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47. 混浴イベント、再び

 聖堂宿坊に戻る。

 お土産コーナーを抜けて、そのまま階段で大沐浴場へ向かう。

 脱衣所で、服を脱いでいる時に、魔法袋の事に気がついた。

 うむむ、これを盗難されたらやだな。


「あの、貴重品きちょうひんを預ける所ってありますか」

「大丈夫です、勇者ゲンキ、それがしが見張みはっておりますので、いまだかつて脱衣所での盗難は一度もございません」

「そうですか、おねがいしますね」

「はい」


 強面の武装衛兵さんは盗難防止に効果こうかがあるようだ。

 僕は安心して、かごに魔法袋を入れて、服を脱ぐ。

 真裸まはだかになって、扉の前に置いてあるかごから、貸し出し手ぬぐいをとり、大沐浴場への扉を開ける。


 わーんと音が反響はんきょうして、今日もここは大きいお風呂だなあと、感嘆かんたんする。

 かけ湯をして、流れる大浴槽へ入る。

 ん”~、染みわたる感じ。


 今日も、信者さんたちが勤行ごんぎょうしながら、湯船の中を行進して、お湯の流れを生み出していた。

 僕はお湯に肩までかって流されて行く。

 脱力しながらお湯に押されて流されて行く感覚は不思議な感じだけど、とてもリラックスできる。

 勤行ごんぎょうも耳に心地良い。

 天井から下がる大きな勤行ごんぎょう幕には『天地精霊に感謝して、毎日のご飯を美味しくいただこう』とか『親子の愛こそが天下国家の太平のいしずえ、いつも心に愛を持ち暮らそう』などの、慈愛じあいが満ちた法言ほうげんが書いてあって、これを湯の中の信者さんたちが朗々(ろうろう)と勤行ごんぎょうし、行進している。


 当たり前の事ばかり書いてあるんだけど、それを大きな声でとなえられると、それは何時いつしか言葉の意味を失い、音としての本質だけが残り、ビリビリと僕の体をふるわせて、なんか魂にしみこむような感じもする。

 温泉沐浴行を考えた人は天才だなあ、とビリビリしながら思う。


 僕も立ち上がって、行進しながら、まくの言葉を声を出して読んで見る。

 ざぶざぶ。

 声の振動しんどうで、胸の辺りが軽くしびれてくる感じで、ちょっと心地良い。

 大声をだして歩いて行くと、なんかどんどんハイになってくるかんじで、これは、なかなか楽しい。

 周りの信者さんと声を合わせると、なんか、一体感みたいな不思議な感じがいてきて、なんか良いなあ。


 ぐるりと流れる大円形沐浴場を一周して、疲れたのでお湯から上がる。

 ふう。

 僕はオタクなんで、世界の事を何でも、文字とか、写真とか、動画とか、で全部解った気になる所がある。

 でも、異世界に来て、わかったんだけど、実際に自分の体を動かして、声を出して、風や水や大地にれて、それで感じて、解る事もあるんだなあ。

 ワーンと勤行ごんぎょうが反響する大沐浴場で、僕はそんな事を考えていた。


 沐浴場の四隅にある、流れない湯船に向かうと、その一つでオッドちゃんが目を閉じて、湯にかっているのが見えた。

 その浴槽よくそうに僕もかって、オッドちゃんに近づいていく。

 おお、混浴イベントだ。

 でも、パットかあやめちゃんの方が良かったなあ。

 僕は、YESロリータ NOタッチの人では無いので、オッドちゃんの裸を見ても、あ、うん、そうね、という感じしか持てないのだ。


「なによ、私の素晴らしいナイスバデイをおがみにきたの? いやらしいわね」

「いや、あー、うん」


 オッドちゃんのこの凄絶せいぜつな自信は、どこからくるのかなあ。


「オッドちゃんは温泉好きだね」

「ミシリアとか大嫌いだし、聖堂都市も嫌いだけど、この大沐浴場は評価ひょうかしてあげてもいいわ。すごく良い温泉だわ」

「聖堂都市って良い所だね」

「お金があればね。貧乏人は来られない場所よ。でも、お金さえあれば、どんな慈愛じあいも受けられる街なのよ」

「そうかもしれないね」


 僕たちは黙り込む。

 でもそれは重い沈黙ではなくて、なんか柔らかい感じの沈黙で、不快ふかいではなかった。

 コーンとおけが床を叩く音が、高い天井に反響はんきょうしながら大沐浴場にひびく。


「そういえば、リガン湖にキルコマリンのテストで行ったんだけど、どでかい水龍がでてきてね」

「ぶっ殺したの?」

「いや、話が出来たから見逃してもらったよ。というか、オッドちゃんの知り合いの龍でしょうに」

「龍に知り合いとか、いないわよ」

「え、知ってるって言ってたよ、オッドちゃんの匂いがキルコゲールからするって」

「匂いを知ってる? なんというセクハラな龍なのかしら、謝罪しゃざい賠償ばいしょうを求めたいわ」

「知り合いじゃ無いの?」

「湖の底でセクハラ発言する龍なんか、知らないわよ」

「そうなの? なんかあずかった指輪は、まだ持ってるから、いつでも取りに来いって言ってたけど」

「指輪? なにかしら、私があずけたというならば、ぶんどりに行ってもいいわけよね」


 なんか、僕の推理した素敵なRPGなイベントが、三時間で破綻はたんしそうです。


「じゃあ、明日、湖に寄ってみる?」

「んー、なんか、龍に猥褻わいせつな行為をされそうだから、行かないわ。触らぬ神にたたり無しよ」

「そういう感じの龍さんではなかったけどなあ」

「知りもしない龍に指輪とかを、もらうと乙女の貞操ていそうが大ピンチになるのよ、これは淑女レディの豆知識よ」


 オッドちゃんは、千年間、乙女なのね、と言いたくなったが、言うと絶対にセクハラだと怒るのでだまっていた。


 お先にと言って、オッドちゃんは浴槽から上がり、手ぬぐいを振り回しながら脱衣所の方へ行った。

 彼女のお尻はツヤツヤしていた。


 僕も浴槽よくそうから上がり、行水場でざっと体を洗ってから、脱衣所に入る。

 借りた手ぬぐいを返却かごにもどしておく。

 僕の脱衣籠には、例のごとくサリアさんからの洗濯しました札が入っていて、代わりに浴衣ローブと新品の下着が入っていた。

 いつもすんません。

 そして、サリアさんは、お風呂に僕が入るのをどうやって感知しているのですか、という疑問がいたが、きっと魔法的な、なんかで、担当しているお客さんがお風呂に入ると解る仕掛けがあるのだろうな、と結論づけた。


 銅貨を五枚払って、牛乳を飲む。美味い。


貰い物は時に扱いに困るときがある。ビアトーン家から貰った大量の武具のまえに悩むげんき。

新しい装備で、明日をつかめ、あやめ!


なろう連載:オッドちゃん(略

次回 第48話

貰い物で装備更新

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