⑮ 幽霊のシステム!?
あのコンプレックスを浄化してから1か月が経った─。日付は毎日見てる。
相変わらず、怒りん坊の風月と優しん坊の水月ねーちゃんのトリオで道中、楽しんでます。色んな美味しいもの食べたり、綺麗な宿に泊まったり…まあ、もちろんおれは横の部屋だけど…で!おれの今後を占う“凄腕の占い師”んとこに向かってる最中なワケで。相変わらずおれの身体はフワフワしてる。もう慣れてきたもんだ。スライド移動なんかしたりして〜…。不便を楽しむ…このスタイルで行こう!そう思った。
そこである疑問、そういやこのツンツンしてる風月…確か、こん前“守護霊”って言ってたよな…?“流霊”ってのは多分、俺のことだ。前世からあの世に流れてきた幽霊。それとは、また大きく違うんかな?水月ねーちゃんは“なに霊”なんだ…??
「なぁ〜風月?今、向かってる占い師のお陰で守護霊に成った…って言ってたじゃん?」
「あ?…ああ。」
「それって流霊とはまた違うの?」
「ああ。」
「あ」しか喋れない神通力でも食らってんのか…?ホントにいつも不機嫌だよなあ…対応困るって。子どもに気を遣わせないでよなぁ〜まったく…。
「風月ねーちゃんは、やっぱりスゴい霊なの?」
「……。霊ってのは2種類いる。私の“守護霊”は例外なんだが…─」
“ねーちゃん”呼びしたら…めっちゃ喋り始めた…!お、おもしろ…。ちょっとだけ、なんかカワイイな…。これは…ツンデレになるのかな?
「まず、お前のように前世から流れてきた“流霊”と“固霊”の2種類だ。」
「こ、コレイ?…コってなんの“コ”?」
「“固定する霊”と書いて固霊だ。固霊ってのはな?謂わば…」
「…いわば?」
「………………………………………。」
え、どうした?もしかして“ねーちゃん”呼びされたの不快だったっ?!心の中で遊んでたの気づいてしまった…!?!?
「……おい、茅蒔。お前…あの世に来てどんくらいだ…?」
「え?え〜っとね〜……。2人と最初に会ったのが…初めてきた日だから…。ちょ〜ど1か月だよ?」
「………水月。」
「……マズイね…。お姉ちゃん…。」
え?なに?え?どうしたの2人見つめ合っちゃったりして?おれなんか言った?いや、いらんことは言ったけども…!え、どうした。マジで…。
「茅蒔くん。落ち着いて聞いてね?」
「う、うん?」
「固霊ってのはな、この世で産まれた“戸籍”を持つ霊だ。流霊にはソレが無い…。」
「な、なるほど…記憶がうまいこと無いのもそういうこと…ってわけだ?」
「重大なのはこの後だ…。スッカリ忘れてた…。」
一体全体、何を言うんだ…?え、怖くなってきたぞ…。せ、せっかくあの“孤独”のコンプレックスの喪失感というかやるせなさで参ってたとこを立ち直ってきたのに…。
「流霊はな…前世で死んで、こっちに来た後─」
「…ゴクリ…」
「“49日目”に消滅する……!」
「……へ??」
「そう、つまり…ヤバい…。」
は、え?49日後に消滅?消滅って消えるってこと…いや、それしかないやん…!!え、おれ死んでからまた死ぬの??マズイじゃん!?え、やばくないか!?!?
「え、じゃあどーすんの!?おれ!?」
「方法は…“養子”に貰ってくれる霊を探して固霊に昇華するのがある…!しかし…私たちに、その権限はない……!」
「あと…教会に行けば茅蒔くんの存在を鬼籍に刻んでもらえるけど…此処からじゃ遠すぎる…。」
な、なるほど…おれが、どっかの家の固霊に成ればいいのか…。なんかもう一つの方は距離的に難しそうなのか。あ、あと19日…2週間とちょっとか…。な、なんかヤバいことになってきたな…!?取り敢えず、おれは自分をPRしなければいけない期間になったってワケだ!?
「…でも、おれみたいな、コンプレックスが中にいるようなやつ…誰も要らないんじゃ…」
「要らない子なんて居ないッッッ!!!」
「…茅蒔くん?絶対にわたしが見つけるから…!!!大丈夫だから、ね?」
お、怒られちゃった…。すんげー怒ってたな今…。
水月ねーちゃん…。ホント…優しいよな。申し訳ないな…。もちろん風月にも、感謝してるけど…。今のまんまでダラダラしてたら消滅……か。一気に…緊張感が…張り詰めるな。
「取り敢えず、方向的にこっちだな…。小さいが町がある─。」
「町があんのか…。まあ、なんとかなるでしょ〜…?おれ、ちゃんと素直で可愛くなるから…。」
そうだよな、イイコ…“良い子”を演じなければ…いや、でも…。それってサギだよなあ〜?…。人の親切というか、心を弄ぶのは…なんか、したくないな…。さっき風月のこと心の中で弄んでたけど…!
「…“可愛く”…カワイく……。……よし…少しでも可能性を上げるためだ。…水月!」
「…!!お姉ちゃん!それでいこう!!」
「…え、どゆこと?」
…なんか、イヤなこと閃いてないよな?あれ、水月ねーちゃん…?なんで、おさげのリボン取ってんの…?あ、めっちゃ良い匂いしてきた……ってそうじゃなくて!
「茅蒔くん…。」
「えっ!…ハイっ!?」
「ちょっとジッとしててね…!」
「え、…なに?なにが起きるの…??」
─5分後─
「じゃ〜〜ん……!!ハイ!これ鏡!」
「似合ってるじゃないか、…茅蒔ちゃん。」
「…………可愛くなっちゃった………。」
─茅蒔、10歳。
鏡の中には緑髪のツインテールの少年が居ました。




