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【完結保証】ボケルト異世界狂想曲〜手違いで死んだ俺は生き返るためにツッコミを入れる〜  作者: 仮面大将G
第三楽章 ズッコケ山のクレシェンド

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第80話 犯人登場

 ガサガサと音がした茂みの方を見ると、ちょうど雲から月が顔を出し、微かな明かりで茂みが照らされる。まるで犯人の登場を演出しているようだ。


「そして玄司様、あそこの星座はオムライスおにぎりなんですが」


「もういいわおにぎりの話! お前あの茂み動いてんの見えねえの!?」


「見えないです。それでオムライスおにぎり座は」


「なんでさらっとしてんの!? バカかお前! ちょ、ちゃんと見ろって!」


「何をですか? ああ、昨日から始まった朝ドラですか」


「違うわバカ! 何この世界朝ドラとかやってんの!?」


「そうなんですよ。今期は刑事ものなんですけどね」


「朝からそんなもんやんなよ! 見てるこっちがしんどいわ! いやお前バカ、そんなことはどうでもいいんだよ。茂みを見ろ茂みを」


「ああ、茂ってますね。それでオムライスおにぎり座についてなんですが」


「オムライスおにぎり座はもういいわ! なんでそこまでして語りたがんの!?」


 空を見上げる高橋は放っておいて、俺は茂みの方に改めて視線を向ける。ガサガサ、ガサガサとどんどん音は大きくなり、月明かりの下に人影が飛び出した。


「たっはー! マヨネーズの直飲みは最高でやんすねえー!」


「テンション高えなおい! なんだお前!?」


「あ、ついに見つかっちゃったでやんすかー! いやーやらかしたでやんすねえ!」


「やっぱあのマヨネーズ容器置いてたのお前か! ランオウだっけか? なんでお前あんな嫌がらせするんだよ!」


「嫌がらせ……? いやいや、何言ってるんでやんすか! あれは嫌がらせなんかじゃないでやんすよ!」


 嫌がらせじゃない……? じゃあ何なんだよ。空のマヨネーズ容器を置いておくのが嫌がらせじゃないなら、何が嫌がらせになるって言うんだ。いや他にもいっぱいありそうだけどさ。この国においては1番嫌がらせっぽいじゃん。マヨラー多いし。空の容器とか置いてたらブチ切れられそうだし。


「お前なあ、じゃあ何のつもりでマヨネーズ容器なんか置いてたんだよ?」


「何のつもりも何も無いでやんすよ。不法投棄でやんす」


「ゴミクズだった! なんだお前そのクソみたいな理由!」


「たっはー! 不法投棄していたこちら側がゴミクズとは、こりゃ1本取られたでやんすねえー! ボロボロの座布団1枚!」


「また不法投棄じゃねえか! そんな捨てる予定の座布団こっちに押し付けんな!」


 なんだこいつまじで……。ハイテンションゴミクズじゃねえか。でもただの不法投棄だったのか……。いや待てよ。ならなんでこいつは必ず俺たちの簡易宿の近くに不法投棄していくんだ? 別に高橋みたいに適当にゴミ捨てたっていいわけだしな。


「おいランオウ、お前はなんで俺たちの簡易宿の近くで不法投棄するんだよ?」


「え、そりゃだって、こんな立派な宿の近くにいる人なら、ちゃんとゴミ捨ててくれそうじゃないでやんすか。あっしだってちゃんと人は選んで不法投棄してるでやんすよ」


「最低のゴミクズだなお前は! なんの『ちゃんと』なんだよ! ちゃんとするなら自分で捨てろ!」


「そうは言われても、マヨネーズって直飲みすると酔うじゃないでやんすか?」


「知らねえよ直飲みしねえから! でも多分酔わねえわ! 気持ち悪くはなりそうだけど!」


「で、酔ってると記憶飛ぶんでやんすよ。意識が朦朧とする中で、ちゃんとしてる人がいそうなところに不法投棄してるって感じでやんす」


「意識朦朧としてても最低なのなお前!」


 俺がランオウと言い合っていると、高橋がぬっと前に出て来た。


「それで玄司様、あのオムライスおにぎりに使われているオムライスはスフレオムライスなんですが」


「まだその話してんのかよお前! どうやってスフレオムライスでおにぎり作るんだよ!」


「それはもちろん、こうガッと」


「適当だな! そんな感覚派のシェフが作ってんのあの星座!?」


「あれ、ランオウじゃないですか。昨日ぶりですね」


「おお高橋でやんすか! 一昨日ぶりでやんすね!」


「どっちなんだよ! はっきりしろよ!」


 ていうかそんな頻度で会ってんのかよこいつら。ほぼ毎晩じゃねえの? まあ高橋はすぐ布団からいなくなるから、全然会ってても不思議ではないけど。


 いや、会ってんなら注意しろよ不法投棄。何普通に仲良くなってんだよこいつら。


「おい高橋、ランオウに注意してくれよ。不法投棄は良くないぞって」


「分かりました。Lo scarico illegale non è una buona cosa」


「誰がイタリア語で言えって言ったんだよ! お前イタリア語もいけんの!?」


「Un hamburger di pesce può essere considerato uno spuntino?」


「Un hamburger di pesce non è uno snack, mentre un hamburger con pancetta e lattuga sì」


「イタリア語で会話すんのやめてもらえる!? お前どうすんだよこれ! 誰も分からねえだろ! なんて言ったんだよ!?」


「ああ、フィッシュバーガーはおやつに入りますかと聞かれたので、フィッシュバーガーは入りませんがベーコンレタスバーガーなら入りますと答えました」


「せめて関係ある話してもらえる!? なんでアメリカ人みたいな会話をイタリア語でしてんだよお前ら! 異世界でやっていい会話じゃねえだろ!」


 とりあえずランオウにはもうマヨネーズ容器を置かないように言い聞かせて帰した。役に立たなすぎた高橋を少し小突いてから宿に戻り、俺はまた目を閉じた。

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