③ 再封印?
「えっと…“再封印”…って、なんのこと?」
「文字通りだよ、茅蒔クン。」
いや、…文字通り言われましても…
“過程”を教えろってんの。
起こした途端にお願い事をされるって、
これじゃ“逆魔法のランプ”じゃん…。
あの物語、確か…最後のお願いは魔人を自由にしてたけど
コイツに関しては、起こして機嫌悪くなったしなぁ…。
もっかい寝たいってこと?そういうことだよな〜…?
“再封印”って…。
「キミさぁ…起こしたよね?ボクのこと。」
「あ、やっぱりか…!」
やっぱそうじゃん。
起こしたのめっちゃ怒ってるじゃん…。
じゃあ早く寝ればいいじゃん…。
あ、“寝れない”のか…?
まあ、起こされて嫌になる気持ちは…おれもわかるけど…。
「罪悪感があるなら、できるよね?“おしごと”。」
「…えと…。『ね〜むれ〜…ね〜むれ〜…』?」
「…子守唄だろ、それ多分…。違うから。キミがやるべきことはただひとつ、ボクの再封印を手伝ってもらう。」
違ったか。子守唄じゃない?
な…なんかちょっとだけ恥ずかしいな…。
取り敢えず、今はこの火の玉人間の言う事聞くしかないか…。
「再封印だっけ?…おれ、難しいことはできないよ?まあ、努力はするけどさ…。」
「んー…そうだなあ…。説明するとなるとメンドいな…。」
「この“剣”でもっかい世界休めを突き刺すとか?」
分かったぞ絶対これだ。
これこれ、もっかい“封印の剣”で眠らせる!
これじゃないの?逆のことをすれば良いのでは?!
…まあ、違うだろうな。
それなら、わざわざメンドウだの仕事なんて言わないよな。
「いや、ムリだから…。この世の万物じゃボクは封印できないし死なない。」
「ちぇ〜っ…。違ったか〜。ならどうすりゃい〜のさ?そんな凄い力、おれはないよ?」
「…再封印はね…。ボクの“力”がいるんだ。その力の総称は──『ステレオ能力』と云ってね…。霊の持つ気を立体化させて扱う超能力…みたいな感じかな。」
ステレオ…能力…??
なんだ?音楽でも流すのか…??
立体化…?現れるってことか…?霊が…?気が…?
…この世は、そういう超能力があるシステムなのか。
なんか、ちょっとだけワクワクしてきたぞ…。
おれも、使えるようになる…?
いいねいいね。そういうの大好きだ。
剣もあるし、超能力もある…。
男子なら必ず飛びつくような、夢のような世界に来たのかもしれない。
「なるほど…ステレオ…能力ね!良いね!そういうの…!」
「やっぱりキミ…少し変わってるね…?フツーはこういうの信じないし手も出さない。」
「いやいや、火の玉とお話してる時点でそれは吹っ飛んじゃったよ。」
「ふふ…面白いね、キミ。」
おれには未練も無いし、
未練が有ったことさえも分からない。
どうせ、ここで虫とか木と居てもヒマだし…。
それよかコイツの話を聞いて、この世界に興味出てきた…。
「茅蒔…。ボクのステレオ能力は、ボクの名と同じ『世界休め』といってね。ま、字面から想像できる通り、まさに封印術のような能力なのさ。」
「え、自分の名前を能力名にしてんの…?え〜なんかヤダ〜…それ…」
「…ホントに…肝が据わってるよね。キミって。」
世界休めの、能力の名前は『世界休め』──
めちゃくちゃ、メンドウな設定〜〜……。
でも、もしかしたらコイツが
その能力で恐怖されるあまり付けられた“名前”…。
“二つ名”なのかも?
さっきはダサいと思ったけど、ちょっとこう…
少年心をくすぐってくるような感じだな…。
良いね…キライじゃないぞ。
「でも…とある巫女に…キミが今、手に持ってる剣で、ボクの『世界休め』を丸ごと取り込んだ状態でヤラレてさ。ボクは自らの力によって封印…。さらに『世界休め』を六つに砕かれるおまけ付き…っていうワケ。ここまでおわかり?」
「…ふ〜ん、まるでおとぎ話を聞いてるみたいだ。それに巫女さんが強いっていう設定の世界か。」
「…キミ10歳だっけ?物分かり速いね…。ボクとしてはすんごく助かるよ」
取り敢えず、おれの頭での理解&解釈は──
コイツはその巫女さんに能力を跳ね返されて
自分自身の“力”で封印された───。
そん時に、さらに能力をバラバラにされて〜…
それを、多分おれが取ってこい。
──ってことなんだろうな。多分。
おれに封印させるって言ったしな。
その、『世界休め』っていうステレオ能力をおれを世界休めに使ってまた眠ってもらう─。
って感じか。
まあ、多分こんなとこだろう。
でも、1個だけ引っかかるな…
「でもさ、なんで再封印なの?世界休めを封印した巫女さんを倒したいとかじゃなくて?」
「変なとこで感が鋭いよね、キミ。」
世界休めが、ただの眠たがり屋かどうかは知らんけど…
そこが気になる。
巫女さんのことを恨んでなさそうに見えるし。
それよか、まるでそれを望んでたかのような…。
「ずーーーっとずーーー…っと、眠らされ続けて…変な話、“これも悪くない”って思えた。数百年は寝てたんじゃないかな…めんどくさいから数えてないけど。」
「まじでファンタジーの世界観になってきた…。なるほど…封印されるのも悪くない。──そう、世界休めさんは思ったワケだ。」
「恥ずかしながらね。」
でも、わざわざ封印されるほどってことは、
…コイツ、もしかしたらホントにすごいやつなのかも。
嘘はついてない、なんとなくわかる。
まず、体が火の玉だしね。喋るし…。
“ずっと寝るのも悪くない”って、
まさに世界休めって名が体現してるなぁ。
もしかして、そういう系の神様的な存在なのか?
「ここまで話せばまあ、見当はつくかな茅蒔。キミにボクの再封印という“義務教育”を課す。」
「勉強は嫌な方なんだけど……。」




