■ 貪る ■
例えば・・君が助けて欲しいと声を上げたら
どれだけのヒトが君を助けてくれるだろうか。
例えば・・自分以外の誰かが助けて欲しいと声を上げたら
どれだけのヒトがその声に気付き助けてくれるだろうか。
きっと多くの人間は、君を助けない。
きっと多くの人間は、誰もその声に気付かない。
きっと多くの人間は、声が聞こえても聞こえないフリをする。
自己満足、傲慢、貪欲に侵された者達は
ジブンだけが可愛く、たまらなく愛おしい。
きっと多くの人間は、自分を犠牲にしない。
きっと多くの人間は、誰かを犠牲にする。
もし目の前にいる誰かを殺さなければ
多くの人間が殺されるとしたらどうだろう。
目の前にいる一人の命を奪う事を条件に、無数に存在する命が助かるとしたら・・?
きっと多くの人間は、自分を犠牲にしない。
きっと多くの人間は、誰かを犠牲にする。
君ならどちらを選ぶだろう。
間違いなく確実に・・残酷に・・一人を殺すコトを選ぶ。
何故そう言い切れるのか。
それは・・・どちらを選んでも、君は結局殺人犯になるのだから。
一人の命を救う為に、多くの命を奪う行為も殺人・・
多くの命を救う為に、一人の命を奪う行為も殺人・・
そして・・一人の命を救う為に・・多くの命とジブンが混じって死んでも
自分自身を殺すという殺人犯になるのだから・・。
でも・・もしも・・・
その場に君はいなくて、君に選択権は無くて、ただの傍観者だったら?
きっと多くの人間は自分を犠牲にしない。
だからこそ・・
『 一人の命より 多くの命を救うべきだ 』
その当たり前に正当化された言葉に納得をする。
そんな脅しに乗ってはいけないと・・
毅然とした態度を見せろと・・
その淀み切った心から出る膿の様な言葉を平然と吐き出す。
でも・・それは正しい言い方に変えるとすれば
『 一人の命より多くの命が大切である 』
そう言っているのと同じコト・・。
でも、もしも囚われの身が君だったら・・?
君一人が死ぬ事で多くの人の命が助かるなら
君一人位、死んだって殺されたって構わないと多くの罪人に言われたら?
・・君はその時、何を想い・・何をどう感じるだろう・・
きっと多くの人間は自分を犠牲にしない。
だってジブンが一番可愛く・・たまらなく愛おしいのだから。
誰かの命と引き換えても・・・君は生きたいでしょう・・・?
ホラ・・・・君だって・・・傍観者と云う名の殺人犯。