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俺の女性不信が

 翌日、朝から学校にはきちんと行く。親父に心配かけたくないからね、母親はどうでもいい。俺が気付いてないとでも思ってるんだろう、証拠を集めて親父に流しているというのに。

 親父は母親が浮気していると電話した時、即座に離婚して俺を単身赴任先に連れて行こうとした。でも、俺が断ったんだ。来年帰ってこれるなら転校したくないって言って。それから、母親の浮気の証拠を親父に流した。親父の方も色々証拠集めをしてるらしい、スパイみたいで楽しいのは内緒だ。母親が男にハマって俺の自由な時間が増えるのがこっそり嬉しいのももちろん内緒だ。


「おう、友芳おはよう」

「あ、森先輩おはようございます」

 森先輩は吹奏楽部の一年先輩で、俺を含めて5人しか居ない男子のうちの一人だ。同じ楽器チューバだから可愛がってもらってる…筋トレはスパルタだけどね。いつも思うんですが楽器に腕立て必要ないですよね、腹筋はともかく。

「お前いい加減女子と仲良くしろよ」

「いやどうしてもクズ母親のせいで偏見持ってしまうんですよね。パー錬も合奏もちゃんと音合わせてるから大丈夫ですよ」

 この先輩にだけは家庭の事情を話してる、家が隣だから隠しようが無いというのもあるが、小さいころから遊んでもらってた人だから信用も出来るし。

 別にホモというわけではないが、どうしてもあのカスと同じ性別だと思うと信用できないんだよね、表面的な話は出来るけどそれだけ。あーもー部活やめちゃおうかなぁ。

 朝練は楽しい楽しい走り込みが中心だ。いや、別に楽しくはないけど、俺の楽器は肺活量が無いとどうにもならないから真面目にやってる。

 クラスでは、友達は少ない方だ。まあでもクラスの友達なんて3人もいれば十分だろう。友達に昨日の話をしようかとも思ったが、それは止めておく。何かあった時責任が取れない、現実逃避したくなるような家庭でもないだろうしね。


 授業は普通にうけて、放課後の部活をやって、家に帰って食事は自分で作る。今日の夕食は弁当にしよう。ラウラの臭いが少しは減ってるといいけど、あの臭いで傍に居られたら俺が食べられそうにない。そうして夕方過ぎに扉の向こうに行くと、捨てられた子犬のようなラウラが居た。

 今日来るとは言ってたけどそういえば時間が夕方になるのは言ってなかった。どうも昼過ぎあたりからずっと待ってたらしい。

「そういえば、ラウラちょっと清潔にになったんじゃない」

って言うととても喜んでた。昨日あげたお金で石鹸が買えたので、水浴びと体を洗う事が出来たそうだ。臭いはかなり減ってるのは嬉しい、まだ汚いと言えば汚いけどね。

 廃墟も大分片付けてくれたらしい、残ってたテーブルと椅子で一緒に弁当を食べる。なんていうか、普段マトモなもの食べてないんだろうなぁ、涙を流さんばかりに喜んで食べるのはいいが、もうちょい落ち着いて食べてくれ、調理済みなんで逃げたりしないから。


 廃墟から出て町を探検しようとしたら止められた、夜は治安がヤバいらしい。今日が木曜日だから、明後日なら昼から時間が取れるので、その時まで待とう。

「明日もこれ位の時間に来るから、また一緒にご飯を食べよう。あと、この家の防犯は大丈夫なの?」

「神様が残して頂いた金貨を使ってドアに魔法錠を取り付けました。よほど強力な魔法使いでも居ない限り大丈夫です」

…俺まだ神様だと誤解されたままか。

「あーラウラ、そういえばラウラの名字って何?」

「下級人間には名字を名乗る事は許されてません、あえて名乗るならタルヌフの町旧エルフ街スラムのラウラといった所でしょうか」

なるほど、江戸時代の下層階級も名字を禁じられていたからねぇ。

「じゃあ、俺もトモヨシでいいや。神様なんかじゃないただの人間だからトモヨシって呼んでくれていいよ」

「トモヨシさま、ですか?」

様付けは止まらない、それはまあ仕方ないか。


 とりあえず、ご飯も食べたし、明日も一緒にご飯食べる約束したんで家に帰る。寒そうだし明日は家から毛布でも持ってきてあげよう。なんていうか、妹が出来た気分だ。最初のアレはともかくとして、汚いから逆に女を感じさせない。

 女性不信のリハビリにはちょうどいいかな?早く親父が離婚決めてくれれば一番の薬なんだけどなぁ。単身赴任が終わるまでは我慢するしかないか。


 家に帰ったら母親が居た、ぐだぐだ説教ばかり一人前にしやがる。

 これからパート先での飲み会だそうだ。嘘つけ、男と二人きりでするのは飲み会とは言わないんだよ。バレてないと思ってやがる、いいから交通事故か何かで死んでくれ。

 腹が立つんで宿題やって寝る、部活は居心地悪いし母親はクソだし、まだ扉の向こうの世界の方が楽しいかもしれない。


 次の日、毛布をあげたらとても喜んでくれた。明日は母親のサイズが合わなくなったワンピースでも持ってきてあげよう、ボロを着てるだけだと可哀想だ。

 そして、弁当に鶏のから揚げを入れたら、ちゃんとした肉を食べるの久しぶりだと本当に喜んでいた、普段何食べてるのだろう。何か換金出来そうなもの持って行って旨いもの食べさせてあげようかな?


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