8. あくまで普通。
新キャラ登場です。
うわ、二ヶ月ぶりの更新って。
すみません!
ある日の朝、
「hallelujah!!」
オレの部屋に神を讃える声が高らかに響いた。
それはテスト明け休みで死神や悪霊たちとだらだらしていた時のこと。
何もない空中に突然剣がはえてきた。
死神の頬をかすりかけたが、死神は寝ころんだまま微動だにせずにっこりと黒く笑んだだけ。
こっちを向いてきたからオレも微笑み返してやる、よりドス黒く。
宙に浮く剣に対して誰も驚くワケでもなく怖がるワケでもなく、オレは部屋の端に置いてあったものをただ淡々と手にした。
生えてきた剣先は不器用に空を切り裂く。
やがて人が一人通れるくらいまで斬ったところで剣が引っ込み、ガッタガタの裂け目から今度は何やらズルリと黒いものが出てきて……、
オレはそれを問答無用にたたき落した、ハエ叩きで。
「ぶッ!?」
べしゃっと音がして出てきたものが落っこちる。
続いてその頭を思いっきり踏みつけた。
これで侵入者は動けません。
という訳で、《不法侵入者の捕まえ方(上谷家風)》をお送りしました。また次話でお会いしましょ「待て待て待て待て!終わるな!俺来たばっかだし!」下のハエがうるさいですね。
「うっせーなこの不法侵入者が」
「あっアンタなぁ……!」
「黙れ潰すぞ」
軽ーく殺気をこめて言うと、とりあえず大人しくなったようだ。
「で、お前はなんだ?」
いつもの通り聞く。
これがいつも通りというのが果てしなく哀しい。
黙り込む闖入者に、死神はかったるそうに立ち上がって憐れみの目で覗き込んだ。
「キミ、ちゃんと謝った方がいいよ〜。あっくん怒るとすっごく怖いんだから」
「くくっハレルヤ! 勘違いすんなよ、俺別に怖いとかねーし第一俺は人間になんか絶対謝らな…って、はれ? 死神様?」
「へぁ? ボクを知ってるの? ………あ、フィーくん。」
死神が驚いたように目を丸くする。
オレは大きなため息をつき、死神に訊いた。
「また死神の知り合いか?」
「えへへ、まあね。 友だちの悪魔だよっ」
照れくさそうに頭を掻きながらオレの足元を指す。
その言葉に今日二度目のため息。
「友達結構大いにつくるがいいさ。だが、お前の友達に住居不法侵入罪を犯してないヤツはいないのか?」
ちなみに天下の神様も立派な不法侵入者。
「まぁ、…………いないかな。」
頬を染めてハニカんだように言う。
つーかいないのかよ。
そこにアクマ(?)が口をはさむ。
「死神様を責めンな人間風情が! 無断で入っても誰も咎められないくらい高尚な存在だってことだ! ハレルヤ!
……てゆーかフツー俺らは見えも触れもしねーから気にする必要もないだけだけど」
あ、そっか。
前半は足の下にいるやつに言われたくなかったが、後半部分を聞いて妙に納得したオレは足の下の悪魔を放してやることにした。
「ッてー……。ンだよ、こいつ」
「口のきき方には気をつけろよ悪魔」
「構図から行くとあっくんの方が悪魔っぽいけどね?」
「確かに。マスター、もウ少シヤわラかく接してあゲヨウよ」
「「ハルの悪魔ー!」」
てめぇら揃いもそろって……
「そうかそうか、みんなで追い出されれば怖くないよなー。 出てけ」
言葉と共ににっこりと微笑んでやる。
「すンマセんっシたぁぁァアアアああ!!」
「「うわぁぁああ――――ん!ハル怖い―――――――!!」」
「ぐふ……っ!」
オレが優しく笑って言ってやると、人形は即座に土下座し、悪霊どもは抱き合って顔を泣きだし、しまいには死神が魂が飛んでったかのように倒れこんだ。
おいおい、オレは悪魔か。
現職がいる前でやめてくれ。
「冗談だよ、ホレこっちの世界に戻って来い」
死神の襟元をつかみガクガクと揺らす。
まぁ、半分以上冗談じゃねぇけど。
そんな光景を悪魔はぽかんと見ていた。
「おら見せもんじゃねーぞ」
「死神様……何なさってンですか、この人間、もうすぐ殺すんでしょ?」
「え? なんで?」
死神が素っ頓狂な声で逆に訊き返すと、悪魔はますます奇異な顔をして
「なんでって、俺らの姿が見えてるどころか触れるっつーことは、もう死期も大分近いってことですよね」
「あーあー。でもあっくんはボクの家主さんだから。てゆーか見えるのとかは体質だしね?」
「そーゆーこった。さぁとっとと出てけ」
てゆーか、そこに開いてる空間の穴何とかしろ!
妙に部屋が暗くなるし急に空気は冷え込むしつかなんかどろどろしたヘドロみてーなダークマタみたいな物質出てきてんですけど!?
悪魔はそこに突っ立ったままうつむいた。
と、肩が震えだしたかと思うと、口から声がもれだした
「フィーくん?」
「…ッ……ぅくくくくく…ふふふふはははあはははははははは! ハレルヤ! なんて素晴らしい! ハレルヤ! ハレルヤ!」
「なんだ悪魔狂ったか、知り合いの悪魔払い呼んでやろうか? いろんな意味で楽になるぞ一瞬で」
「ハレルヤ! 遠慮しとく。そうかアンタがねぇ」
悪魔はオレの前に立ち、ジロジロと全身をなめるように見る。
色々言いたいことはあるがとりあえず
「変態かこの野郎」
「へぐっ!」
一発殴っとく
悪魔はゴロゴロと転がり、壁に激突。かなり良い音がした。
しかも打ち所が悪かったのか、悶絶する悪魔。
「何すンだぁぁぁああ! ケンカ売ってんのか!」
「そりゃこっちのセリフだっつの。ケンカ買うっつんなら今なら五万で売ってやるわ! 来い。」
「高っ!」
大げさに驚く悪魔。
「アンタ…、そぉかなるほど、いろいろ納得した……。神の管理人やってられるわけだ……。えーと、なんつったっけアンタ……?」
「アキだ、上谷秋紀。」
「かみや、あき…アキ……ああ、アキね。はは、ハレルヤ…なんつー名前だ」
お前にだけは言われたくない。
悪魔にいい名前じゃないとか言われると、縁起悪ぃっつか気分悪いわ。
「俺は」
「悪魔のフィーくんだよっ!」
今度は死神が横から口をはさんでくる。
「うっせー、おめーに訊いてんじゃねーの!」
「マスター変なとこでキレないで!」
「お前もこうゆー時だけ綺麗な発音してんじゃねー!」
突っ込んで悪ぃかあぁん?
最近いっかいキレて家事放棄して悪かったと思ってたから冷静に過ごしてたっつーにわざわざキレさすのはドコのドイツだ。
「いいよ、気にすんねィ。フィーって愛称も気に入ってんだ、アキ」
「そか。でもまぁオレの家族の問題だから正直お前は関係ない」
アキ、か。
珍しくマトモな呼び名だな。
「なんか親近感湧くわ、お前の名前。しばらくここいてもいいか?」
「は?」
「いいよー、何日でも泊まってって!フィーくんなら大歓迎!」
「「フィーくんよろしくー!」」
「お手伝イシテ下さルナら、いくラデモうぞ。よウコソ上谷家へ」
「死神に招待される悪魔ってのもなかなかシュールだがね、お邪魔させていただきますわ。つーわけだ。世話んなるなアキ」
「はぁぁあああああ?!」
このあとオレが死神と人形に最高のブレーンバスターを極めたのは言うまでもない。(悪霊どもは逃げて、悪魔は爆笑してやがった。殴っといたけど)
もうすぐ春休みも終わりですね。
というわけで、またまた更新が遅くなります!
本当に申し訳ございません!
こんな愚作者に呆れないで読んでいてくれると嬉しいです。