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72. ギルドに色々報告する。

 なんかがっかり昼食の後は、乗馬の時間だ。

 馬屋さんに行って、昨日のチケットを見せる。今日もそんなには乗らないので、二時間分で大丈夫だね。

 お気に入りのマルチスパーク君に乗って、パットのライサンダーさんとあやめちゃんのセルウインドウさんと、三人で乗馬。

 オッドちゃんは普通にホテルに帰りました。サイズに合う馬がないので、面倒くさい、だそうです。


 ポックリポックリ、メイリンの街を乗馬散歩。

 ああ、僕が死ぬ思いで走った所を、あっという間に追い越す。馬は早い。

 走らせたり、歩かせたり、乗馬楽しい。

 異世界の街を、馬でぐるぐる回ると面白いなあ。

 一応、これで、どの主道 アベニューも通った事になるかな。

 下周り横路ストリートは、まだ行った事の無い辺りがあるけど。


 こうやって、知らない街の知らない路を通って、だんだんと知ってる路にして、街の知ってるさ加減をあげていくのは楽しいね。


 とかなんとか考えて居ると、二時間ぐらいはすぐ、たってしまい、馬を馬屋さんに返す。


「ダンジョンの下調べって、どこですれば良いのだろうか」

「冒険者ギルドに資料室があります。冒険者用に、絵が一杯のパンフレットなども置いてありますよ」

「わたしも冒険者ギルドを見たいんだよ」

「では、行こうぜ、諸君」


 魔王討伐パーティで、冒険者ギルドへ行く事になった。

 連邦口主道 アベニューを上がって行く途中で、オッドちゃんがお菓子屋で甘い物を沢山買っていたのを発見したので、つかまえて一緒にギルドに行く事にした。


「そういえば、バーグさんのメガトンゴーレムって、ギルドポイントに変わらないの?」

申請しんせいすれば、変えてくれるわよ、残骸ざんがいの調査とかがあるから時間がかかるけど」

「魔王軍が残骸ざんがいを回収していなければ良いのですが」

「メガトンゴーレムって魔石は取れないの?」

「ダンジョンのゴーレムからは魔石は出るけど、魔王軍のは色々魔石をチューンアップしてるから、本体の爆破と共に壊れるわ。というか、手の内を知られないように、奴らのゴーレムは爆発するのよ」


 あ、そうなのか、魔石がアレして、コレで爆発するのだとばっかり思ってた。


「最初のゴーレムと合わせると四体か。何ポイントぐらいになると思う?」

「さあ? ワイバーンよりはくれるわよね。そんな事なら、ケンリンバーグでもポイント請求すれば良かったわね。失念しつねんしていたわ」

「最初の一体は、たしか、父が届けを出していたかと思いますよ。ポイントは、ギルドについたら聞いてみましょう」

「ギルドで、初めてエルフさんと知人になったんだ」

「わあ、良いなあ、げんきくん。わたしも知人になるよっ」

「窓口の人だから、すぐ知り合えるよ」

「なんで異世界人はエルフが好きなのかしら、あいつら菜っ葉ばっかり食べてるのに」

「エルフは美男美女だからではないか」


 ギルドに着いた。みんなでそろって入る。

 昼過ぎなんで、空いた物だった。

 ちょっと気になったので、冒険依頼書を眺めてみる。


《【一般作業】都外より荷物運び募集 カード限定無し。一日二千グース。食事付き。ギルドポイント一点。:依頼者、ダンドル商店》


《【採取】連合口南のバツン森で薬草取り カード限定無し。一束十枚、二十グース。ギルドポイント一点 連合門通関者のみ。:依頼者、調合師ジーナ・オーエン》


《【護衛】聖堂都市までの荷馬車の護衛 ルベル峠越えルート四日予定 シルバーカード以上。一日五千グース。食事付き。ギルドポイント十点。:依頼者、メルゴー商会 移動後、聖堂都市の冒険者ギルドでの報酬受け取り可》


《【緊急討伐】メイリン街道のワイバーン討伐 シルバーカード以上、ソロ不可、ゴールドカード推奨。一体三十五万グース。依頼受け付け不要、自由狩猟。現在一体確認。ギルドポイント百点。:依頼者、東部ギルド本部》


《【迷宮採取】ダンジョン三十階層以下に棲息せいそくする、タルゴンスパイダーの死骸(死後三日以内の新鮮な物) 銀カード以上。一体十万グース。毒腺どくせんが必要なので、その部分のみでも可。解体に自信が無い場合は、丸ごと持ってくる事。毒腺どくせんが破壊されていた場合買い取り不可。ギルドポイント、十点。:依頼者、調合師ジーナ・オーエン》


 ギルドカードを豪華にするためのギルドポイントは、カッパーからシルバーへが百点、シルバーからゴールドが一万点、ゴールドから白金プラチナが十万点、白金プラチナから神銀ミスリルが百万点だ。

 カッパー カードが見習いで、シルバー カードからが本番というのが解ると思う。

 作業とか薬草取りとかの依頼で、シルバーにするとなると、一日一回仕事を受けて、三ヶ月ほどかかるのか。コネの無い人が、ちゃんと仕事をするかどうかの試験みたいな物なんだね。


「割の良い依頼は朝のうちになくなるのよ」


 そんな事をぼんやり考えていると、メルクさんが近くにいて、僕に話しかけてきた。


「まだ、どれが、割が良いか解らないですね」

「勇者ゲンキは、まだ冒険者になって日が浅いんだったわね」

「この依頼者の依頼、ずいぶん残ってますね」

「ジーナちゃんの依頼はしわいから、どうしても残っちゃうのよね」


 ふむふむ、面白い。

 きがついたら、あやめちゃんが手をわきわきして、メルクさんに紹介してほしそうにしてた。


「メルクさん、こちらは、杜若かきつばたあやめちゃん。僕のパーティの応援役です」

「あら、それは、よろしくね、カキツバタさん。メルク・シャララクリアです」

「よろしくおねがいします。杜若かきつばたあやめです。特技は応援です」


 よし、これで、あやめちゃんもエルフの知人ゲットだ。


「そうだ、うちのパーティで魔王軍のメガトンゴーレムを倒したんですが、その場合のギルドポイントは発生しますか?」

「あらあら、それはとても大物を倒したのね。魔王軍関係の報奨金ほうしょうきんが、かかってない魔物の場合、お金は出ないけど、ポイントは発生するはずよ、ちょっと資料を見てくるわね」


 まあ、お金はミスリルナックルを強奪ごうだつしたから、問題無い。

 メルクさんは自分の席から、ファイルを取ってきて、ペラペラとめくった。


「魔王軍の魔物撃破の場合、死骸か魔石の確認が必要ね、一体目のケンリントン伯爵領での撃破は問題無いわ、目撃情報、領主の撃破届け、残骸調査報告、全部クリアしています。メガトンゴーレムの場合、一体、八百ポイントよ、パーティでポイントをどう分けるか教えてね」

「おお、意外にもらえますね」

「魔王軍相手は、お金が出にくい分、ポイントを高くしないとね。地底湖での戦闘の分なんだけど、初耳なので、すこしどうだったか教えてくれないかしら、撃破調書を取るわ。そのうえで、調査員が現場を調べて、確認を取ってから、ポイント授与じゅよね。撃破鹵獲ろかく品が有るそうだから、後で見せてね」

「そういえば、オッドちゃん、タンクの倉庫への移動の件は」


 僕が聞くと、あっと忘れてたという顔をオッドちゃんは浮かべた。


「そういえば、来てないわね。お昼までホテルの方にも来てなかったはずよ」

「まだホテルに連絡が来てなかったら、行政府に行って確かめようか」

「わっ、伝説のゲールシリーズが見れるのなら、私が鹵獲ろかく品のチェックに行きますよ」


 僕が撃破調書用の証言をしている間に、パットにホテルへ行ってもらって、行政府からの連絡が無かったか、確かめてもらうことにした。


 メルクさんは聞き上手だった。

 的確に質問をして、調書に残していく。

 思念で紙に字を浮き上がらせるので、凄く書類が出来るのが早い。

 この技術は便利だな、魔法って、わけじゃないから、僕も覚えようかな。


「えええ、魔王軍にゲールシリーズ! その上、召喚勇者二人が敵方に付いたですって!!」

「ええ、そういえば、報告してませんでしたね」

「困りますので、こういう事は、ギルドにご一報くださいっ! なんてこと、しかも魔王軍四天王の一人バーグが降格だなんて」

「報告とかめんどくさいし」

「オッド師、困ります、貴方あなたさまには、ギルドへの活動報告の義務があったはずですが」

「別に報告して、こちらに何かの得があるわけじゃないし。話が聞きたいなら、ギルドが人をよこしなさいよ」

「まさか、こんな事になっているとは思いませんでした。ケンリントンからの報告があったときに気がつくべきでしたね、こちらが迂闊うかつでした」


 さらに詳しく調書が取られた。

 占い師のサイマルさんが、四天王のコルキスにさらわれた話にさしかかると、目に見えて顔色が悪くなっていく。


「オッド師~」

「し、知らないわよ、あんた達が、勝手にサイマルを詐欺師あつかいにしてたんじゃないの、私のせいじゃないわよ」

「四天王の一人が、白昼堂々、メイリンに侵入。バーグの任務の後を継いだのが武闘派コルキスだなんて……。ギルドマスターを呼んできますっ!」


 ピューと擬音ぎおんがつく勢いで、メルクさんが階段の方へかけていった。


「ザマスの奴が来る前に帰るわよ」

「そうもいかないでしょう」

「馬鹿ね、また同じ話を一からさせられるわよ。官僚組織の面倒くささを、なめたらいけないわよ」


 ビュッと擬音が付く勢いで、マダームがおりてきた。


「失礼するざます」


 一言挨拶すると、マダームは報告書束を凄い、いきおいで読んでいく。

 やれやれ、同じ話はしないですみそうだ。


「これは、すべて本当ざますか?」

「本当よ、キャリー。コルキスは来たし、サイマルは本物の予言者で、さらわれたわ」

「まさか、あの占い師が本当に予知できるとは、夢にも思わなかったざますっ。痛恨つうこんの思い違いざますね」

「色々死ぬほど運動したのに、だれも本気にしてくれへん、って、なげいていたわよ、あの子」

「せめて実証実験ぐらいはして上げるべきざました。なンということ」

「起こってしまった事はしかたがありません。敵にミルコゲールがあり、勇者が居て、予言者まで行ってしまった事の対策を考えないと」

「勇者ゲンキのおっしゃるとおりざますね。とりあえず、調書をまとめて、ギルド本部に送ります。本部から何か言ってきましたら、協力をお願いいたしますざます」


 マダームは頭を下げた。

 こちらとしては、嫌も応も無いなあ。

 そうこうしている内に、パットが戻ってきたので、話を聞く。

 役人が来て、タンクを入れる倉庫の地図と、鍵を置いて行ったらしい。

 僕がメルクさんと東門に行こうとしたら、マダームを除いて、みんなぞろぞろ付いてきた。


【次回予告】

げんきたちは、外街の倉庫街にキルコタンクを仕舞い、その後、冒険者ギルドでダンジョンについて調べる。

そこで判明した、げんきパーティの致命的な弱点とは!


なろう連載:オッドちゃん(略

次回 第73話

キルコタンクを倉庫に仕舞う

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