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その8 陰陽庁魔法局

「次長、あの、お話、いいですか」


 メガネをかけた女性が自席から、次長席の横まで行って話しかける。


「ん、いいけど」


 パソコンの画面とにらめっこしていた、メガネをかけた男性が、メガネを額にあげて振り向く。


「あの~、ネズミ―ランドの検知器がですね」

「また、外国の魔法使いが、絶叫マシン怖さに魔法をつかったんだろ? まったく勘弁してくれよ」


 女性の話を全部聞く前に持論を語る次長。


「まぁ、一応、特定して警告しないといけないか。面倒くさい。人の国まで来て魔法を使うなって、なぁ」

「あ、いや、ちょっと違うんです」

「違うってなにが?」


 椅子にもたれかかる次長。

 言いにくそうなメガネっ子。


「あの~、違うんです。反応途絶です」

「途絶って……、補佐?」


 次長が横に座る男性に話しかける。


「途絶は通常考えてありえません。回線が切れたのでは?」

「ああ、ちょっと待ったら復旧するんじゃない?」


 困った顔をするメガネっ子。


「あ、でも、主任さんに聞いたら、これをって」


 何かのプリントアウトを見せるメガネっ子。


「これは?」


「途絶する前に、数値が跳ね上がってるから、焼き切れた可能性もあるって」


 顔を補佐に向ける次長。


「今、申請が出てる国家級魔法使いで、現地に遊びに行ってる可能性がある者は?」


 補佐がパソコンを見つめながら答える。


「えっと、アメリカのハロルドさん御一行は北海道、中国の陳さんは京都。うーん、検知器焼き切るくらいの国家級は、それぐらいかな」

「うーん、検知器の故障じゃないのか?」

「主任さん曰く、故障は間違いないけど、故障する原因があるはずだと」

「悪い、山中補佐、行ってくれる?」

「はい。では、出張命令をいただかないと……」

「あとでいいよ」

「では、行ってまいります」

「あ、向井さんも一緒に行ってね。一人じゃまずいケースも考えて」

「はい」


 メガネっ子が返事をする。


「僕から杉田主任にバックアップを頼んでおくよ。あと、情報収集は僕がやる。あとで電話するね。とにかく現場に行ってみて」


 机が8つしかない中で、2人が出ていく。

 次長が電話を掛ける。


「あ、杉田主任? 査察課の江浦です。向井さんから聞いたよ。で、どう思う? そうか、やっぱりまずそうか。あそこの検知器は特別性だったよね? え? 大規模魔法陣の可能性? ……テロじゃないよね? え、なんだって?」


 次長が電話から耳を離す。


「おい、誰か2人を追っかけて、監視課に寄るように言ってくれ」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「え、あ、はい。では、混乱も被害もないということですね。わかりました。で、テーマパークの入場料は公費で出るんですか? あ、はい。事務所に行けば入れるんですね。わかりました。手帳ですか? 持ってますよ。大丈夫です。わかりました」


 車の助手席で向井が電話を切る。


「なんだって?」


 運転しながら山中補佐が電話の内容を問いただす。


「データ上、魔法行使の痕跡は認められるが、人的・物的被害は皆無。混乱も起きていないということ。運営側に話は通っているので、事務所を訪ねると、中に入れてくれるそうです。やりましたね。無料ですよ。一回、入ってみたかったんです」

「え、行ったことないの?」

「ええ。田舎育ちの新社会人ですよ。行けるわけないじゃないですか?」

「修学旅行は?」

「中学のときはルナ・ワールドでした」

「そっか。話はもどるけど、じゃ、やっぱり検知器の故障?」

「いや、どうなんでしょう。検知器って、簡単に故障するんですか?」

「故障したら困るだろう。大体、魔法局の存在だって内緒なのに、施設開園時に強制的に設置させられて、早々、故障して交換してたら怪しいだろ? 過酷な環境でも最低10年は持つっていう話だ。一番、古い型で50年近く前のが、現役で稼働している。そもそも、魔法検知素材は、適切に管理していれば半永久的に使えるという説もある。故障するのは、それを電気信号に変換する部分や、電源部分だ」

「山中補佐、詳しいですね」

「この課に来る前が監視課だからな」

「そうなんですね」

「うーん、それだけの反応があって、被害なしか。不思議だね。洗脳魔法じゃなきゃいいけど」

「えー、なんですか怖い魔法ですね」

「知らない? 昔、新興宗教が人を集めてやってたんだ。教祖が魔法の素養があってね」

「野良の魔法使いですか」

「そう、それだ。それで無意識に洗脳の魔法を発動させて勧誘してた。一見、被害が目に見えないから、発見に時間がかかってね」

「怖いですね」

「その時は、検知器に定期的な魔力反応があって、おかしいなと思って調査したら、新興宗教が定期的に儀式みたいなことをやっててね。野良だから半分はしかたないけど、取り締まったよ」

「その時は、焼き切れなかったのですか?」

「精神系の魔法はかなりの魔力を使うけど、それでも故障はしなかった。テーマパークみたいな人が集まるところで大規模にやられると大変だけど、洗脳系は一度にそんなに多数には無理。扇動系や鎮圧系ならまだ考えられるけど、探知機を焼き切るってのはちょっと……」

「そうなんですね」

「あとは、龍脈系か地脈系の異常かな。あの施設は真上だし」

「へぇ~、そうなんですね」

「あれ? 習ってない? 流行っている施設は、龍脈、地脈、風水とそろってるって」

「あ、そうでした」

「ま、とにかく、現地だね。見えてきた」


 車は巨大なテーマパークの手前にある巨大な駐車場に乗り入れられる。


お読みいただきありがとうございます。

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