第5章 学園祭の奇跡と二人の距離
学園祭の最終日。校庭は屋台の明かりと魔法の光で輝き、楽しげな声が響いていた。
ミナも準備した魔法実演のブースに立つが、心ここにあらず。
「……あの魔法陣、どうして突然現れたんだろう……」
背後で、冷たい声がした。
「……心配している暇はない。準備に集中しろ」
振り返ると、リアムが立っている。
眉をひそめ、腕組み――まさに氷の王子の威圧感。
でも、その視線は、誰にも向けられない優しさをミナにだけ向けていた。
「……はい……」
ミナは少し頬を赤らめ、魔法陣の最終調整に集中する。
その瞬間、校庭の端で光が強く瞬いた。
「……来た」
リアムの声は緊張で震えていた。
光の中心には、古代の魔法陣が浮かび上がる。
「封印の力が動いている……」
「リアム、さま……!」
「俺に続け」
二人は結界の中へ走る。光の中で、古代文字が揺れ、魔力がうねる。
ミナは手を伸ばし、リアムの手を握る。
「……怖くない?」
「俺がいる」
その一言に、ミナの胸が熱くなる。
ツンデレ王子の言葉は短く、素っ気ない。でも――その中に確かな優しさがあった。
ミナの魔力が少しずつ安定し、魔法陣の封印が静かに鎮まる。
リアムが微かに笑う。
「……やるじゃないか、落ちこぼれ」
「な、何ですかその言い方……!」
ミナは思わず顔を赤くして目を逸らす。
二人の間に、初めて言葉以外の距離が縮まった瞬間だった。
学園祭の喧騒の中、二人だけの世界――
恋と冒険が、静かに交差する。




