き寄せ魔法』を使ってオオカミさんを自分のところへ引き寄せ助けました。

赤ずきんは困っている人を見過ごせないタイプの人間なのです。


オオカミを助けた赤ずきんは、とりあえずオオカミとコミュニケーションをとることにしました。



「こんにちは、オオカミさん。」



その一言だけで、オオカミは赤ずきんに惚れてしまいました。

オオカミさんは、好きな人は食べちゃいたいタイプの異常性癖者だったので、なんとか赤ずきんを食べることができないか考えました。


オオカミさんはとりあえず、赤ずきんがどこへ向かっているか尋ねることにしました。



「赤ずきんちゃん、今からどこへいくの? たった一人で。」


「あのね、おばあさんのお家よ。おばあさんがご病気だから、お見舞いにいくの。」


「なるほど、それでどこだい? おばあさんのお家は。」


「森のずっと奥の方よ。ここからなら、私なら歩いて十五分くらいかかるわ」


「十五分か……。」



オオカミは、ちょっと考えました。


(ばあさんの家を探して、ばあさんを食べてなりすますにはもう少し時間がいるな。よし……。」



「赤ずきんちゃん。おばあさんの家に行く前に、周りを見てごらんよ。こんなにきれいに花が咲いているし、小鳥は歌ってるよ。せっかくだから、楽しく遊びながら行ったらどうかな。たとえば、花を摘むとか。」



赤ずきんは、オオカミの挙動や目線などからオオカミの狙いを大方見抜いていましたが、優しさでオオカミの口車に乗ってやることにしました。



「そうね、オオカミさん、あなたの言う通りだわ。あたし、お花を摘みながら行くわ。」



赤ずきんは早速、いろいろなお花や小鳥たちと『言語理解 極』を使って会話を始めました。



さて、赤ずきんと別れたオオカミは、そのまま真っすぐ、おばあさんの家へ行きました。


しかし、どれだけ歩いてもおばあさんの家につきません。

それもそのはずです。『歩いて15分』とは、あくまで赤ずきん基準の『歩いて15分』なのですから。


オオカミさんは悩みました。

これでは愛しの赤ずきんを食べることができない。どうしよう。と。


どうしてもおばあさんの家に着くことができなさそうなオオカミさんは全力疾走をしようと考えました。

しかし、常識的に考えて全力疾走の速さが長続きするはずがありません。もって1分がいいところです。


悩んだ結果、オオカミさんは赤ずきんに応援される妄想をすることにしました。


頭の中に思い浮かべます。赤ずきんが自分を応援してくれる姿を。



『オオカミさん、頑張ったらご褒美をあげる。ご褒美はわ・た・し♡』



「うおおおおお!」



赤ずきんパワーによって力を得たオオカミは、常人なら5時間かかる距離をなんと15分で走り切りました。

愛の力とはすごいものです。


おばあさんの家に着いたオオカミがトントンと戸を叩くと、



「はいはい。どなたかの?」


という、おばあさんの声がしました。


オオカミさんは、おばあさんを騙すため女の子の声を出しました。



「赤ずきんよ。お見舞いに来たの。開けてちょうだいな。」



それを聞いたおばあさんは、一発で赤ずきんの声じゃないと見抜きました。



「赤ずきんがそんな尻軽そうな声をしているわけがないじゃろう。赤ずきんの声はもっと女神様の声みたいなんだからのう。赤ずきんの名を騙るお主はどなたかのう?」



オオカミさんはこれは騙すことはできないと悟り、ドアを無理やりこじ開けおばあさんの家に突入しました。


すると、好都合にもおばあさんが気絶してしまったため、オオカミはしてやったりとおばあさんのふりをすることにしました。


おばあさんんの着ていた着物とずきんを取ると、あとはぱくりとおばあさんを丸呑みにしてしまいました。

それからオオカミはおばあさんの着物を着て、おばあさんのずきんを被り、ベッドの中へ潜り込みました。



一方そのころ花や小鳥たちと会話をしていた赤ずきんでしたが、お花たちにそろそろ行くよう促されたためおばあさんの家へ向かうことにしました。


お花や小鳥たちにお別れの挨拶をし、全速力の600km/hでおばあさんの家まで向かいました。


おばあさんの家につき、入ろうとすると、赤ずきんは玄関のドアが壊されていることに気が付きました。

そして家の中から獣の匂いがしたため、赤ずきんは全てを悟りました。


部屋の中に入ると、奥の部屋でおばあさんが寝ていました。


赤ずきんはこのおばあさんがオオカミだと知っていましたが、何かおばあさんに変装する理由があるのだろうと思い、あえて引っかかったふりをしてやることにしました。



「こんにちは、おばあさん。」



赤ずきんが大きな声で挨拶をしましたが、何の返事もありません。

赤ずきんはベッドに近づきました。


赤ずきんは、オオカミの変装が甘いと感じたため、どことなく指摘してやることにしました。



「おばあさん、おばあさんの耳は、ずいぶんと大きいのね、」



すると、おばあさんに化けたオオカミが言いました。



「そうとも、お前の言うことが、よく聞こえるようにね。」


「それに目が大きくて、光っている。何だか怖いわ。」


「怖がる事はないよ。可愛いお前を、よく見る為だから。」


「それに、おばあさんの手の大きいこと。おばあさんの手は、こんなに大きかったかしら?」


「そうだよ。大きくなくては、お前を抱いてあげることが出来ないもの。」


「それから何と言っても、その大きなお口。おばあさんのお口があんまり大きいので、びっくりしちゃった。」


「そうとも。大きくなくては、お前を……。」


「……お前を?」


「食べられないからさ!」



オオカミはそういうと、赤ずきんを飲み込むため口を大きく開け、赤ずきんにとびかかりました。


だが、赤ずきんはこうなることを予想していたため、会話の最中に仕込んでおいた魔法を発動することにしました。



「人を食べようとしちゃ駄目だよ? 『タイタルウェイブ』。」



赤ずきんが魔法を発動した瞬間、赤ずきんの周りに大量の水が現れました。

大量の水は津波となってオオカミに襲い掛かりました。



「ぐあああああ!」



オオカミさんは津波に呑まれ、どこかへ流されていきました。



「そういえば、おばあさんを助けることを忘れていたわ。『逆転送』。」



赤ずきんが魔法を発動すると、オオカミのお腹の中にいたはずのおばあさんが赤ずきんの前に現れました。



「大丈夫? おばあさん。」


「ああ、大丈夫だよ。」


「そういえば、おばあさん病気にかかってたんだったっけ。『完全治癒』。」


「おお、ありがとうね。赤ずきんや。」



赤ずきんは、ついでにおばあさんの病気を治しました。



その後、二人でのんびりしていると、急にドアが開き、猟師が入ってきました。



「大丈夫か!? 突然この家から大量の水が流れていたと通報があったのだが。」


「ああ、それなら……。」


「なっ……。」



すると、二人は恋に落ちてしまいました。



「う、美しい……。」


「う、美しいなんてそんな……。」


「お、お名前は?」



その後、二人は結婚し子供を産み、いつまでも幸せに過ごしましたとさ。



めでたしめでたし。





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