第8章 母の影と二人の絆
夕暮れの学園。
オレンジ色の光が校舎を染める中、ミナは校庭の隅で魔法陣の練習をしていた。
昨日の夢で聞いた母の声が、胸に強く残っている。
「ミナ……力を恐れず、心で導きなさい」
その言葉を反芻しながら、ミナは杖を握る。
「母さま……私、頑張ります」
背後に気配を感じ、振り返るとリアムが立っていた。
「え? リアム様?……その……」
「ふん、集中力の確認だ。変なことを考えるな」
リアムは相変わらずツンツンしているが、近くに立つと不思議と安心する。
「……リアム、さま。昨日、母の声が夢に出てきたんです」
リアムは一瞬、目を細める。
「……そうか」
二人は魔法陣の前に立ち、共に力を注ぐ。
「君の魔力は母と似ている。封印の力を扱う感覚も、確かに受け継いでいる」
「私……母と同じ力を持ってる……」
「だから、俺は君を守る。君の力を、俺の目で確かめる」
ミナは胸の奥が熱くなるのを感じる。
普段は冷たくて無愛想なリアムが、自分の力を真剣に認めてくれている――それが嬉しくて、自然に笑みがこぼれる。
「……ありがとう、リアム、さま」
「……ふん」
リアムは少し赤くなり、そらした。
けれどその手は、ミナの手に軽く触れたままだった。
その夜、ミナは日記に母のこととリアムのことを書き綴る。
「母さまの力、少しずつわかってきた……リアムさまも、きっと信じてくれる」
母の過去の力とリアムの信頼――二つの絆が、ミナの胸の中で強く結びつき始めていた。




