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オレの部屋  作者: コロ
12/12

12. 青空、赤くなる前。

ぎりぎり2カ月以内です。

更新速度…どうにかならんもんか……。

ホワイトデーはオレのものーw

イライラしている。

イライラしていた。


「おい死神、何キレてんだよ」

「怒ってないよ、イライラしてるだけ」

「やっぱへそ曲げてんじゃねーか」


嘆息するあっくんを横目にてこてこと前進。


ボクはいま、自分がひとに見えるようにしている。

もちろん姿はあっくんと同じくらいの年頃。

蒼いパーカーに、古びたジーンズ。

結構前にあっくんに買ってもらったお気に入り。

すりきれて、色あせているけど、それも時の流れがさせるもの。

その流れがとっても愛おしい時もあるけど、でもいまは……。


「なんだっつーんだまったく、何が気に入らなかったんだ?」

「別に? いや、あの時は大変だったなぁって思ってさ」

「…………………あぁ、アレな」


忘れたふりをしてとぼけるあっくん。

ある意味ありがたい、ごめんね。


今日は久しぶりにあっくんちの学校へお邪魔した。

まぁその時はさすがに姿さらすわけにもいかないし、消えてたけど。

その日受ける最後の講義だったらしく、あっくんは疲れた顔をして「今帰んなよ。帰りに新しい服買ってやるから」と引き返しかけたボクの袖を引いた。

ヒマならこれで終わりだし授業でも聞きながら待ってろと命令して、むりやり自分の横に座らせた。

ボクもボクで「ハーイ☆」とか無邪気に喜んでたまではよかったんだけど……



「あっくんみたいに憑いた人も、友だちだった人も神もみんなみんないなくなっちゃった。ボクが殺ったんから、当たり前なんだけどね」


そこでわざとケタケタと笑ってやる。うわ、サイテーだボク。

ま、人間の想像上の死神はもっと最悪だし冷酷だし鬼畜だから、たまにはこれくらいいいでしょ。

あっくんは眉根を寄せて難しい顔をした。


「ここだって何人もいたんだよ、昔からの友だちって呼べる神さまが。でもみんな、疲れすぎて死んじゃった」

「過労死?」

「過労死っちゃ過労死なのかな。身体的にはそんな疲れてなかったんだけど、心が疲れたって言って早々に死んじゃった(ヒト)もいたよ」


今日の世界史の内容は第二次世界大戦について。

特にこのあたりのことについてやった。


最初は

たったひとりの神の遊戯。

たかがひとり、されどひとり。


数ではない。

質ではない。

存在なのだ。

神というモノは。


事実だった。

すべて事実だったんだ。


80過ぎの教授は空襲はいかに恐ろしいことだったかを、手振り身振りで延々と語って。

『空に浮かぶ黒い粒。それがどんどん大きくなって我らの頭の上に降ってきた。恐ろしかったよ。これほどまでの恐怖があろうか。私は戦争が終わり、思ったよ。心の支えだった信じていた天皇が、神が我らを見棄てたのだ。そして国は国民を死神に差し出したのだ、と』

いつもは眠そうにただ淡々と進めるくせに、今日に限って涙ながらにそう熱く講義を締めくくった教授をあっくんはこれ以上に恨んでいた。


(ンで、今日だったんだよ……!)


あっくんも表に出さないだけで、そうとう怒り心頭って感じ。

心配してくれてありがとっていいたいけど、頭のぞいたことバレるの怖いしだまっとこ。


「ねぇあっくん?」

「…………なんだよ」

「もう帰る?」


あっくんはがりがりと頭をかいて、首を振った。


――変わってないなぁ……


これは彼が自分の中の何かを切り替える時のクセだ。

再会したのは最近だけど、最初に会ったのはずっと昔だから。


――……変わったのは、ボク、なのかもね。


そのずっと昔から彼のすることや考えることは変わってない。

そうしているうちにあっくんは一軒の店を見つけ、ボクのフードの部分をひっつかんで店内へ引きずり込んだ。

店は今どきという言葉が似合う、実にカラフルで明るい感じがする気持ちのいい場所だった。


「服買って帰るっつったろーが、何のためにお前を待たしたと思ってんだマヌケ」


ぱかんと殴られた。

いや、イメージ的にはぽこんとかぽこたとかそんな感じの擬音ではたかれたっていう方が適切かも。

まぁ街中だしね? 遠慮したのかも。

珍しくあっくんにしては常識がある、ちょっとした驚きだ。


「オレにしては、ってどーゆーこっちゃ。オレは常識人だっつーの」

「あンれー? 声に出てた?」

「出てるわ、存在が非常識(じん)


あらゆる服を網羅している店内から自分に似合う服を探すというのもなかなか難しいのではないかと思う。

それこそ、神様でも至難の業なんじゃないかな。

今度きーてみよ。

ボクはちょっぴり軽くなった心に嬉しくなり、気になった服を手に取って体に当ててみた。

まぁその気になればどんな服だって着れるんだけど。


「あっくーんこれどぉ?」

「んー? 黒のとっくりセーター?」

「セーターじゃないよぉ、しかも言い方古いし! 今はタートルネックっていうんだよ!」


なぜかボクに教えられて、さして興味もなさそうにうなずくあっくん。

あっくんて若者の自覚あるのかな?

普通神サマとかのほうが世間知らずなもんなんじゃないの?

ボクは地域密着タイプだからあんまそういうのないけど。現場人(神?)だもんねボク。


「あ、そ。だけどお前仕事でも黒私服も黒ってヤになんねぇ?」

「好きだからいいもーん。あ、こっちの白と、このジーパンは?」

「いーんじゃねーの?」

「あっ、見もせずひどーい! こうなったらあっくんのも選んじゃお!」

「オレの許可なしに何やろうとしてんだぁァアアア!」


楽しい。

と、思える日がまたやって来るなんてね。

この記憶を抱えたままで良かったかどうかは分かんないけど。


ボクも死のうと思ってたのに、みんな死んじゃうから死ねなくなった。

――――― ……ひどいよ。



ねぇ神様、もうすこし神生をエンジョイしよーよ。

死ぬなんて言わないでさ。

あっくんが、悲しむから。

いつの間にやらユニークは6000、PVは二万をとうに越していました。ありがたや。

コメントも色々貰って、作者は感涙でセルフエコノミー状態でございます。


作者が今年受験生で更新がこれからもっと遅くなるかもしれませんが、どうぞ見捨てずこれからもよろしくお願いします


マイペースで頑張ります。

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