表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【実習】看護学生の奮闘記

5歳児の優しい心

作者: 菜須よつ葉

『よつ葉ちゃん、絵本読んで』


ともちゃんが声をかけてくれました。


『良いよ。どれかなぁ?』


ともちゃんへ返事をする看護学生。


今日の担当は小児科病棟、女の子の6人部屋でした。


『よつ葉ちゃん、これ!』


と一冊の本を渡されました。そんな時、指導看護師さんに声をかけられました。


『菜須さん、はなちゃんのレントゲン室への送迎今から行ってくれる』


と指示を受けました。絵本は、お預けです。ともちゃんに「レントゲンから戻ったら絵本読むからね。少しだけ待っててね」と声をかけました。


『嫌! 今!!』


との返事に困る看護学生。ともちゃんのお母様が説得をしてくれていました。それでも許してもらえない様子に、ともちゃんのお母様が私に「行ってください大丈夫ですから。ごめんなさいね」と言って下さいました。本当なら私が説明をしてわかってもらわなくてはいけないが、レントゲン室で待っている医療スタッフをあまり待たせるわけにもいかない。ともちゃんのお母様にお礼を伝えて、はなちゃんをレントゲン室へ連れて行くその時ともちゃんが


『よつ葉ちゃん、キライ』


と言われちゃいました。絵本を読んでもらうのを楽しみにしてくれていたのが痛いほど伝わってきました。でも、ここで迷っているわけにはいかない。はなちゃんを連れてレントゲン室へ向かう廊下を手を繋いで歩く。


『よつ葉ちゃん、大好き! はなちゃんが、よつ葉ちゃんを守ってあげるね』


と言ってくれました。小さくても、先程の出来事をに気にしてくれていたんだと思いました。


『よつ葉ちゃん、泣かないでね』


『泣いてないよ。大丈夫! はなちゃん、ありがとう』


話ながら廊下を進んでいると無事レントゲン室に着きました。受付で来たことを伝えました。


しばらく待つとレントゲン室の扉が開き、はなちゃんが連れていかれました。技師さんに任せて廊下で待つ。


初めて言われた「よつ葉ちゃん、キライ」にショックを受けていたのを、感じとった5歳児に「よつ葉ちゃん、守ってあげるね」と言われてしまう情けない看護学生。


初めて6人部屋を任され、戸惑う出来事でした。


こんなことでは、看護師として通用しないと考えさせられた出来事でした。




何気ない一言でしたが「よつ葉ちゃん、キライ」は、ショックでした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 子供の言葉って刺さるものがありますよね。純粋なだけにストレートな気がします。絵本を楽しみにしていた、ともちゃんの気持ちもわかりますがf(^^; しかし、意味を深く考えずに発しているお年頃なの…
[一言] うーわーっ。子供らしいと言えばそうなんだけどっ。 子供って、簡単に「好き」「キライ」を言う時期ってあるから、余り気にしなくて大丈夫ですよ。 そういう言葉や悪い言葉(バカ等)、体の特定の部位…
[良い点] 子どもはストレートですからね。確かに胸へ刺さります。 周りのことはそっちのけで、今、この時でなければダメなんですよね。接するのも難しい。 拒絶と擁護。複雑だけれど、少しでも救いがあって良…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ