63. 獣人連合国料理のお店 ウイルウイル
魔導工房カバランに転移の球をあずけて、外に出る。
今日も良い天気だ。
パンゲリアのここら辺は、今は初夏の季節で、一番気候が良い時らしい。
「だいたいお昼ね、お食事にしましょうか」
「なにか美味しい物食べれる所無いかな」
「メイリン街の中なら、だいたい美味しいわよ。獣人連合国のお料理でも食べに行きましょうか」
「わわ、獣人さん、もふもふ」
「料理はモフモフしてないと思うぞ、アヤメ」
口なし主道を下まで降りて、下周り横路を廻る。
オッドちゃんに付いていって、横路から上に小道をちょっと入ると、椰子の木っぽい木を生やした、オープンカフェみたいな店があった。看板には「ウイルウイル 獣人連合国料理のお店」と書いてあった。
「こんにちわ、四人いいかしら」
「あ、これはこれは、オッド師、お帰りなさい」
メイリンはオッドちゃんのホームタウンなのかな。
行きつけのお店が多すぎる。
「獣人連合国って熱帯なの?」
「そうね、国の東が熱帯雨林で、西が砂漠よ。このお店は首都のある熱帯雨林地方のお料理ね」
「なにが美味しいんですか? モフモフして良いですか?」
「モフモフは勘弁してください。美味しい物は、そうですね、今日は連合国の良いお魚と、豚肉が入ってますよ」
狸っぽい耳の可愛い獣人のお姉さんが、笑いながらあやめちゃんに説明する。
ウエイトレスさんの服は、チャイナ服のような、ベトナムのアオザイのような、綺麗な民族衣装で、とても目に華やかだ。
獣人の人も、獣化の度合いがあって、動物の顔そのままの人から、普通の人間に動物の耳と尻尾が付いただけの人と色々なバリエーションがある。
これは獣化の魔法の変化中を止めているかららしい。
獣人の人は念じると、完全に家名の獣に変身できるらしい。
で、自分の好きな段階で獣化を止めて、それで生活するのだという。
完全な人化で、耳も尻尾も無くす事も可能らしい。
そうやって、完全人化で、他の街に住む獣人の人も多いとか。
僕たちは、一品ずつ、適当な料理を頼み、主食の伸ばしパンも頼んだ。
なんか伸ばして焼くらしい。
長いパンがとぐろを巻いて出てくるようだ。
お茶を口に含む、うむ、なんだろうこれ、不思議な味、ちょっと青臭いけど、不思議な香りがふわりと立つ。お姉さん曰く、共和国産のピコリ茶という物らしい。なんか口がさっぱりする。
ピコリ茶は、あまり熱々では供せず、ちょっとぬるめの方が味がしみ出て良いらしい。
おおお、だれだ、この馬鹿でかい海老を頼んだのは、オッドちゃんだな。
体がでかくて、ハサミがでかくて、赤いソースがかかっている。
ウエイトレスさんが、ナイフで殻を切って、お皿に盛りつけてくれる。
赤くて辛そうな。地球で言うとタイ料理かね。
ふおっ、甘辛くて、なんだこのとろける感じのぷりぷりした身はっ、美味しいっ!
「トドル海老か、初めて食べたが、これは美味いな」
「甘辛ね、でも美味しいね」
「ふふんっ」
「これは、後引きますね、あ、ハサミの所ください」
「はい、お味噌の所も美味しいですよ」
甘辛い海老の丸焼きを食べながら、伸ばしパンをちぎって食べる、おお、ふっくらしてナンを細くのばした感じかな、美味しい。
伸ばしパンは、テーブルの真ん中にとぐろを巻かせておいて、各人好きなだけちぎって食べる物らしい。パンに付けるために、蜂蜜とヨーグルト系のソースが入った小鉢が置いてある。
付け合わせのスープは白身の魚が入った、あっさりした物、なにか不思議な味の香草が入って美味しい。
美味い美味い、というか異世界来てから美味いとしか言ってないな僕は。
バチバチと音をたてて揚げられた大きい縞々(しましま)の魚が、金属の皿に乗って、運ばれてくる。
とろりとした野菜が入ったソースが掛けられて、凄く美味しそう。
「お、思ったより大きいな」
「わわ、しましま」
「このお魚は食べたことがないわ、これは何?」
「タイタル湾で獲れるズリズリって魚です。今朝方獲れた物を、川特急で送ってもらったんですよ」
パットの頼んだ料理のようだ。
ウエイトレスさんが、ナイフとフォークで上手にお魚をバラバラにしてくれる。おお白身。
さっくりと揚げた衣と一緒に、あつあつの白身を口に入れると、もう、そこはトロピカルパラダイス、酸味の利いた甘いソースと、しゃっきりした野菜のうま味と、うま味のある白身魚の味が渾然となって、僕の舌を蕩けさせる。
うまーい。
なんとも、伸ばしパンと良くあって、パクパクと食べられる。
次に運ばれて来たのは、豚肉の塊に蜂蜜を塗って焼いた物。
ウエイトレスさんが大きな包丁で薄く切ってくれて、それを魚醤っぽい感じの調味料とマスタードみたいな芥子でいただく。ふわっ、芥子が辛いっ、お茶お茶。
僕が頼んだ物じゃ無いから、あやめちゃんの選んだ料理みたいだ。
油が乗って、うま味がよく出ていて、とても美味しい。ボリュームもあるね。
魚醤が不思議な塩味で、これまた格別の味。
僕が頼んだ、ミートパイみたいな、トカンという物が来る。
伸ばしパンの生地で、挽肉と卵と各種連合国お野菜を包んで焼いた物とメニューにはあった。
一口かぶりつくと、みんな、これは、という顔をしたあと、良い笑顔。
美味しい。よかった。
サリッとした歯ざわりの生地の中から、味わい深い肉と卵と野菜のハーモニーな熱々餡が出てくる。
これは美味い。サクサクサクサク。モグモグモグモグ。
これだけで、結構ボリュームもあって、一食になりそう。お弁当にも良いね。
あー、美味しかった。
なんかお昼から、大食してしまった、量は半分ぐらいでもよかったね。
思ったよりも盛りが良かった。
なんか、ピコリ茶を飲みながら、みんなでなごむ。
脂っこい料理だから、ちょっと青臭いピコリ茶で口をさっぱりさせるのだなあ。
よく考えてあるお料理だなあ。
とか、思った。
「ここは美味しいですね、また来ましょう、我が君」
「エスニックな感じで美味しいんだよ。魚醤も日本人の口に合うねえ」
「ふふん、良いお店でしょ」
「美味しかったー」
「ありがとうございます、デザートのカカチの実です」
カカチの実は、白い果肉のねっとりした感じの果物だった。
よく冷えていて、美味しい。
僕のお腹はパンパンであるが、デザートは別腹である。
お昼も満腹で大満足でした。
オッドちゃんがお金を払うのに、パットも払うと言い、いらぬと言うオッドちゃんと喧嘩している。
結構豪華だったけど、街の下の方のお店なので、そんなには高く無いみたいだ。
オッドちゃんごちそうさま。
パットは押し切られたみたいだ。
「じゃあ、予言者の所に言って、話を聞きましょう。ちょっと予言と状況が違ってしまったので、どうなるか心配だわ」
パイロットの取りちがえは、ちょっと所ではないと思うのですが。オッドちゃん。
予言者の居るのは、連合口近くの下町らしい。
ほぼ街の反対側だよ。どうやら、下周り横路を行くようだ。
ライサンダーは連邦口近くの馬小屋だし、キルコタンクは元より通れない道幅だ。
魔導機が欲しい、ローラーダッシュで、ギュインと行きたい。
しくしく。
【次回予告】
予言者の店で、ゲンキたちは驚天動地の真実を告げられる。
果たして、オッドちゃんが意識的に黙っていた真実とはっ!
なろう連載:オッドちゃん(略
次回 第64話
予言の店 サイマル




