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オレの部屋  作者: コロ
3/12

3. 朝、けふこのごろ。

準レギュラー予定のお方、登場です!

今日オレの部屋に神が降りてきた。


いや、もともとウチには神サマっぽいの居たけど

なんか本物らしき方が降りてらっしゃいました。


いや、たぶんウチのアイツもちゃんと本物なんだろうけどさ。


つーか

オレ、キリスト教でも仏教でも神道でもねーのになんでこういうすっげぇのが普通に降りてくるかな。

もっとなんかそれらしい奴ンとこ行けよ。

それこそなんだ、敬虔(けいけん)な子羊とやらのところへでもよ。

 

 

事の発端は今日の朝。

 

 

早朝

いつもどおり5時半前には目が覚めたオレは、

いつもどおり家事をこなし、

いつもどおり一通りそれが済んだところへ

丁度仕事から帰ってきた死神に茶を淹れてやって

いつもどおり普通に一息ついていた。

 

ところが、

 

「神様?」

 

死神が突然変なことを言い出した。


「は?なに言ってんだ死神?

神サマはテメーだろ。

ボケたか?ついに神もボケたのか?」

「ちがうよあっくん、後ろ後ろ」


死神が指差す方へと顔を向けるといつのまにかそこには純白の少年が立っていた。

その背にはキラキラと後光が差している。


「あ?死神、コイツ誰…」

「やっぱ神様だ、お久〜。っていうかどうしたの? なんかあったの?」


無視か。


完全無視か。

いい度胸だ死神、今日のテメェの晩御飯に主食は無いものと思え。


「う、うん。久しぶり、死神」


純白の美少年は多少つっかえながら答えた。


「んで、神様何のよう?」

「いやまぁなんというか、えーと………。」


美少年は戸惑いがちにオレを見た。


なんだ?


「あの、いいの? さっきから君が無視しているこの方は……?」


お、カミサマいいやつじゃん。


「あ、あっくんね。まぁ気にしないで、空気みたいなもんだから。話し続けて良いから」


……死神………。


「そうかそうか。よっぽどキサマ、家を追ン出されたいわけだな……?

 うんうん、何も言うな。わかってるわかってる。オレは空気だから何も聞こえないわけだしな。」


さすがの俺もキレるぞ?


「わ―――〜〜! 違う! 違うって! あっくんやめて! ごめん謝るから!悪かったって――――――――――へぶっ!!」


良し、いいだろう。ただしお前の夕飯主食無しは決定事項だからな。

心やさしいオレは夕飯主食抜きとビンタ一発で許してやることにした。


「まったく……。ンで、こいつは何なんだ?」


オレは言いながら美少年を指さした。


「あ、はじめまして。お邪魔してます。」

「ああはいはいごゆっくり…じゃなくて! 何なんだよ!」


頬のはれた顔をさすりながら死神は呆れたような顔をした。


「だからさっき言ったでしょ? 神様だよ」


ンなもん聞いとったわ!


そうじゃなくて、なんでそんなもんがここに居ンだっつーの!

ある意味大問題じゃねーか!


つーかその前に信じられるわけねーだろ!


「えっと神です。どうぞよろしく」

「ああ、オレはコイツの家主の上谷秋紀…」

「通称『あっくん』だよ!」


死神、今日のお前の夕飯はたくあんのみな。決まり。

……その恥ずい名前をさらっと出すなや。


いや、というかその前に神様ってこんなに簡単に降りてきていいもんなのか?


「別にいいんじゃない?問題ないさ、ボクだっているしね。

 あと夕飯たくあんオンリーって。」


心ン中、読むんじゃない!マジで追い出すぞ!


「わわわっ、ゴメンって!」

「ったく……。ンで?その神様ってのは何しにきたんだよ?」

「あっ、そうでしたそうでした。えっと死神。」


神様は死神のほうを向くと表情を引き締めて言った。


「業務連絡です。キミのさっきのお仕事で魂の獲り忘れが確認されました。

今回はひとつだけだったので僕が回収しておきましたが、次からは気をつけて下さい。

以上です。」


死神………


「テメー仕事サボったんかい……」

「ち、違うって!手違い!手違いだよ!」


死神必死。


俺は一度ため息をつくとぶーたれた死神の頭を撫でながら

神様とやらに言った。


「わかったわかった、もう忘れんじゃねーぞ。人の生死に関わる仕事なんだし。

神様だっけ、お前もこんな朝早くに御苦労さんだな。なんなら一杯茶でも飲んでいくか?」


さすがに部外者には優しくする。


「あ、まだちょっと忙しいので今日はここで失礼させていただきます」

「そうか、じゃあ仕事とやら頑張れよ。あ、そうだ死神、神様送ってってやれよ」

「え?僕が?」


微妙な顔をする死神と

不快感をあらわにしたオレ。

 


「行けよ………?」

「はいぃいぃぃぃいぃぃいい!!」


死神は泣きました。





 “ In 白い光 ”


「君もいろいろ大変なんだね」


「まね。でも楽しいよ、あの家は」


「君を見てると分かるよ。でもどうして彼は自分の名前が嫌いなのかな」


「ああ、それはたぶん僕らが好き勝手に呼んでるからだと思うけど……。

 でもまぁ上谷…もとはきっと神家(カミヤ)かな、

 ボクはすっごくいい名だと思うんだけどなァ」


「うん、僕もそう思うよ。……あ、もうこのへんでいいよ」


「もうちょっといっしょに行くよ。また何時でも来てね?神さま」


「でも、あそこは君の家じゃないだろう?いいのかい?また行っても」


「あっくんも口ではああいってたけど、神様がまた来るの楽しみにしてるって。

きっと来てくれたら喜んでくれるよ、心の中ではね。だから遠慮しないでまた来て。」


「本当かい?それは嬉しいね」


「うん! あっくんはああいう人間なんだよ、裏表ありすぎ」


「ふふっ、そうみたいだね。素直じゃないけど真っ直ぐな人だ」


「ま、そーいうところが可愛くもあるんだけどー」


「そうだろうね。

 じゃあホントにもうこのあたりでいいよ、ありがとう。

 死神、仕事はきっちりやってね。」


「うぅ〜、わかってるよぅ、それくらい〜。神様だってサボっちゃダメだよ?」


「もちろんさ。じゃあまたね、死神。」


「うん。じゃあね、神様。」






こうしてオレの部屋の朝は過ぎてゆく。



非日常たちとの日常は朝も昼も夜も退屈しなくていい。

だが逆を言うと朝も昼も夜も面倒なことが起こりっぱなしだ。


ああ、疲れる………。



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