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オレの部屋  作者: コロ
11/12

11. 星光る、宵。

そっかー四か月。一年の三分の一かぁ。

うふふふふ、すみませんorz

「おっかいもの★」「おっかいもの☆」

「どれがいいかな」「どれにしよう?」


幼い者特有の甲高い声が冬のぴんと張った空気を揺さぶる。

それぞれ楽しそうに口ずさむCMソング。

お手々をつないで、大変仲がよろしいようだ。

――仲良きことは美しきかな。

こいつらを見てると心の底からそう思う。

だがしかし。


「「ハルーあれ買ってー!!」」


これはいただけない。

結婚もしてないのに、駄々をこねる我が子のわがままを聞いてる親の気分だ。


「こら、静かにせんかい」

「マスター、普通の人には聞こエナいから」

「オレが耳障りなの」


他の迷惑なんぞ知るか。

ぶっちゃけ、死神 悪霊 悪魔 神など見えない人外系統にはほぼ常識というものが欠如している場合が多い。ついでにわがままで自分が世界の中心だとでもいうような傲岸不遜ぶりがムカツク。良く言えば誇り高い、現実を見ればジコチューの塊。

しかしどいつもこいつも結局見えやしないんだから、そんな奴らにずうっと昔から接しているオレは配慮なんて必要ないことも嫌というほど知っている。

オレは一つため息をついて、オレにだけ見えるふたつの影を見上げた。

ま、悪霊といっても今のこいつらの思考は完全に子供だしな。

一応、い・ち・お・う、聞くだけ聞いてみるか。


「で、何がほしいって?」


そう言いながらちらりと財布をのぞく。

うん。それがなんであれ今余計なモノ買う余裕なんざ、これっぽっちもない。


「「あれ」」

「具体的に言え」

「あれだって」

「あれだよ?」

ふたりは同時にぴっと人差し指を突き出した。

その先は


「ありゃ?」

「あれれ?」

「あんだ、欲しいもんバラバラじゃねーか」


別々の方向を向いた指先。

子供たちの細く短い指は同じ方向でもなければ正反対でもない、てんで違う方向を指さしていた。


「いらんモノふたつも買う金はねぇ」


まぁ、もともとないのだが。

良いいいわけを見つけたと、再び歩きだそうとしたそのとき、誰かに後ろから引っ張られた。

人形だろう。

当たり前だが、この中でものに触れるのはオレの他に奴はコイツしかいない。

振り返ると、変な顔をした人形がぼうっと服の裾をつかんでいた。

自分で眉間にしわが寄るのがわかる。

人形は悪霊たちを不思議なものでも見るかのように眺めて、ぽつりと呟いた。


「珍シイね、ふたリ一緒じゃないなンテ」


それから同意を求めるように、くりゅっと首をかしげて俺の方を見る。

いや、そんな目で見られても。

まぁ人形からしたら驚異だったのだろう。

毎日家政婦よろしく家事を一手に引き受ける人形だから、その中にはもちろん買い出しも悪霊たちの育児(?)も含まれている。

ずっと家にこもりっぱなしの悪霊たちと生活のほとんどを共に過ごして、時々気まぐれを起こした悪霊たちが買い物についてくる日なんかは、それこそ比喩ではなくまる一日一緒に過ごしていることになる。

そんな人形が、一緒じゃないなんて珍しいということは珍しいどころの話ではないのだろう。

未曾有の大事件級の出来事だ。


「なんでなんで!」

「どうしてー?!」


答えに窮して、微妙な気持ちで人形と見つめ合っていると、ずいぶん上の方からあわてたような声が聞こえてきた。

見上げるとさっきより高い位置で、ぴったり同じポーズをとった悪霊たちがそろって頭を抱えている。

悪霊ふたりはうろたえているというよりも、愕然としているように見えた。

言葉こそただ困惑しているだけのように聞こえるが、その実彼らは絶句して立ち尽くしていた。

ん? 空中で呆然としてるから、飛び尽つくしていたか? どうでもいいな。

そのようすはムンクの「叫び」のごとく、奇妙な光景であった。

いや、むしろあの絵そのままといっても過言ではないだろう。

一般的にあまり知られていないが、ムンクの「叫び」は、描かれている人物自身が叫んでいるのではなく、「叫び」に怖れおののいて耳をふさいでいる光景が描かれているのである。

だからこそ、言葉を失って頭を抱えている悪霊たちがそんな風に見えたのだろうが。


「まぁいいだろ。それぞれ違うモンがほしいってことは、そんだけ『自分』って奴が育ってきたってこったろ。喜ぶべきじゃねぇか、成長」


悪霊どももそろそろ物心ついてもいいお年頃なのではないか。ていうかいたずらが過ぎんだチクショ―め。

自我の芽生えこそが成長の証、とかなんとか昔の偉人が言ってたような言わないような。

悪霊が成長すんのかどうか知らんがな。


「そウ、ダね。今日はお祝イかナ。よし、今日の夕飯ノ献立ハお赤飯に決定。良いよね、マスター」

「勝手にしろ」



小豆か。

最近高いが仕方がない。

めったにないご馳走だ。

居候の祝いとは言え、甘んじてやろうではないか。



……親バカだというてくれるな。



とりあえず、読者の皆さま申し訳ありません。

なんでこんな更新遅いのかとか聞かないでくれるとありがたいです。

学生なんですテストがあるんですとか言いません。作者の力量不足です。


というか今更なんなんですけど、サブタイトルってあんまり内容と関係ないです。適当というか、その場のノリでつけてますんで、なんか良いタイトルがあれば教えてください。

それではまた二ヶ月後くらいにはお会いしたいです。

作者でした。

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