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ハルキ、初戦

 ハルキよりジョーのほうが頭半分は背が高い。

 そして、ジョーのがっしりした体格に対し、細身のハルキ。

 着ぐるみなので若干モコモコしているが、魔法による防具を装着することも想定されているようであり、魔法の鎧などの魔法を使うと、鎧とぴったりと張り付く不思議素材で……いや魔法か。

 ゴジラの着ぐるみを着るハルキは幾分大きく見えるが、ゴリラの着ぐるみを着るジョーはかなり大きく見えるので、体格の差がより一層強調された形だ。

 前の試合で試合会場にほとんどダメージはない。

 すぐに開始されるようだ。


(ジョーは土魔法。タイガーさんとそっくりの魔法)


 対峙すると威圧感がすごい。


(とりあえずできることを全部ぶつけよう!)


「ジョー選手と新人のハルキ選手の試合です。ホークさん見どころは?」

「そうだな、順当にいけばジョーだろうが、ハルキの成長が見たいな」

「ということで、ハルキ選手、頑張ってください」


 カーン。

 ゴングが鳴る。


(とりあえずは……)


 ハルキとジョーは土魔法で鎧を作る。

 完成のタイミングはほぼ同じ。


「おっと、ハルキ選手、鎧の生成スピードは負けてませんね」

「ああ、早いな」


 そこに男子から奇妙な応援が飛ぶ。


「ジョー! あれ、やるんだろ?」

「ジョー! やってくれ!」

「いつものは? ジョー!」


 するとジョーが、ふっふっふと笑いだす。


「よかろう、諸君! ハルキ、ハンデをやろう! 1発だ! 1発だけ先に殴らせてやる!」

「「「おぉぉぉぉぉぉ!」」」

「ジョー様!」

「色男!」


 意味不明な歓声も飛ぶ。


(リーゼントでもないのに、男前のセリフ……フラグじゃね?)


 同じことを考えたのか姉の声が聞こえる。


「ハルキ~! テンプレよ~! やっちゃいなさーい!」


(はぁ、何がテンプレだよ)


 心の中ではため息をつくが、流れに身を任せるハルキ。


「押忍! ジョー先輩、お願いします!」

「そうそう! ガツンと来い!」


 歩み寄るハルキ。

 腹に魔力を集中させ、待ち構えるジョー。


(1発って言ったけど、これは腹に1発ってことだよね? これで顔殴ったらブーイングだろうな……)


「それでは、いきます!」

「おうさ!」


 右手に力と魔力を込める。


「えい!」


 鎧をバキっと割って、ズドッと1発、腹をぶん殴るというイメージ。

 練る。


「せいっ!」


 ドングシャズゴッ!

 すごい音がする。


 ハルキの右手は、ジョーの砂の鎧を粉々に砕いて破壊し、ゴリラの着ぐるみの腹、つまりジョーの腹に突き刺さった。

 ジョーの鎧が砕けるのは一瞬であり、まるで早着替えだ。


「う、うほっ!?」


 ジョーは悶絶し、膝から崩れ落ちる。

 静まり返る試合会場。

 タイガーがジョーを確認するものの、手を交差する。


「なんと、試合終了です! 勝者、ハルキ選手!」

「「「おぉぉぉぉぉぉ」」」


 タイガーがジョーをお姫様だっこで抱える。


「だ、大丈夫! わ、悪い!」


 駆けよるハルキ。


「俺は信じてたぜ……」


 意味不明な言葉を発するジョー。


「大丈夫だろう。ジョーは鍛えてあるからな。俺が運ぶ、ハルキは観戦していろ」


 タイガーはそう告げると、お姫様だっこのままジョーを連れていく。


「た、タイガーさん、あ、歩けます。お、降ろしてください」

「軽いぞ、運んでやる」

「あ、いや、お姫様だっこは」


 やり取りを聞いて大丈夫そうだと判断したハルキは観戦に戻ろうと歩き出す。


「どうですかね、ホークさん」

「ジョーは油断しすぎだ」

「やっぱりそうですか。いけませんねぇ、せっかくの入れ替え戦なのに。では続いては、ルナ選手とエリカ選手です。準備に入ってください。さて、ホークさん、次の見どころはいかがでしょう?」

「うむ、エリカは良い使い手だが、ルナとの相性が悪いのか、ここ何回も勝っていない。奮戦に期待したいところだ」


 ハルキは、ルナとエリカとすれ違う。ルナの余裕そうな表情に比べて、エリカは青ざめている。

 観客席……といっても椅子はないが……に戻ると、マナトとユーシに捕まる。


「お前、すげぇな。ジョーの鎧を殴ると、普通、手のほうが痛いのに」

「そうだよ、お前の土の魔法もすごいな。後でどんな魔法陣か教えろよ」

「お、おぉ」


(あれ? 特別な魔法は使ってないのだけれども……)


「あれってさ、あの鎧って、バラバラに壊れるんだな。初めてみたよ」

「だな……ん? そうだっけ?」

「あ、次が始まる」

「お、ハルキ、始まるぞ!」

「お、おぉ」


(お前らが話しかけてきたんだろう?)


 心の中で愚痴を言いつつ、観戦することにする。


 カーン。

 ゴングがなる。


 ルナ対エリカ。

 着ぐるみとしては犬対パンダ。

 エリカが詠唱を始める。

 犬は左右の足を軽く広げ、いつでも左右に動けるような姿勢をとる。

 そのまま、エリカの出方を観察したのち、すぐに魔法がやってこないとみると、自分も詠唱に入る。

 パンダは、詠唱しながら左手を動かしたりしているが、魔法の発動の兆候は観察できない。


「ホークさん、この戦いどうでしょう?」

「ルナは変化の魔法が得意だからそれだろう。エリカは水か氷の魔法だろうが、まだ発動しないな。いつもと作戦が違うのかもしれん」

「なるほど、ルナの魔法が既にかけられているようですが」

「ルナの変化魔法は成功したり、失敗したりだからな」

「なるほど、おっと、エリカの詠唱が終わりません。何か仕掛けを作っているのでしょうか。それとも複雑な魔法を使おうとしているのでしょうか」


 エリカが唱えながら、指先をくねくねと動かし出す。


「ホークさん、あれは何でしょう?」

「あれは、魔法陣を覚える時に、ああやって覚えたのだろう」

「なるほど」


 ルナが焦り出す。

 もう何度も魔法をかけているがエリカに効果を及ぼさない。


『Water Tentacles』


 ルナの周囲に巨大な魔法陣が出現する。

 詠唱が終わったようだ。

 突然、土の中から水でできたロープのようなものが現れる。


「きゃっ!」


 それがルナを捕まえて縛り上げる。


「詠唱長かったけどすげぇぞ」

「すごい魔法陣だったな」

「あんな魔法あった?」

「あったけど、覚えてないよ」

「複雑すぎ」

「あれだけの水、よく集めたな」


 ギャラリーが興奮して口々に語る。

 水の触手がルナを縛る。

 だんだんと子供達には刺激の強い絵になってくる。


「ちょっと、いや、えっと」


 焦るルナ。

 とても次の魔法を繰出せそうにない。


「そこまで。勝者。エリカ」


 静かに淡々と宣言するオウル。


「「「おぉぉぉぉぉぉ」」」


 エリカはホッとしたのか、中級者の女子のほうに振り返り、Vサインをした。

 姉は、ハルナと抱き合って喜んでいる。


「「やっほーい! やった~ 勝った~」」


(……姉ちゃん、次の試合、その人とだよね?)


お気に入り頂ければ、

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明日の朝、次回、投稿予定です

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