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【完結保証】ボケルト異世界狂想曲〜手違いで死んだ俺は生き返るためにツッコミを入れる〜  作者: 仮面大将G
第四楽章 王都オオボケのコーダ

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第93話 再びの宿探し

 何事も無かったかのように、ホテルマンと高橋は会話を続ける。一切チェックインに関係無い話なんだけど、大丈夫なのか……?


「レーシングカー2台のカラーリングはどうされますか?」


「私のが赤、玄司様のが赤と青と緑と黄色とピンクとオレンジと黒と……とにかくいっぱい使ってください」


「そんなに色要らねえよ俺! いやまずレーシングカーが要らねえんだけども!」


「赤と茶色ですね」


「混ぜ合わされた! 確かにそんだけ混ぜたら茶色っぽくなるけど!」


「それから、レーシングカーのエンジンなんですが」


「もういいってレーシングカーは! チェックインしてもらえる!?」


「ああそうでした。すみません、今日は部屋空いてますか?」


 やっと本題に入ったよ……。なんでホテルのフロントでする会話がずっとレーシングカーの話なんだよ。さっさとホテルの話しろよ。


「今日ですね……。ああーすみません、今日はランドリールームしか空いてませんね」


「ランドリールームを空き部屋にカウントするな! みんな入って来て気まずいだろ!」


「玄司様、洗濯機の中で休んでいれば鉢合わせせませんよ」


「鉢合わせるだろみんな開けるんだから洗濯機! 開けた時に人入ってたら怖すぎるわ! 怪異じゃねえか!」


「玄司様、私は一応怪異としても認識されていますよ」


「だから何なんだよ! 俺まで怪異にすんな!」


 でもランドリールームしか空いてないってことは、要するに満室なんだよな。やっぱ人気ホテルなのか……。まあ他には安宿しか無いって話だったもんな。こんな立派なホテルあったら、みんな殺到するか。


「どうします玄司様? もう少し交渉しましょうか?」


「いや交渉してもどうにもならねえだろ。部屋空いてねえんだから」


「ああ違います。レーシングカーの色についてですよ。玄司様の方、やっぱり黄土色の方が良くないですか?」


「もういいわレーシングカーのカラーリングは! その話してるのお前だけだよ今!」


「仕方ありませんね。ならレーシングカーだけ受け取って違う宿を探しましょう」


「レーシングカーも受け取らなくていいだろ! 持て余すわ!」


 結局アンタガサーホテルを後にした俺たちは、安宿を探すことにした。レーシングカーは宿泊特典らしく、高橋は粘って粘って、結局赤いミニカーをもらって満足したようだ。なんでこいつそこまでレーシングカーに執着あるんだよ。要らねえだろレーシングカー。仮に宿泊してもらっても持て余して仕方ねえわ。


来た道を戻っていると、また王城の前を通る。思わず立ち止まって、王城を見上げてしまう。


 ここに来なきゃいけないんだよな……。ここにいる王様が、ボケルト人たちに笑いを禁止している……。だからこの世界にはツッコミ役がいない。ボケ続けるだけのボケルト人たちを救うために、俺は王様を満足させなきゃいけない。

 ……うん、最後の目的がすごくふわっとしてるんだよな。まあいいんだけどさ。どうせここからは、俺が自分で探っていかなきゃいけないんだから。大丈夫かなあ……。神様も高橋も頼りにならねえし、このまま王様を満足させることなんかできるんだろうか。


「どうしたんですか玄司様? 王城を見上げているということは、今まさに今治タオルのことを考えていますね?」


「そんなわけねえだろ! 欠片も今治タオル頭になかったわ!」


「玄司様、もし少し今治タオルが頭にあった場合は、欠片と言うより繊維と言うのが正しいのでは?」


「知らねえよ! どこ気にしてんだお前は!」


「ですが玄司様、心理テストによると、王城を見上げて考えごとをしている人は、今治タオルのことを考えているか、王城で王様と対峙する時のことを考えているか、どちらかだと言われています」


「なんでその2択で今治タオル選んだんだよ! どう考えても後者だろ!」


「後者と言うと……南部鉄器のことですかね?」


「どこに潜んでたんだよ南部鉄器! 1回も話に出て来なかっただろ!」


「でも玄司様、南部鉄器は重厚感と繊細さを兼ね備えたデザインが特徴で、鉄瓶や急須、調理器具など、用途に応じた製品が作られていますよ」


「知らねえよ! なんの『でも』なんだよ!」


 なんで俺が南部鉄器のこと考えてることになってるんだよ……。いや今治タオルなのか。どっちでもいいけど、俺はそんなこと考えてねえよ。ちゃんと自分の使命について考えてたのに、当のボケルト人(高橋)は全く気にしていないようだ。


「それにしても玄司様、安宿には何を求めますか?」


「別にあんまり求めるもんねえよ! 安宿だから!」


「私は枕があればいいです」


「もうちょっと求めてもいいんじゃねえの!?」


「ですが玄司様、枕と言ってもちゃんと低反発の枕ですよ?」


「じゃあ求めすぎだわ! 安宿がどんなレベルなのか知らねえけど、なかなか置いてねえだろ低反発枕!」


「あと南部鉄器があればいいですね」


「どこで使うんだよ! 岩手の宿にしかねえだろ南部鉄器!」


「でも玄司様、もしかしたら宮城の宿とかにもあるかもしれないじゃないですか」


「だとしてもだよ! ここ日本ですらねえから! ボケルト王国だから!」


「玄司様、王都オオボケは宮城県白石市の姉妹都市です」


「そうなんだ!? じゃあ南部鉄器あるかもしれねえな!?」


 安宿に置いてある枕の話をしながら、俺と高橋は拠点になる宿を探しに向かった。

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