純真
「おい見ろよっ!今川莉菜ちゃんだぞっ!」
自分の名前を大声で廊下で呼ばれて、私はびっくりして跳ね返った。
「……っ⁉ちょっと、柚菜ぁ……何で私こんなに見られてるのっ……?」
友達の麻野柚菜にそう言うと、柚菜は嘆息した。
「高校入ってから、1年生にすっごーい美女が入ってきたって噂あるの知ってる?」
噂……?すっごーい美女……?
「知らない……」
「もー!その噂、莉菜のことだよ!莉菜可愛すぎなの!」
「うぇぇえっ⁉わ、私可愛くないよぉ……」
「いーや、可愛い!」
途中で割り込んできた、坂本春菜もそう言った。
「は、春菜までっ!」
「可愛いんだもん、莉菜!見た目も、性格も可愛いの!」
ふたりに一気にそう言われ、私はとりあえずお礼を言った。
「えっ……と、ありがとっ……」
「まじかー!莉菜ちゃんだー!うっわ、可愛すぎだろ……」
「オカズ決定だわー」
おか……ず?
「ね、ねぇねぇ柚菜、お、おかず決定ってどういうこと?」
「あぁぁぁあっ!あのね、それはまだ知らなくていーのっ!莉菜は純粋なんだから!」
「……ふーん?」
いいのかな……まぁいっか。
「あ、それより食堂行こ!」
柚菜にそう言われて、私たち3人は食堂へ向かった。