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【完結保証】ボケルト異世界狂想曲〜手違いで死んだ俺は生き返るためにツッコミを入れる〜  作者: 仮面大将G
第三楽章 ズッコケ山のクレシェンド

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第84話 襲われるフンシツ

 とりあえずズッコケ山には変なやつが多いってことが分かったな……。なんか今までと違って事件らしい事件が起こるわけでもなく、出て来るやつが全員肩透かしだ。

 まあいいんだけどさ。どんどんボケの度合いがデカくなってねえか?ボケルト人がボケまくる民族ってのは分かってたけど、ついに設定からボケ出したもんな。いや高橋もだけども。


 でもこれにツッコミを入れてくれる人がいなかったっていうのは大変だよなあ……。俺がこっちに来てから、まともに会話できるやつに出会ってねえもん。ツッコミ入れなきゃ気が済まないくらいボケるやつしかいないこの世界で、笑いを禁止している王様。一体どんなやつなんだろうか……。


「玄司様、また何か考えごとをされているようですね。まさかあの金髪ボブの幽霊について考えているんですか?」


「そんなわけねえだろ! もう忘れてたわ金髪ボブ! まだその話してんのお前!?」


「あの金髪ボブの幽霊は、最終的に喜劇王と呼ばれたらしいですよ」


「それはチャップ〇ンだろ! なんでマリ〇ン・モンローの見た目でオチがチャップ〇ンなんだよ!」


「まあそんなことはいいじゃないですか。それよりも玄司様、あれを見てください」


「なんだよ! 俺は今チャップ〇ンの話してんだよ! ……いやしてねえわ!」


「いいから見てくださいよ。フンシツが山賊に襲われていますよ。今のフンシツの気持ちをアフレコしましょう」


「呑気か! バカだなお前、早く助けに行くぞ!」


「え? 助けに行くんですか? でも別に私たち、フンシツに何の縁も無いですよね?」


「急に薄情! お前今まで一緒に旅してきたんだから、もうちょっと情持ってやれよ!」


「ですが玄司様、山賊って怖いじゃないですか。私怖いの無理なんですよ」


「今の今まで怪談してたやつが!? どんなメンタルしてんだお前は! いいから助けに行くぞ!」


 フンシツの馬車の前まで行くと、怯えたフンシツの目の前に、無精髭を生やした大柄な男が立っていた。こいつが山賊か。


「いいから大人しく持ってるもん全部渡しやがれ! じゃないと、この筆でくすぐってやるぜ!」


「しょぼいな脅し方が! なんだそのちょっとした罰ゲームは!」


「ああん? なんだてめえ、この漏れに何か文句でもあんのかああん?」


(いにしえ)のネットでしか見ねえ一人称! 迫力全然ねえなお前!」


「何なんだてめえ、この漏れに文句があるってんのかああん?」


「脅し文句それしかねえのかよ! もうちょっとバリエーション増やしとけよバカだな!」


「玄司様、私こういう時のために『必勝! 誰もが怖がる山賊用脅し文句』という本を持ち歩いてるんです。渡してきますね」


「やめとけバカ! 山賊側の助太刀してどうすんだよ! フンシツの方助けてやれよ!」


「分かりました。ではフンシツにこの本を」


「違うわバカ! 山賊の脅し文句言う一般人と脅し文句のバリエーションが少ない山賊の戦いになるだろ! ややこしくなるわ!」


「さっきから何なんだてめえ、この漏れに文句でもあるってのかああん?」


「だからお前それしかねえのかよ! ちょっとお前も黙っててもらえる!?」


 なんだこの迫力ねえ山賊……。でもやっぱりこういう山だと、山賊とか出るんだな。そこはちゃんと異世界っぽい……のか? 一人称が漏れだけど……。


 まあいいや。とりあえずこの山賊をなんとかしないとな。


「おいこら山賊、さっさとフンシツから離れろ!」


「ああん? なんだてめえ、この漏れに何か文句があるってのかああん?」


「だからそれ以外喋ってもらえる!? お前言葉って知ってる!?」


「玄司様、言葉ってあれですよね、もち米を蒸して作った、もちもちとした食感が特徴の日本の伝統的な米料理ですよね」


「それはおこわだろ! なんでお前がおこわとか知ってんだよ!」


「なんだてめえ、おこわに文句があるってのかああん?」


「ねえよおこわには! おこわと言葉を間違えた高橋には文句あるけど!」


「酷いですよ玄司様。私はただ、自分が何も知らないということを知っているだけなのに」


「何お前ソクラテスか何か!? 急に哲学的なこと言うのやめてもらえる!?」


 しかし困ったな……。この山賊、全く会話にならない。どうにかして追い払いたいけど、どうしたらいいんだ……。


 ちょっと待てよ。高橋だよ。高橋は見た目は2メートルの赤鬼だから、こいつが凄めばビビって逃げて行くんじゃないか?

 よし、高橋に言ってみよう。


「高橋、頼みがあるんだ」


「手は繋ぎませんよ」


「言ってねえよ! 誰がお前の手なんか握るか! ちょ、いいから聞いてもらえる?」


「なんですか? 私が鬼のような見た目を利用して、あの山賊を脅かせばいいんですか?」


「その通りだよ! 話早いな! じゃあそれで頼むわ!」


「任せてください。私に怖いものなんてありませんからね」


「さっき山賊怖がってなかった!?」


 相変わらずわけわかんねえやつだな。怖いのか怖くないのかどっちなんだよ。でも高橋の見た目は本当に怖いからな。俺がツッコミすぎて麻痺してるけど。さあ、これは見ものだぞ。


 高橋はずんずんと前に出て行き、山賊の前に立ち塞がる。大きく息を吸い込み、目をカッと見開いた高橋は、信じられないような声を上げた。

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