表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/221

モエミ、最大の危機

あけましておめでとうございます。

体長不良で滞り気味ですが、よろしくお願いします。

「ハルキ、自主練行こうぜ!」

「そうそう、俺は魔力ねぇけど、お前の自主練いこーぜ」

「なんだよそれ?」


 ハルキが苦笑しながら応対する。


「お、ハルキ君、お友達できたの? よかったねぇ」

「は?! 馬鹿じゃね? 子供扱い……」

「マナトです」

「ジョーです」


 マナトとジョーはモエミに丁寧にあいさつする。


「マナト君にジョー君ね。歳はハルキと同じくらいかな? よろしくね」

「「い、いえ、こちらこそ」」


 マナトとジョーも男の子だった。


「ところで、自主練てなに?」

「え? ハルキ君、言ってなかったんですか?」

「ぼ、僕たちが、ハルキ君の自主練を手伝ってるんです」

「あらぁ、そうなの! ありがとう。私も見学しに行っていいかな?」

「は、はい!」

「も、もちろんです!」

「俺の意見は?」

「「もちろんいいよな!」」

「……はい、いいです」


 流されるハルキ。


「えっと、どこでやるのかな?」

「お、屋上です」

「そうそう、屋上です」

「そっか、じゃ、先に行っててね、あとで合流するわ」

「「はい!」」

「ほら、いくぞ、ハルキ」

「そうそう、いこうぜハルキ」

「なんなんだよお前ら……」


 いくつか道具を取り、扉からでる3人。


「ふぅ、では、癒しの魔法陣を模写して、返却したら、情報収集かな……」


 水入れに手を伸ばそうとして、思いとどまり。魔法で水入れからコップに水を注ぎ、そのコップを手元まで移動させた。

 一口、水を口に含む。


「ふぅ、思ったより、魔法って不便なのよね。まぁ、まだ、何ができて何ができないかもわからないし」


 そのまま、窓際に歩み寄る。

 もう景色が見える光量ではない。尖塔の青い光を城の外に設置している鏡が反射している。


「何か、根本的なことを忘れているような気がするし……、ま、いいか、目の前のことをしよう」


 コップを置こうとして、今一度、思いとどまり、魔法でコップをテーブルの上に置くと、癒しの魔方陣の模写を始めた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 モエミが癒しの魔法陣を返却して、屋上に向かおうとすると、階段のところにウルフとクロウが立っていた。


「お嬢さん、お出かけですか?」

「自主練習は一人ではあぶないぜ、おれっちも手伝ってやろうか?」


(あー、こうきたか。面倒くさいなぁ)


「あら、ご丁寧にありがとう。でも、弟が待っているので」

「弟も自主練とは殊勝な心得」

「へぇ~、それはそれで興味あるな、ついてっていいだろ?」

「別に秘密の特訓というわけではありませんし、どうぞご随意に」


(こうなったら、逆手にとって、情報収集と割り切るしかないわね)


 明確な嫌がらせではなさそうな気配を感じ取ったモエミは、対応を切り替えることにする。

 にっこり微笑みながら、階段を上がり始めると、ウルフとクロウがついてくる。


「そういえば、5階の動物たちは、どなたがお世話をされてるんですか?」

「……我々ではない」

「そういえば、俺ら、世話してねぇよな。ケモミミ達がやってんじゃないかな」

「そうなんですか、触ったり、遊んであげたりしないんですか?」

「禁止事項である」

「あれ? 知らなかった? 触っちゃだめだぜ」

「そうでしたね、かわいいのに」


(うーん、会話が難しい)


「姫が飼ってるんですね」

「あー、そうだな。姫が話しかけてるもんな」

「思うに、姫の使い魔候補ではないのか。我々の接触を禁止しているし、時折、数も増えている」

「増える?」

「しかり。少しづつ増えている。召喚して従属させようとしているのではないか」

「へぇ……あの、ちびっこゴーレム――コーレムちゃんだけじゃないんですね」

「しかり、ゴーレムとミツバチが姫の使い魔である」

「へぇ……姫以外の方で、使い魔を使える方っているんですか?」

「いねぇよな。姫だけだよ」

「しかり」


 続かない会話をしていると、屋上に到着する。

 屋上は初日の夜に感じたのと同様に、美しく幻想的な空間となっていた。

 すみっこで、ハルキ、マナト、ジョーが魔方陣らしき板を持って、魔法の練習をしているのがわかる。


「お二人も、かなり練習されたんでしょう? ウルフ先輩は水、クロウ先輩は火ですか」

「先輩とか言われると、なんか恥ずかしいな。もともと川とか海とか大好きでさ、部活も水泳部だから、なんとなく相性がよかったのかもな~」

「火を操ることを宿命として定められていただけである」


 自主練組のところに到着。


「げ、ウルフさんに、クロウさん、なんで」

「「げ」とはなんだよ、「げ」とは」

「最近、中級者クラスに出席していない。何か陰謀でもあるのか」

「いやいや、そんなわけでは」

「そうそう、違うますです」


 マナトとジョーがしどろもどろになる。


「俺たち、ハルキの練習を手伝ってるんです」

「そうそう、そうなんです」

「自らの研鑽もできない輩が、よく言う」

「そうだぜ、自分の練習しなきゃ、俺らに勝てないぜ!」

「お、自主練か、すばらしい!」

「あ、ホークさん」

「「「ちわっす」」」


 男の子たちは頭を下げる。


「ウルフとクロウが、女性をつけていったような気がしたので、来てみたが、自主練習だったのか。うむ、よいことだ! で、なんお練習だ?」

「あ、いや」

「……」


 突然のホークの登場に、引っ込みがつかなくなるウルフとクロウ。


「ぞろぞろと、屋上で練習? ピカピカ系は、下の階が迷惑だからだめだよ~」


 フェニックスもホークの後ろから登場する。

 女の子に男の子2人がついてきたので、心配したのかもしれない。


「あ、フェニックスさん。さっきはどうも」

「あれだけやって、続けて自主練? タフねぇ~」

「いやいや」

「イベント? 聞いてない。オコ」


 オウルも顔を出す。


「あ、えっと、違います」

「……」

「おまえもなんか、言えよ!」


 とっさに言葉が出てこないクロウはまだまだだなと、モエミは思う。


「えっと、あれ、やろ」

「あーっと……」

「いいねぇ、やろやろ」


 オウルとフェニックスが何か盛り上がっている。


「みんな~、久しぶりにあれやろ! 集まって!」

「えっと、あれって何すか」

「えー、俺……」

「あ、トイレ……」

「こら、逃がさないわよ! 男の子でしょ!」


(……いやな予感)


オウルを見ると、口元が上にあがって笑っている。アルカイックスマイルというやつだ。


(もしかして!)


 モエミは退散しようとするが、逃げられる空気ではない。


「あ、あの、あたし……」

「あら、モエミちゃんもやるわよね?」


 ニッコリとほほ笑むフェニックス。


「やるって、何を?」

「もちろん、夜、暗い所でするって、あれでしょ、あれ」

「……あれ?」


 みんなが車座に座っている輪の中に座らされる。


「今日は1周だけにしようか? 一人1話ずつ、とびっきりの怖い話をしていくの!」

「!?」


 容姿端麗。友人のバスケットボールの試合の応援に行くと、隣のコートで試合をしている男子が、アピールの為か、自己中心的なプレイに走るため、出入り禁止になる。

 頭脳明晰。成績は学年で常に1桁をキープ。

 好きなもの。日常系アニメ。ゲーム。マンガ。

 嫌いなもの。怖い話。自宅は2階建てだが、未だに一人で2階に上がれない。なお、家は吹き抜けがある構造なので、声も聞こえ、1階が明るいと2階も明るいのだが、モエミは必ず誰かを連れて行く。怖いマンガもアニメもみない。仮にテレビに映ろうものならば、大声を上げて電源を切るか、チャンネルを変える。宿泊訓練でも夜のトイレは必ず、誰かを起こす。小学校の時についた、唯一ネガティブなあだなが「怖がり」。

 モエミにとっては、怖い話は鬼門。


「さぁー、始めるよ、誰からいく?」


(怖い話を聞くなら死んだ方がいい!)


「私が当てようか?」


 嬉々としたフェニックス。そして、ほほ笑むオウル。この2人は確信犯だ。友達にもいる。なぜか女の子なのにホラー系とかゾンビ系のマンガが好きな子。きっと同じ系統だ。


(考えろ、考えろ、どうする? どうやって切り抜ける? どうしたらいい? ここは超推理で! なにかアイデアを!)


「はい!」

「あら、モエミちゃん、昼も積極的だけど、こっちもOKなの?! じゃ、モエミちゃんにやってもらおうかな」

「あ、はい」


(うわ、何やってんだ。アタシ。どうしよ、どうしよ、どうしよ、出てこい! 超推理!)


モエミ、通算4回の召喚の中で、本人ランキングで1位のピンチに遭遇した。


お気に入りいただければ、ブックマークしていただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ