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【完結保証】ボケルト異世界狂想曲〜手違いで死んだ俺は生き返るためにツッコミを入れる〜  作者: 仮面大将G
第三楽章 ズッコケ山のクレシェンド

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第82話 分かれ道

 いつものように食材を落としながらハイキングコースを進んで行くフンシツの馬車。その後ろを、ウマシカの背に乗った俺と高橋が続く。

 今日はまたカレーの具かと思ったけど、最後に落としたのがシチューの素だったから、多分シチューの具なんだろうな。まじでもっとちゃんとしたもん落とせよ。いやちゃんとしたもん落とせよってのも変だけどさ。シチューやらカレーやらの具を拾わされる俺たちの身にもなれよ。横断歩道でおばあちゃんにぶつかったんじゃないんだから。


 呆れながらシチューの素を拾って馬車に放り込んでいると、前を行く馬車が突然止まった。困り顔のフンシツが馬車から降りて来て、俺たちの方に駆け寄って来る。


「どうしたんだよフンシツ? 何かあったのか?」


「そうなんだ新小岩……。実はここから道が二手に分かれていて、どっちが新小岩か分からないんだ新小岩」


「どっちも新小岩ではねえよ! この世界に新小岩存在しねえだろ!」


「玄司様、コボケ町とズッコケ山の間の地域は新小岩と呼ばれていますよ」


「ごめん新小岩あるんだって! 知らなかったわ! じゃあとりあえず新小岩どっちでもねえわ! 今まで来た道逆に行くとあるわ!」


「ああ間違えた新小岩。王都に向かう道がどっちか分からないんだ新小岩」


「うんそうだろうな! 今新小岩に行く意味まじで分かんねえもんな!」


 フンシツの馬車の前まで行ってみると、確かに道が二手に分かれている。ハイキングコースの割にどっちがどっちとか示す看板なんかも無く、ただ二手に道が分かれているだけだ。


 困ったな……。新小岩……じゃなくて王都に行く道がどっちか分からないのか。高橋とか知らねえのかな?


「おい高橋、王都に続く道知ってるか?」


「吉祥寺駅の南口を真っ直ぐ行くとありますよ」


「井の頭公園の行き方聞いてねえよ! 何王都そんなとこにあんの!?」


「古着屋とかいっぱいありますね」


「じゃあ吉祥寺だわ! いやお前嘘つけよバカ。王都への道はどっちなんだよ?」


「そんなこと私に聞かれても困りますよ。私はいつも王都までグライダーで行ってるんですから」


「じゃあなんで今回陸路選んだんだよ! いつも通り空路で行けよ!」


 全く、頼りにならねえなこいつ……。グライダー持ってんなら最初からそれ出してくれよ。なんで陸路で王都行ったことねえんだよ。あとなんでこいつ井の頭公園とか知ってんだよ。意味不明だわ。


 しかし高橋でも知らねえのか……。誰か道案内とかしてくれるやつがいたらいいんだけどな……。


 そんなことを思っていると、右側の道から誰かが歩いて来るのが見えた。長めの金髪をしていて、立派な服装に帯刀した男。貴族のような風貌だ。


 もしかして王都の貴族とかか? なら道を聞いても教えてくれるかもしれないな。


「よし高橋、あの人に道を聞いてみるぞ」


「分かりました。ですが玄司様、まずその前にダンボール箱のリサイクル経路について説明を」


「要らねえよそんなもん! なんで今このタイミングでそんなこと説明しようとするんだよ! いいから行くぞバカ!」


 高橋を引き連れて貴族風の男に近づく。向こうも俺たちに気づいたようで、男の方から話しかけてきた。


「やあ君たち。旅の人かな? もしかして道に迷っているとか?」


「おお、話が早いな。まさにその通りなんだよ。王都に通じる道がどっちか知ってるか?」


「もちろん知っているさ。今オデが歩いて来た道が、王都に通じる道さ」


「お前その見た目と話し方で一人称オデなのかよ! 人里に降りて来た巨人みたいな一人称だな!」


「玄司様、オデは王都ではよくある一人称ですよ。貴族の0.4割ほどが使っています」


「じゃああんまりねえじゃねえか! 何お前マイノリティをマジョリティみたいに言ってんだよ!」


 でも親切な貴族で助かったな。物腰も柔らかいし、いい人なんだろうな。よし、じゃあ王都に向かって右の道を進むことにしよう。


「フンシツ、右側の道らしいぞ! 今止まっちゃった分のタイムロスを少しでも挽回するために、スピードを上げて進もう」


「分かった新小岩! ちなみに距離で言うとあと何ヤードか分かる新小岩?」


「キロで言えよ分かりにくい! そんなこと気にしてても仕方ねえだろ。行くぞ!」


 右側の道に進み出した俺たちを、貴族風の男は笑顔で見送っている。本当にいいやつだな。見知らぬ人を助けて、それを笑顔で見送るなんて。親切な貴族もいたもんだ。


 ……にしてもやけに笑顔だな。なんか引っかかるぞ。おい、よく見たら優しい笑顔じゃなくて、にやついた口元を手で隠してんじゃねえか。なんだあいつ、まさか……。


「おいちょっと待てフンシツ! 何か怪しいぞ!」


「いきなりなんだ新小岩! 人身事故が起きたらどうするんだ新小岩!」


「語尾新小岩のやつがそんなこと気にすんなよ! 日常茶飯事だろ! いやそんなことはいいんだよ。あの貴族みたいなやつ、なんかおかしいぞ!」


「玄司様、おかしいのはあの男よりもフンシツの語尾じゃないですか?」


「それはそうだけど! 今そんな話してねえんだよ! とりあえず1回止まれ!」


 俺たちは1度進むのを止め、にやついていた貴族風の男のところへ詰め寄った。

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