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2. キルコゲール大地に立つ

 僕がロボのお腹あたりにある光ってる部分に触ると、ぼみっしん。と音がしてハッチがひらいた。


「うわあ、こってるねえ、すごいよげんきくん」

「って、なんで一緒にロボ上にいますのか、あやめちゃん」

「えー? げんきくんが頼んだロボじゃないの?」


 そんなもの頼む予算もなければ計画もないよっ。

 デートにスーパーロボットを頼む彼氏って、嫌じゃ無いですか、どうやってそれで二人でうっとりできるんですかっ。

 ロボのお腹の中は機械がみっしりと詰まっていて、そして三つの座席があって、なんだかピカリピカリと色々な色を発しているのでありますよ。綺麗きれいでありますよ。

 乗る。

 あたりまえのようにあやめちゃんも入って来て、僕の隣の座席に座った。なんで?


「ほひょうっ、綺麗きれいだねえ、げんきくん」

「ええと、マニュアルは」


 書類的な物は僕の手元には見当たらなかった。


「ふんふふ~ん」


 わあ、あやめちゃんがなんか適当てきとうに目の前のスイッチをピッポッパとおしてやがりましてござるよ。

 僕の目の前のスイッチ群をみていると、押せとばかりに青いスイッチがピカピカと光る。

 押してみる。

 ピッ。

 三つ隣の赤いスイッチが点滅。

 押してみる。

 ポッ。

 青の左上の黄色いスイッチが点灯。

 押してみる。

 パッ。


 バッシュンッとロボのお腹ハッチがしまり。

 ゴヌイイイイイインとお尻の下から振動。

 モギュリョーーーンと音がして操縦席が大揺れ、ボビィンと音がして、周りの壁が透けた。

 透けたというかこれはディスプレイだね。

 全周ディスプレイという物か。

 外が見える。

 ゴスロリ少女が居る。

 さっきまでと同じように、ドラゴンに向けて手をかざしてるっ。

 ロボが体を起こそうとして、バーバパーパッパーーッとBGM。

 ろぼはゆっくりと立ち上がる。

 なんでBGMが出る?


「おうわあ、動いた、動いたんだよ、げんきくんっ!」

「う、うごいてるね、あやめちゃんっ」


 くっ、操縦法は、前方のレバーと足下のペダルを使ってどうかするのかっ?


「あ、えーとね、右の丸い大きいだいだい色のトラックボール的な物に手を乗せろ、だって」

「えええっ?」

「キルコゲールって人が言ってる」


 あ、なんだかあやめちゃんの頭にヘッドセットのようなものが乗っていた。ぼ、僕のは。

 あたりを見回しても無い。


「ぼ、僕の分のそれは?」

「うんとね、紛失したって、キルくんが言ってる」

「無いの!」

「無くなっちゃったって」

「それを僕に貸してよ」

「えー、やだよう。あはは、キルくんも駄目だって、この席用、火器管制通信席用なんだって」


 もー、なんだよう。ずるいなあ。

 とりあえず、だいだい色のトラックボール的な何かに手を乗せて。


 ふおおおおおおおおおおおお。


 何かが、何かが入って来てますよ、というか、脳にずんずんと遠慮無くドンドコドンと情報が流れ込んでおりますよ。


 このロボットの名前はキルコゲール。

 地球の哲学者とまぎらわしい名前なのは偶然らしい。

 一万年ぐらい前に異世界で作られた退重魔獣用最終決戦搭乗型ゴーレムの七番機で恐るべき力を秘めているらしい。

 操縦方法は橙の感覚球から自分の魔力を流し込んで体を動かすように操縦。

 レバーやペダルはその補助に使うらしい。

 わかる、操縦方法が解るよっ!


 キルコゲールは完全に立ち上がり、腕を上げてポーズを決めた。そ

 の瞬間上半身からバリバリっと小さな雷が発生して光る。

 かっこい~。


「立ち上がったのねっ!」


 足下の方からゴスロリ少女が声をかけた。

 えーと外に声をだすには、あ、コレをおしっぱか。


『動きましたっ、僕がこれで闘うので、どいてくだ……』


 最後まで言えなかった。


 ゴスロリ少女が、えいやのかけ声も勇ましく、キルコゲールを持ち上げると、ふり上げ、ふり下ろし、ドラゴンを殴りつけたからだ。


 もの凄い衝撃!


 さらに、持ち上げ、ふり下ろし、上げて、ふり下ろし。

 ドラゴンにキルコゲールの頭部がどっかんどっかん当たり、血しぶきとか折れた牙とかが路上にめったやたらに飛び散っている。

 あわれ、ドラゴンは血まみれになって、ギョウギョウと悲鳴を上げる。

 デパートにもガンガンぶつかり、ガラスは飛び散る、マネキンは木っ端微塵、空中遊歩道は壊され、べろんと垂れて落ちる。

 もの凄いゆれるというか、ふりまわされるというか、自動的にシートベルトが出てきて、がっしと僕とあやめちゃんをつなぎとめているけど、ゆれゆれゆれゆれ。


「え、あ、これねっ!」


 ピポッ。


「ふおーーっ、まだゆれるけど、そこそこ大丈夫! ジャイロ技術の応用のショックアブソノーバー魔法だって、げんきくんっ!」

「大丈夫じゃ無いよっ!! ロボの使い方まちがってるよっ!」


 なんで百五十センチぐらいの小柄な少女が、三十メートルクラスのロボを持ち上げて振り回せるのだ? おかしいじゃ無いか、物理法則的に、なんかすごいおかしいっ!

 そんな僕の内心のツッコミにも関わらず、すでに戦闘は終わっていた。


 黒ドラゴンはボコボコにされて、撲殺されていた。

 あたりに血とか肉片とか飛び散ってどえらい事になっていた。

 駅前広場は、戦後の廃墟はいきょみたいなありさまで、遠くピーポーとサイレンの音が近づいてくる。


「え~~~」

「え~~~」


 ゴスロリ少女がなにかの言葉を詠唱すると、キルコゲールの足下にショッキングピンクな蛍光色の魔方陣が展開された。


「さあ、行きましょう! 愛惜と暴虐の大地、パンゲリアへっ!」


「え~~~」

「え~~~」

キルコゲールさんの建造時期を三千年前から、一万年前に変更。

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