⑬ おまえはわるくない。
──ボゴッッッ……!!!
─ッドォオオオンンンン………。
「─…茅蒔くんッッ!!」
「あのバカッ…!!!くそ…、クソッ!!!…死んでないだろうな…!!茅蒔…!!」
──バキッ……ガラガラ……
「ん…ててて……。なんかすごいおとがしたぞ…。……って、え??おれ、なんでカベにめりこんでるだ…??」
「もしかして…あの…そらから、でてきたアレ…に……?」
まったく見えなかった……。もしかしなくても、アイツの力…だよな…?いてて…コンプレックスに攻撃されて壁に吹っ飛んだらしい…。でも、『我が身可愛さ』が髪の毛をまるでふかふかの布団みたいにクッションにしてたから助かった…!…てか、こんなこともできるのか……。で、でもやばかった…これなかったら速攻でやられてたぞ…。
「茅蒔くん!!!??大丈夫!!!??」
「う…ん。なんとか…」─ガラガラ…
「神通力に助けられたな…気を緩めるな!!!どうやら、アイツは、お前を狙ってるらしい!!」
おれを狙ってる……おれ、だけ??
なんで、おれなんだ??子どもだから??!
なぜだ…。でも、こわいけど…見なきゃ…!!目をちゃんと開けなきゃ…!!ビビるな!!見ろ…!!“コンプレックス”を…!!!アイツを!!!
……!!!
その“コンプレックス”…。見た目は…まるで、
人間の手だ……“手のかたち”をしてて…“親指”のとこだけ……煙…霧みたいなのがかかってる……。なんだ…あれ…?
そんで…掌に顔がある……しかも、泣いてる……。
怖いゲームとか映画に出てくるような……。ぜったいに…出会っちゃいけないような……世界休めの“火の玉”みたいな姿じゃない……。これが…コンプレックス…?こんなやつらと…いつも、風月たちは戦ってるのか……。
……!!…また攻撃してくる……??!
【【【キミ。ナカマ…?。イル??イルノ???ナゼコナイ???】】】
「はっ……」
【【【キテキテキテキテキテキテキテシテ】】】
「んぇっ!?!?…!!」
───バヂィイイン!!!ズザッッ……。
!!!!…こいつ…。また、おれに物凄いスピードで体当たりしてきた……!!あんなデカいカラダで、なんちゅー速さですか……!さっきのはコレだったのか…!
なんとか『我が身可愛さ』が避けてくれてるけど……また、幽気が無くなるんじゃ……。こいつ…疲れるのか…?はぁ…はぁ…。世界休めは…疲れそうだけども…!
──ウロォオオオ……!!!
─ズザザァア………
ズザザッッッ…
バヂィイイイイ…ドッ…ザァアア……
「はぁ…はぁ…いつまでつづくんだ…これ…。」
「でも…なんだろ…アイツのこわさ…なんか、なれてきた…。」
…!!
まただ……泣いてる……黒い涙…。
コイツには…なんか…“違和感”が…ある…。
「茅蒔くんッッ!!いま助けるからッ!!」
「水月おねーちゃん!!だいじょうぶだからっっ!!!」
「─!!えっ!?…」
【【【オォオ……オオオ……ヒ、ヒグ…ウォ……】】】
そうか……解ったぞ……。
お前のしたいことが。お前がおれを狙うワケが…。
【【【ニゲルナ…ニゲルナニゲルナニゲルナニゲルナニゲルナニゲルナニゲルナニゲルナニゲルナニゲルナニゲルナァ…!!!!】】】
「わかった。逃げない。」
もう、コレはいらない。
──カンッ!
……カラカラカラン……
「…!?…茅蒔…!?バカ野郎…!!なぜ剣を捨てた!?今すぐ拾えッッ!!!殺されるぞ!!!」
【【【ゥオ………】】】
ぜんぶ…わかった。
なんで『我が身可愛さ』が、さっきからずっと剣をつかわないのか。なんで、きみが、ないてるのか…。
「あそびたかったんだよね?」
【【【… … … …オオ…】】】
【【【… オ……ナマ…エ… …ナ…ニ… …。】】】
「…おれは茅蒔。」
「あそぶ?」
【【【… …!!!ウォウロォオオオロロ!!!】】】
別の人が見たら恐らく恐怖するような光景だろう。
でも…おれにはこの叫びがまるで、喜んでるような声に聞こえた。まるで友達と遊ぶ約束をしたときみたいに…。
最初から、最初から…じゃれてただけだったんだ…。
悪気も、敵意も一切無い。
『我が身可愛さ』が避けることだけしかせずに、剣を使って防御しなかったのも…そういうことだ。
《コンプレックス》…“心”のいきもの…か…。
「なにする?オニごっこする?…いまみたいにさ!」
「は?????オイ、…オイ!馬鹿!何考えてんだ!!?速く武器を──」
【【【… ォオ……“オニゴッコ”…シタイ…。】】】
「おっけー!!なら、こんどはおれがオニな!!」
それから…どんくらい時間かかったのか分かんない……。もう、空はすっかり夕焼け小焼けだ…。
やっとこさ…アイツにタッチして〜〜……!そんで、タッチを避けまくって〜…!そしたら、油断しちゃって…またおれがオニんなって……。風月と水月おねーちゃん…遊んでるおれら見てすんごいビックリして、口開けてたな…。でも、おれは逃げるのに夢中!!お構い無し!!
…なんか、前世の記憶は全くないけど……“懐かしい”って…そんな気持ちになった…。…まだ、6才だけど………。
でも、久々に…走ったな…あんなに…。
たのしいな…。
「もう…1時間は経ったね…お姉ちゃん…。」
「………。」
風月と水月おねーちゃんは、ただただ、おれたちを見てた。まるで…お母さんみたいな…。
お母さん…お母さん…。ダメだ…。何も思い出せないな…。顔も、思い出も、声も……。あのコンプレックスも…いまのおれみたいな…心の…。
「はぁ…はぁ…やっぱ、フワフワするカラダじゃすぐおいつかれるか……!!くっそ〜あとちょいだったんだけどなぁ〜〜…!!よし!もっかい…!もっかいやろう!!!!」
【【【… … …ウォニ…。うォ… …】】】
──ポワ……。
─その時、
コンプレックスのカラダがキレイな光であふれた…。




