落ちこぼれと氷の王子
学園の広い校庭。
桜の花びらが舞う中、ミナは今日も授業で失敗ばかりして落ち込んでいた。
「はぁ……また怒られる……」
クラスでは“落ちこぼれ”と呼ばれ、誰も助けてくれない。
魔法の授業も、ほとんどうまくいかない。
杖を振っても火花は散るだけで、魔法陣は描けない。
そんな時、廊下の向こうから冷たい風が流れた。
「……あれは……?」
見ると、氷のように冷たいオーラを放つ少年――リアムが現れる。
黒い制服に身を包み、目は透き通る青。
足元から小さな氷の結晶が舞い上がり、太陽の光に反射してキラキラと光る。
「……氷魔法?」
ミナは思わず息をのむ。
リアムは片手を掲げると、結晶が剣の形に変化し、廊下の影を切り裂くように光を走らせた。
ミナは思わず目を見開く。
「つ、強い……!」
リアムは手を下ろすと、氷の剣は消え、床の水滴に戻った。
その瞬間、クラスメイトたちの視線が一斉にリアムに注がれ、
誰もが彼を“氷の王子”と呼ぶのも納得だった。
「……今日から、お前の席は俺の隣だ」
リアムは静かに言う。
「え……!? な、なぜ私の隣に……?」
「観察していた。落ちこぼれでも、潜在能力はある。
俺が手伝えば、お前はもっと強くなれる」
ミナの心臓が早鐘のように打つ。
落ちこぼれの自分と、氷の王子――
この二人の出会いが、これから始まる学園生活を大きく変えることになるとは、
まだ誰も知らなかった。
遠くで、校舎の奥から微かに低い魔力のうなりが聞こえる。
それは、母セラが残した封印の力――
そして二人の運命を絡める、冒険の始まりの予感だった。




