⑩ 明日檜姉妹?
「ん……あ?あれ…?…どこだ??ここ…。」
??…う〜ん…。どうしよ……。なんにも思い出せないぞ…。なんか知らないところで寝てた…みたい…。何処だろここ…。誰の家だろ…。病院…かな?…注射とかないよね…。
え〜と…確か…、え〜と…森の中に居て…そんでそんで…“世界休め”っていうヘンな火の玉に出会って……、そんで…巫女さんが来て…おねーちゃんたちが来て……
……。……!!!
そうだ……っっ!!!思い出したぞ…。
あの“赤い風”の巫女……!!!
おれ…おれ、死んだのか??死んだあとの世界で、また死んだのか…?
「あっ!起きた?大丈夫…?」
「…うわっ」
ビビった…。ホントに。か、顔が降ってきた…。
…ってあれ、…確かこの白い髪のデカいおねーちゃん…あの、おれを殺そうとしてきたおねーちゃんと一緒にいた…。
そうか、夢じゃなかったのか…。ってことは、もしかしておれ…助かったのかな…?このおねーちゃんに助けられたのかな……?と、取り敢えず……
「ありがとう…。ご、ございます…。大きなおねーちゃん…。」
「ふふふ…良かった…!傷も手当てしたからね!ごめんね…わたしのお姉ちゃんが、茅蒔くんのこと…虐めたりして…。」
か、顔が近い……恥ずかしいかも……。こ、この白いおさげ髪のおねーちゃん、最初はデッカくてちょっとビックリしたけど……こう、間近で見ると…か、カワイイ…かも…。なんか…ドキドキする。心臓のとこが痛い……。おさげだし……、おねーちゃんなのに…子どもみたいな顔してて、でも…物凄く安心する……。
「あれ!?茅蒔くん!顔赤いよ!?やっぱりあんだけ無理したから、お熱出ちゃったかな……。ちょっと待っててね!!!」
あ、…どっか言っちゃった…。確かに熱いけど…恥ずかしい……。なんかこの布団も凄く温かいし…もうちょっと…寝てようかな…?ははは…なんか今の、世界休めっぽかったかも…?アイツ…まだおれの中にいるのかな…?死んでないよな…?ん、足音だ。戻ってくるの早っ…!
……!!ゲッッ!!!!!?
「よォ……お目覚めか?茅蒔くん?顔色が悪いぞ?」
「あ、明日檜…ふうげつ……。」
「記憶力は良い様だな…お前。」
お、覚えてるさ…。忘れるわけない……!!!こ、コイツはおれを殺そうとした巫女だ…!!!ま、まさか、また殺しにきた…!??
「…そう、身構えるなよ。あの後、妹にクソ怒られたからな…。もう敵意も無い、お前の神通力だって反応してねえだろ?」
「…知ってたの?世界休めの神通力─ってこと…。」
「んなもん、見りゃー分かる…。まあ、あの時は幽気切れしてたがな、お前。」
なんかまた勇気がどうとか言ってるな…。そういえば、世界休めも、この言葉使ってたな…。なんなんだ?この世界の“勇気”って……。あんま話したくないけど、聞いてみるしかないよな…。
「ねえねえ、その…勇気っての、なんなのさ?おれ、確かに臆病な方ではあるけどさ。」
「その勇気じゃない、“幽気”だ。」
「ま、ガキのお前に、物凄〜〜く…分かりやすく言うと…我々、幽霊の持つ気みたいなもんだ。」
「な、なるほど…。それが無くなって気絶したんか…。」
幽霊の持つ気…。《幽気》…。
なるほど…段々、分かってきたぞ…。神通力を扱うには、この幽気ってのが絶対いるっ!!!…っていう話か…な?めっちゃムカつくけど、分かりやすかった…ホントにムカつく…この巫女さん。
「茅蒔くん!ごめんね、待っててくれたかな…?…って、お姉ちゃん!!ま〜た茅蒔くん虐めてないよね!?」
「虐めてない、教えてただけだ。」
「…それ、イジメっ子の思想〜……。はぁ…大丈夫?茅蒔くん?あれ?お熱下がった?」
このふたり…姉妹…だよな?全然違うくない?!?しかもお姉ちゃんの方が小さいんだ……。プフっ…!!心の中で笑っといてやろう。ホントに言ったら絶対怒るだろうしなぁ。こっちのおねーちゃんはめちゃくちゃ優しい…。でも、なんでさっきは殺そうとしてたのに、今は看病してくれてるんだ…?さっきこのコワイコワイ巫女は、このおねーちゃんに怒られたって言ってたけど……。あの…あのアイツが、姉妹喧嘩で負けるって……まさかホントはこっちのおねーちゃんの方がコワイ……??
「大丈夫?まだお姉ちゃんのこと怖い…?」
「大丈夫…!風月のことはもう怖くない…。」
「こ、…コイツ!!!今、呼び捨てしたよな!?オイ!!!」
おれを殺そうとしたバツだ。呼び捨てで呼んでやるもんね。何歳かは知らないけどさ。
…はっーー…正直言うのドキドキしてちょっと怖かったけど…スッキリしたー…。絶対、“ねーちゃん”なんて呼んでやらない…。
「まあまあ…お姉ちゃん!改めて自己紹介するね?わたしは明日檜水月。こっちは風月お姉ちゃん。双子なんだ〜…ふふ。よろしくね?」
「よろしく…です。水月“おねーちゃん”…。」
「こ、この…クソガキ……。」
「ふふふ…もう仲良くなってるんだね!」
「「仲良くない!!!!!」」




