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ドワーフのすゝめ  作者: 雷
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第3話 探究者

 私の生活はその日を境に一変した。

 その日とは母に連れられ、司教グラーモスにあった日からである。

 母に連れられグラーモスに会わされ、自分の力見てもらうという事になった。そして見て貰った結果私には【探究者】という力があることが分かった。神の子に認定されたという事だ。


 それから私はグラーモスに思いつくこと全てを聞いた。グラーモスはドワーフの中でもかなりの知識を持った人物だった。

 これからはグラーモスに聞いたことに私の考えを合わせてお話しようと思う。



 まずはこの世界についての話だ。

 この世界は私のいた地球は異なった世界のようだ。グラーモスに聞いたが星という概念はないようだ。大陸などがそれぞれ別れていると言った程度の認識しか持っていないようだった。このグランドールというドワーフの王国は【ルイガイノ】という大陸の西側に位置するとの事。今いる大陸が一番大きな大陸で、ドワーフ以外の種族も多く暮らしているという話だ。

 人やエルフ、獣人と呼ばれる様な人種もいるとの事。

 その事については正直に言って未だに信じられない。私自身ドワーフだという事も確かな事かどうか自信がない。あくまで他の人に私はそう言う種族だと言われただけだからだ。そもそもドワーフという存在があまりにも私の中の常識とはかけ離れている。以前の私がいた世界ではドワーフなど空想の産物としか言えない存在だった。そのドワーフに今現在なっている。それもおかしなことだと思う。空想の産物である種族が、別の世界には存在した。そんなことがあるのだろうか?

 それとも私の様にこちらの世界から記憶を持って、地球に転生した者でもいたとでもいうのか。その人物がドワーフという自分の知っている種族を物語の中に登場させたという事など考えられないだろうか。

 だが所詮そんなことを考えても答えは出るはずがない。確かめる術などないのだから。

 とりあえず私は自分がドワーフという種族に生まれたという事を受け入れた。そうしなければ先に話が進まないと思ったのだ。


 しかしドワーフとは私が物語で読んだ人物像とそこまで大差ない種族のようだ。

 ほとんどの者が矮躯(わいく)でありながら屈強な肉体を持ち、大酒飲みで手先が器用といったことが当てはまるらしいのだ。ただある物語にはドワーフの女性にも髭があると書かれていたが、それは当てはまらないらしい。髭があるのは男性だけだった。そしてほとんどのドワーフの男性は鉱夫あるいは細工師や鍛冶屋などの職に就いていた。その点も私が知っているドワーフの種族と差はない。私自身も成長すれば髭が生えてくるのだろう。


 そして私が一番気になった事柄がある。

 そう、私が適当に言った神の力というものだ。

 この世界には神がいるらしい。信じていると言った次元の話ではない様だ。実際に会ったことがある人もいるらしいのだ。何を馬鹿な事を、と思ってしまうが空想上のドワーフとなった今、神がいるぐらいはおかしいことではないのかとも思ってしまう。とりあえず今は与えられる情報全て肯定して受け入れ、その後自身で精査して事実かどうか確かめて行けばいいと思った。

 神の力というものは、ある一定の割合で特殊な力を持って生まれてくる者がいるとの事。その者が持つ力の事だという。その割合は何千分1か、何万分1か分からないという。ただ滅多に現れることはないという。

 その神の力というのは種族によってどういった力かが変わるとの事。

 私達ドワーフが持って生まれる事があるのは、モノを見定める能力だと言うのだ。

 詳しく聞き、私の知識の中で当てはめるとすると【鑑定能力】とでも言えばいいのか。

 神の力を持った者は物や、人の詳細を知ることが出来ると言う。

 物を手に取って知りたいと願えば、その手に取った物の詳細が分かるらしい。どういうことなのか理解は出来なかった。

 その他にも人の詳細をわかる者もいるらしい。それが私がどんな力を持っているかを確認したグラーモスだった。グラーモスは触った人物の持っている力などが分かると言う能力を持っているとの事。その力を使って生まれてくる子がどういう力を持っているかを知る役目を担っていると言っていた。グラーモスも神の子という訳だ。

 この神の力と言える【鑑定能力】のほとんどが、物を鑑定出来るという力という事だ。ドワーフの神の子はその力を使って新しく発掘した物を調べたりすることを生業にしているとのこと。グラーモスの様な人を鑑定できる者はほとんどいないらしい。

 そこで私の力なんだが、名を【探究者】という。そもそも本当に私にそんな力があったのかと思った。私は母の話に合せて神から力を貰ったという事にしたのだ。そうすれば今の私でも話したりできることが奇異な事ではないと思わせることが出来るのではないかと思ったからだ。担がれているのでは?とも思ったがそんなことをして特になることもないだろう。

 グラーモスが言うには神の力を持った者は殆ど【鑑定人】という名の力を持っているとの事。そして物か人かに分かれているだけだと。

 私の【探究者】という力を持った者は今までに存在しないらしい。私自身別の世界から記憶を引き継ぎやってきた存在だ。そう言ったイレギュラーな事があった為、能力自体も別のものになった可能性もある。一応私も転生の話をそれとなくグラーモスにしてみた。しかしそう言った考え方があるという事すら知らないようだった。

 そして私が持つ【探究者】という力だが、今までに存在が確認されていない力の為どういった力なのかはわからないと言われた。グラーモスの力も相手がどんな力を持っているかを知るぐらいの力しかない。相手の持つ力がどういう力かまでは鑑定することが出来ないそうだ。

 そうなってくると私自身が色々と試すしかなかった。

 そこで私とグラーモスは私が持つ力について調べ始めた。

 まずは他の神の力と呼ばれる様な鑑定能力についてを調べた。

 私にはある石が渡された。1cm程の大きさだろうか。それでも0歳児の私にはそれなりの大きさの石の様に感じだ。グラーモスはその石を鑑定して見る様にと言ってきた。だがそんなことを言われても私もどうすればよいのかわからないので教えて欲しいと伝えた。するとその石の事を深く知りたいと思うだけだと言われた。そう言われて私は心の中でせせら笑った。流石にそのような事を思ったところで何ができるのかと。しかし物は試しだとやってみた。私の知りたいという欲求は、私を動かす原動力だ。その力を使うと言うのは簡単な事だろう。そう思い手の中の石に集中した。その石の成分。どういったもので、どういった性質を持ったものかなどを考えた。

 次の瞬間に私はこれまでに感じたことのない感覚に襲われた。ざわりと石を持った手から何かが私の中に入り込んでくるような感覚がした。そして頭の中にある言葉が浮かぶ。



【ダラス石】

 ルイガイノであればどこでも採取できる鉱物



 なんなんだこれは?これがもしや【鑑定】と呼ばれる能力なのだろうか。頭の中に言葉が浮かんだ。まさかこんなことが起こるとは夢にも思わなかった。しかし、と思い私はグラーモスに確認した。私が手持った石は【ダラス石】なのかという事を。グラーモスは私の言った答えに満足したように正解だと言った。次に私にグラーモスに触れ同じ様にしてみろと言われた。私もまさかなという気持ちでグラーモスに触れ、先程と同じ様にグラーモスがどのような人物かを知りたい、どういった力を持っているのかを知りたいと考えた。すると先程の様な感覚がした。そして頭にはグラーモスの名前や年齢、得意な事、嫌いなものなどの情報や【鑑定人:人物】なる力を持っていることが分かった。そしてその事をグラーモスに伝えた。グラーモスは大変驚いた様子だった。私自身もかなり驚いている。こんな超常現象の様な事が起こるとは思わなかった。全く持ってどういう理屈で働く力なのか想像もつかない。生まれ変わる前の私であればこんな現象が起こっても信じなかっただろう。だが今なら何となく信じることが出来る。自分の体にそう言った力があるのが感じ取れるからだろうか。


 しかしそうなると私はこれまでの神の子が持っている力を2つ共持っていることになる。今までは物か人どちらか片方の鑑定しか出来ない者のみだったとの事だ。

 だが私の力はそれだけではない気がする。何か別の力を感じる。自分で何故そんなことを思ったのかは不明だが、後にその考えが正しかったと判明した。


 それは文字を憶えようとしたときの事だ。ドワーフが使う文字も私が知っている文字とは異なっていた。その為に読み書き出来る様にと学び始めた。いくつかの言葉の文字を見て、ドワーフ語自体にいくつの文字数があるのかが分かった。そしてその日の内に私は読み書きが出来るようになったのだ。

 これは異常だ。新しい言語を一日で読み書きできるようになるなんて。しかも親切丁寧に教わった訳でもなくいくつかの言葉から文字を読み取り、理解したのだ。

 そう言えばと思い出す。私は母の語り掛ける言葉だけで言語を理解し、話せるようになった。それも可笑しな話だ。母が私に語り掛ける言葉数などたかが知れている。それで言葉を話せるようになるまで理解出来るなどありえない。しかし実際に私は話せるようになった。考えられるとすれば私の持つ力のおかげなのかもしれない。そう考えた。

 私の持つ力は知りたいと思った事柄に対してもその力を行使するのではないだろうか。これはもう【鑑定】という力を逸脱している気がする。

 私が知りたいと思ったことがある程度理解できる能力といった感じか。完全にそのものを理解することは出来ないみたいだ。

 【探究】という言葉がなにがしかの疑問に思ったことを解消する為の思考過程だ。その事を理解するのを手助けしてくれる能力と考えておいた方がいいのかもしれない。

 そうして私の持っている力もある程度どう言ったものかはわかったという事だ。


 それにしてもこんな超常的能力が私に備わると言うのは偶然なんだろうか。この力があればこの世界でも私は私が知りたいことに対して真に迫ったアプローチが出来るだろう。この世界は私がいた世界とは大きく異なっている。生まれて数か月しか経っていない今ですらどれだけ私の知らない、理解できないことが出て来ただろうか。まだまだ多くの知らないことがこの世界にはあるのだろう。以前の世界ではここまで衝撃を受ける様な新しく知ることなどはなかった。私はここに新たな命と力を持って生まれたのだ。最大限今からのドワーフとしての命を謳歌しようではないか。

 私はそう考えた。



 そう考え付いてからは今後の方針だ。

 私は今はドワーフの国にいる。そして神の子だと判明した。神の子の多くはこの国の重要な役職に就くとの事。グラーモスもその1人だ。この国は土を掘り起こし鉱石などを採取したり、武器や防具、身に付けるアクセサリーなどを作り人と国交を行っている。地下に住んでいる為に食料などはほとんどが人の国からの輸入だ。

 それ以外にも遠い昔に作られたとされる【遺物(アーティファクト)】と呼ばれる現在の文明では作ることのできない物や装置などを掘り起こし、その技術を学び取り新たな技術として使用したり。役に立つ新しいものを発明したりしている。

 神の子はそう言った【遺物(アーティファクト)】がどんなものか調べる仕事をしている者が殆どだという事だ。

 それはそれで面白そうだと思うが【遺物(アーティファクト)】はそう易々と発掘されるものではない。もし私がその要職に就いたとしても死ぬまでにどれだけ未知なものと触れ合えるかわからない。私は出来るだけ多くの未知なるものと出会いたいんだ。

 そこで私は決断する。この国から出て自分で世界を巡り、未知なるものへと出会う旅をしようと。

 折角ドワーフとして生まれ堅強な肉体を持ったのだ、外の世界へと出てみたい。

 実際にそうして外の世界に出て行くドワーフは少なくないらしい。死ぬまで1つの所でずっと生活すると言うのも辛いと感じる者がいるという事だ。


 そう思った私はそれからは外の世界へ出て行く為の準備に入った。ただそうはいってもまだ0歳児。先の話になるだろう。

お読み頂きありがとうございます。


徐々に更新していきますが、別に書いている小説をメインとしているので、この小説の更新はそこまで頻繁ではないと思います。

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