一章 〜おこしちゃった?〜
「あれ…ここどこだろう…?寒くない…」
寝ぼけながら目を覚ました小さな子ども。
そこは所謂“あの世”─
《ダブルヘイム》だった。
「う〜ん…たしか雪で遊んでたとこまではおぼえてるんだけど…」
“さっき”までとは違う光景─
薄暗いジメッとした雰囲気が漂う樹海。
しかし暖かい陽だまりのような温度。
黒髪の小さな小さな少年は目を擦りながら初めて見るその土地に足をついた。
「うーん…森…?なんかここ…ふわふわする…!いや…おれがふわふわしてんのかなあ?」
少年はしばらく“変化”を楽しむ。
少しだけ浮遊したり初めて目にするような植物を眺めていた。
しばらく歩くと巨大な神木が堂々とそびえ立つ広間に辿り着く。
「うわ〜…でけ〜!!」
「なんか…ささってる?…剣じゃん!!」
少年は神木に突き刺さった逆光で鈍く煌めく刀剣に興味を持っていかれる。
神木がそびえ立つ丘をじわりじわりと這いつくばりながらよじ登る…
「とうちゃ〜く…!やっぱり剣だ!!あれ…でもちょっちきたない…」
錆びて蔦が絡まって最早“剣”として機能していないであろう刀剣を少年は触るかどうか考えながらずっと見つめていた。
「う〜ん…ま、いっか!」
「よっ…とれた!」
両足で踏ん張りをきかせながら少年は剣を引き抜く
意外にもその少年の身体でも引き抜けるほどあっさりと─
「お〜…かっちょいい〜…!!おもい…」
アニメなどでよく見てきた剣士の真似事をしようとするも予想外の重量にすぐに膝をつく少年。
「もどそう…どろぼうだし…」
子どもながらに良心の呵責からか、引き抜いたなまくら刀を元の溝穴に戻そうとした─その時
「…オイ…」
「よくも…よくも…」
「起こしてくれたな…ガキ…」
「…え?」
背後からか、いや天からか─
その声の主を必死に目で探し始める少年。
「ここだバカ…」
不貞腐れた様な声色の発生源を少年の目は捉えた。




