出会い
「入学して2週間くらい経つけど、やっぱりたくさんメニューのバリエーションあっていいね!」
「ねーっ!」
他愛ないそんな話をしてると、順番が回ってきた。
今日は……カレーにしよっ。
後、お茶も……
「柚菜、春菜!私決まったから先に席とっておくね!」
「ん、りょうかーいっ!」
えっと……あ、窓側のあの席いいかも!
窓側の席に向かおうとサクサク歩いてると、そこにいた男の先輩にぶつかった。
「ひゃっ……!」
「うわっ……」
すると、私がトレイに載せていたお茶が先輩の足にかかってしまった。
「きゃあ!ごめんなさいっ!すぐ拭きますね!」
「あ、ごめ、大丈夫……」
ハンカチを取り出して、先輩の足を素早く拭いた。
「本当にごめんなさい……大丈夫ですか?あの、お名前教えてもらってもいいですか?」
「あっ……俺?俺は、松下裕太」
松下……って!
「あっ、あの松下先輩ですか⁉」
松下先輩って、イケメンで頭もよくて要領抜群で運動も出来るっていう、何もかも完璧な……っ!
「うわーっ!たっ、たたっ、大変失礼なことをしましたっ!ごめんなさいぃっ!」
ずっと平謝りしてると……
「ふっ……くく、ふっ……」
裕太先輩は、お腹を震わせて笑っている。
「いやっ……ごめん、君面白すぎだわ」
「えぇっ⁉」
裕太先輩が笑ってる……!
超レア!
「君は1年の、今川莉菜ちゃんだろ?すげぇ可愛いって噂されてるよ」
わ、私が可愛いっ……⁉
「そんな!私可愛くないですっ!」
「いや、可愛いから」
校内1のイケメンにそう言われて、顔が真っ赤になるのが分かった。
「あ……っの、ぁ……のっ、とっ……りあえず、すみませんでしたっ!えと、これ連絡先です!」
紙に書いて渡すと、席に走り出した。
「あれ、どしたの?莉菜遅かったねぇ」
「う、ううんっ!何でもないのっ」
赤くなった頬を押さえて、ご飯を食べ始めた。
先輩がずっとこっちを見ていたことも知らずにー……