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【完結保証】ボケルト異世界狂想曲〜手違いで死んだ俺は生き返るためにツッコミを入れる〜  作者: 仮面大将G
第三楽章 ズッコケ山のクレシェンド

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第75話 王都に向かう商人

「高橋、叫ぶぞ!」


「分かりました。今回の事件について謝罪は無いんですかー!」


「なんで記者の叫び方なんだよ! 誰が何やったんだよ!?」


「ああ、コボケ町のフクラミがパンにプラスチック片を混入させていたとか」


「リアルに謝罪案件じゃねえか! あいつ工場でパン作ってんの!? パン職人なのに!?」


 高橋の叫ぶ内容は意味不明だったが、御者は気づいてくれたようだ。馬車はスピードを落とし、ゆっくりと止まる。


 俺たちは馬車の前に回り込み、御者に声をかけた。


「おいお前! 財布落としてたみたいだぞ!」


「え!? まさか、拾って追いかけて来てくれたんだ新小岩!?」


「語尾新小岩なの!? 人身事故めっちゃ起きるとこ!?」


「ありがとう新小岩! 本当に助かった新小岩!」


「新小岩に感謝してるみたいだな! 誰が新小岩だよ!」


「玄司様、私は田無の方が好きです」


「だから何なんだよ! もうちょっとみんな知ってる駅好きであれば!?」


 御者は太った体を重そうに動かしながら、のそのそと馬を降りて来る。金で縁取られたピンクのベストに、同じくピンクのトルコ帽を被っている。なんだこいつ、商人とかか?


「いやあ、助かった新小岩! 僕は王都とコボケ町を跨いで商人をやってる者で、フンシツという新小岩! よろしく新小岩!」


「めちゃくちゃもの無くしそうな名前! そりゃ財布ぐらい落とすわな!」


「すみませんフンシツ、あまり聞き取れなかったので英語でお願いできますか?」


「なんでだよ! 名前聞き取れてるから多分全部聞き取れてるよ! 英語分かんねえだろこいつ!」


「I’m funshitsu新小岩」


「新小岩は漢字表記で残るのかよ! なんでお前英語知ってんの!?」


「商人たるもの、何ヶ国語か話せないと成り立たない新小岩! 僕も英語くらいできる新小岩!」


「なるほど、あなたの名前は新小岩というのですね」


「言わねえよ! 英語聞き取れてねえじゃねえかお前! さっき普通にフンシツって聞き取れてたのに!?」


 馬から降りて来たフンシツは、俺と高橋に向かって握手を求めてきた。2人いるから、もちろん両手だ。なんで同時なんだよ。片方ずつ握手したらいいだろ。


「本当にありがとう新小岩! あなたたちの名前も聞かせてもらえる新小岩?」


「新小岩気になるな! まあいいや、俺は城金玄司ってもんだ」


「シロカネゲン・ジ?」


「区切るとこ間違えすぎだろ! 今度は最後で区切るのかよ!」


「違いますよフンシツ。このお方はボケルト王国をツッコミで救う救世主、ジ・ロカネゲンジ様です」


「区切るとこお前も間違えてるし『ジ』じゃねえよ『シ』だよ! なんだ『ジ』って! ア〇フィーか!」


 高橋のアホな説明を聞いたフンシツは、俺の方を見て目を輝かせる。やっぱ救世主って聞くとそうなるのか。でもリアクションが驚きとかじゃないから、ある程度俺の噂も広まってるのかな。


「あ、あなたが救世主様なんだ新小岩!? 僕もずっと出会いたかったんだ新小岩! どうか、どうかサインを!」


「いやサインとか言われてもなあ……。俺別に芸能人とかじゃねえから、自分のサイン持ってねえよ」


「ああいや違う新小岩。僕のサインを受け取って欲しい新小岩」


「そっちなのかよ! なんで俺お前のファンみたいになってんの!? 要らねえよお前のサイン!?」


「え!? 僕のサインが要らないなんて、珍しい新小岩だ新小岩!」


「誰が新小岩だよ! もう語尾でもねえじゃねえか!」


「ところで玄司様、その財布は渡さないのですか? 渡さないのであればぜひ私にください。1.2倍にしてみせます」


「だからお前は人の金でギャンブルすんなって! あとそういう時はもっとデカい額言うんだよ! なんで微増なんだよ!」


「いやだって、調子に乗ると全部無くなっちゃうじゃないですか。微増くらいがちょうどいいんですよ」


「珍しいな慎重派のギャンブル狂! 悪い意味でもっと豪快だけどな普通!」


 高橋にギャンブルに突っ込まれる前に、俺は拾った財布をフンシツに手渡した。フンシツは財布を受け取ると大事そうに抱き締め、その後俺に頭を下げてきた。


「本当にありがとう新小岩! 救世主様がいなかったら、僕は無一文字になってたところだ新小岩!」


「なんだ無一文字って!? 財布あったらお前一文字なの!? 刀か!」


「玄司様、どちらかと言えば刀というよりサーベルなのでは?」


「なんで西洋剣なんだよ! お前一文字って名前付いてるサーベル聞いたことあんの!?」


「10年に1回ぐらいしか聞かないですね」


「美少女みたいな頻度! 割とあんのかよ!」


 しかしこのフンシツ、どうも放っておけない感じがするんだよな……。なんか危なっかしいというか、名前の通り色んなもの無くしそうな感じがする。

 王都目指してるって話だったし、俺もこいつに着いて行ってやろうかな。


「なあフンシツ、提案なんだが……」


「なんだ新小岩? まさかタルタルソースをくれるとか新小岩?」


「違うわバカ! 何お前もタルタルソース派なの!? 高橋と同じじゃねえか!」


「玄司様、私は最近塩派寄りです」


「そうだったんだ知らなかったわ! ウマシカの影響受けすぎだろ! いやそれはどうでもいいわバカ! 俺の提案ってのは、俺たちもフンシツと一緒に旅するのはどうだってことだよ!」


「救世主様が僕と……? なんでそんなことを新小岩?」


「いやだって、お前なんでも無くしそうじゃねえか。現にさっきも財布落としてたし。危なっかしくて見てられねえんだよ。商人なんだろお前? なら物盗まれたら困るだろ。お前が何も無くさないように、俺たちが一緒にいてやるよ」


「いいのか新小岩!? ならぜひお願いしたい新小岩! なら友好の証にこれを……ああ無くした新小岩!」


「早速かよ! 何無くしたんだよ今度は!?」


「友達になった人にいつも渡している練り消しがあるんだ新小岩。どこかに行ってしまった新小岩!」


「めちゃくちゃどうでもいいな! 小学生みたいなもん渡すなよ!」


 その後フンシツが見つけ出してきた練り消しをぶん投げ、俺たちはフンシツと共にハイキングコースを歩き始めた。

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