48. 貰い物で装備更新
宿坊の階段を五階+地階の六階分上がる。
そんなには、ひいひい言わなくなったな、ちょっと慣れたのであろうか。
女の子部屋の戸をノックすると、パットが戸を開いた。
「おや、我が君、おはようございます」
「ああうん、おはよう」
まあ、地球時間で三時ごろだが、今日は初顔あわせだしね。
オッドちゃんとあやめちゃんは居ないようだ、食堂でお茶でもしてるのかな。
「パットに相談があってさ」
「な、なんでしょう、性的な物を含め、この不肖パトリシアの出来る事ならなんでもいたしましょうぞ!」
いや、パットに、性的な相談は断じてしない。
「ビアトーンの家の人から、お礼に色々貰ったんだけど、パットやあやめちゃんに使える物が無いか見てくれない?」
「もちろん、よろこんで!」
「たぶん一番良い物は、この魔法の袋、オッドちゃんの空間魔法ぐらいの容量が入るって」
「うわ、ビアトーン家、張り込みましたな、その大きさの魔法袋ならば、一千万ケルはしますよ、と言うか滅多にオークションでも出ない国宝クラスの品物です」
僕は魔法袋から、贈呈目録を引き出して、パットに渡した。
ちなみに中にあるものは、大体のイメージをすれば、手に取れる。
袋の口に接触させて入れるとイメージすると結構大きな物も入る。
ビアトーン家の庭でタンスを入れて、それは試した。
気分はもうドラ○もんである。
魔法袋には生命体は入れられないようで、イヌとかは入らなかった、それでも、肉は入るので、死んでればOKらしい。
そうすると植物はどうなのかというと、鉢植えは普通に入った。
なかなか不思議である。
時間も止まるのかと思ったが、普通に時間の経過はするらしい、
全部出てこいと念じると、中の物はぞろぞろっと全部出てくるそうだ。
「ほほー、これは、ふーむ、微妙な一級品が多いですね。買い叩かれそうな物を中心に揃えていますね」
「やっぱりかー、罰金の軽減を狙った物とか、ぶっちゃけていたからなあ」
「まあそれでも、我が君とアヤメは、防具をほとんど無装備なので使えそうな物がありますね」
パッドが赤ペンで目録にチェックをいれ、僕が魔法袋から引き出すという作業が続いた。
「量はあるのですが、これは! という物はあまりないですね。使えそうな物はこれくらいです」
それでも、結構良い物があったようだ。
まずは、僕用に、ガントレットとグリーブを選んでもらった。
ガントレットというのは、甲冑の籠手の部分だ。
グリーブというのは、足のすねを守る防具の事だ。
「我が君のジュードーで、一番危険なのは相手の手を取りに行く時です、組み合わないと始まらない武道ゆえ、敵の剣や槍が手に当たる可能性が大きいです。なので、籠手を着けて手を守りましょう。ついでに膝とすねも」
ミスリル銀の、非常に品質が良い甲冑セットから、ガントレットとグリーブを外して使う事にする。
バラしてしまったミスリル甲冑の他の部分は、置いておいて、売るときに戻せば良いだろうとのこと。
全身甲冑は一揃いでないと価値が半減してしまうらしい。
ためしに着けてみたけど、思ったより軽い。
ミスリル銀というのはファンタジーの定番金属で、軽くて粘りが強い金属なのだそうな、防具に最適なんだけど、反面、刃物にするのは難しいらしい。棍棒とか鈍器類にも向く金属だとか。
なんか、銀色でピカピカのガントレットとグリーブだけの格好は厨二心をくすぐり、カコイイ。
むふーっと、テンションが上がる。
「胴体を守るのに、レザーの胴丸とかがあれば良いのですが、貰ったものは皆、金属製で重いため、我が君の速度が落ちてしまいます、ついでですので、後で外に出て武器屋で購入いたしましょう」
ミスリルフル甲冑の胴部分を外してとか考えたのだけど、砂ズリってスカートっぽい部分も一体なので結構重いので、皮鎧の方が良いだろうというパットの判断だった。
女の子部屋の床に、魔法袋から武具を引っ張り出しては並べて、パットとあーでもないこーでもないと相談していると、あやめちゃんが帰ってきた。
「あら、なにをやってるの? げんきくん」
「ジョージの家から武具を貰ったから、使えるの無いかって見てるんだ、あやめちゃんのもパットに選んでもらったから、試してね」
「わー、楽しそうっ」
あやめちゃんには、魔法使い装備を中心にパットが選んでいた。
三着ぐらいある、セットの中であやめちゃんが選んだのは、ローブ系の白のドレスだった。
「その白アラクネ糸で出来たドレスは、対魔法に優れ、防刃効果もある一品だ、お勧めだよ」
「アラクネって、蜘蛛?」
「蜘蛛だが、まあ、糸に罪はないだろう、絹だって芋虫産だからな」
蜘蛛と聞いてあやめちゃんはちょっと嫌な顔をしたが、きらきらと光る絹糸のような光沢で、透かし模様のように蓮の花っぽい物が描いてある美麗なドレスに、目は釘付けのようだ。
同じ糸で織られたっぽい白い魔女風の帽子と、短い魔法棒で、あやめちゃんの新装備は固まったみたいだ。
「蜘蛛さんは嫌いだけど、この服の糸を作った蜘蛛さんは、いいものなんだよ」
などと、意味不明の事を言いながら、あやめちゃんは着てみると言って寝室に入っていった。
「あら、なにしてるのかしら」
あやめちゃんと入れ替えに、オッドちゃんも帰ってきた。
「装備を貰ったから、使えるの選んでるんだ、オッドちゃんも使えるのがあったらあげるよ」
「ふーん、一流品揃いだけど、なんだか微妙な物が多いわね」
そう言うとオッドちゃんは、パットから目録を受け取って、ソファーに寝転んで見始めた。
「魔法効果付きのアクセサリーが結構あるわね、ゲンキとアヤメは着けられるだけ着けたらいいわよ」
「効果は重複するの? 干渉しあったりはしない?」
「防御系は重複するわよ、火や氷の耐性系は必要な状況で着けかえる物よ。アクセサリーは効果は小さいけど、これだけ数が揃ってると良いわね」
あやめちゃんが着替え終わって寝室から出てきた、あらかわいい。
「えへへ、似合うかな?」
「可愛いよ~、凄い似合う」
「あ~」
オッドちゃんが顔をしかめた。
「アヤメ、ちょっとその服やめた方が良いかもしれないわ、よく似合ってるんだけどね」
「なぜだ、オッド、私のチョイスが気に入らないとでも言うのか!」
「あのね、そのドレスは綺麗すぎよ、そんな綺麗で魔法使いですって格好をしてると、真っ先に飛び道具が飛んでくるわ」
「あっ、なるほど、そこは考えていなかったな」
「戦闘だと魔法使いは最初に飛び道具で潰すのが定石よ、危ないわ。あとゲンキのミスリルの籠手とグリーブも、高価すぎるわ、タンクに乗ってる間は良いけど、街や村だと、無用な、もめ事を呼ぶわね」
「ううう、だめかなあ」
名残惜しそうに、あやめちゃんは白い魔女ドレスを見ていた。
「それは可愛いから、パーティとかお呼ばれした時に着ればいいわ、普段はいつもの服で、アクセサリー類を満載して防御力を稼ぐのが無難ね」
「性能だけじゃなくて、目立つという問題もあるのかー」
「では、籠手とグリーブも、地味な鉄の良いのでも買いますか、我が君に防具は必要ですし」
しょんぼり。
ゲームじゃ無いから、装備も、人の目とか気にしないといけないのか。
ままならないものだなあ。
「しょうが無い、装備は地味な物を武器屋に買いに行こう、あと、日本食材も、この魔法袋に入れて持っていくぜ」
「わ、何時でも、ご飯やお味噌汁がたべられるんだね、げんきくん」
「そうさ、あやめちゃん」
みんなで外へ買い物に行くことにした。
広げていた武器防具を魔法袋にしまった。
あやめちゃんが着替えようとしたが、そのままでいいんじゃない? とのパットの言葉で、白魔女ドレス姿でいく事になる。
聖堂都市内ならば、治安は良いしね。
【次回予告】
買い物と貰い物は、字がよく似ているが、実態はずいぶんちがう。
仲間はずれは嫌だという、オッドのワガママが聖堂都市に炸裂するっ!
買いまくれオッド、その財布の中身が尽きるまで!!
なろう連載:オッドちゃん(略
次回 第49話
買い物で装備更新




