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【完結保証】ボケルト異世界狂想曲〜手違いで死んだ俺は生き返るためにツッコミを入れる〜  作者: 仮面大将G
第三楽章 ズッコケ山のクレシェンド

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第74話 落としもの

「しかし玄司様、めちゃくちゃボウリング上手かったですね」


「もうボウリングの話はいいわ! 何話やるんだよボウリングで!」


「いやいや、だって玄司様が私のマイボールでさらっとストライクを取ったのは衝撃でしたよ。消費税が10パーセントに上がった時ぐらい衝撃でした」


「なんでお前がそんなこと知ってんだよ! 日本の税率の変遷まで知ってんの!?」


「あと鬼にだけかかる鬼税っていうのがあるんですよね。それがネックで私日本に引っ越せないんですよね」


「ごめんそれ俺の知らねえ日本だわ! 何鬼税って!?」


 ウマシカの背に乗った俺たちは、いつも通りアホなことを話しながら進んでいる。ウマシカのペースはゆっくりだが、自分の足でこの山を越えようとしてたらもっと大変だっただろうから、ありがたいことだ。


 それにカリヤドの存在。数日間野宿でなんとかしてきていたが、交代制で見張りをしていたり、地面に直接寝ていたこともあり、かなり体は限界だった。

 そんな中でカリヤドが現れて簡易宿を提供してくれたことで、しっかり休めて体も万全。これもまたありがたい。


 そのカリヤドは宿泊客を探して山中を駆け回っているようで、俺たちが寝る時間になったらまた現れると言って去って行った。そんなスピードで動けるんだなあいつ……。まあ確かに、こんなに山越えに時間がかかるなら、あいつの商売はめちゃくちゃ繁盛するんだろうな。いいところに目を付けたもんだ。


 1人でカリヤドの商売に感心していると、高橋が前に拳を突き出した。


「玄司様、あれを見てください」


「なんで拳なんだよ! どれかの指は立ててくれねえと何を指してるのか分かんねえわ!」


「ああすみません。では足の親指を立てますね」


「手でやってもらえる!? なんで俺お前の足見なきゃいけねえんだよ!」


「では右手の薬指を立てますね」


「そんな難しいことしないで人差し指立てたらいいだろ! 知ってるお前人差し指の存在!?」


「墨を磨るやつですよね」


「それは硯だろ! 何度も言うけどお前もうちょっと語感近いもんと間違えろよ!」


 結局高橋が薬指で指した方を見ると、何か四角いものが落ちている。あれは……財布か? 誰か落としたんだろうか。


 財布よりも先の方に目を凝らしてみると、馬車のようなものが見える。あの馬車の人が財布落としたのか。ちょっと拾って確かめに行ってみるか。


「高橋、あの財布拾ってみるぞ」


「もちろんですよ玄司様。あの財布を拾って、パチンコに持って行くんですよね」


「最低か! なんでお前人の金すぐギャンブルに放り込めんの!?」


「あれ違いました? あ、玄司様は競輪派でしたっけ?」


「ギャンブルの種類に文句言ってんじゃねえよ! 人の金でギャンブルすんなって言ってんの! お前の倫理観どうなってんだよ!」


「倫理観というとあれですよね、60分を3回繰り返すことですよね」


「それは3時間だろ! 語感は近いけど間違え方が無理やりすぎるわ! おいもういいからさっさと拾うぞ」


 俺はウマシカの背中から降り、財布まで駆け寄って拾う。そして前を行く馬車に向かって走り出した。

 早く届けてやらないと、困るのはあの人たちだからな。ギャンブルとか言ってる場合じゃねえわ。


 走る俺の横に、高橋が並んで来る。どうしたんだこいつ? 改心して一緒に財布届ける気になったか?


「玄司様! パスパス! こっちマーク無いですよ!」


「バスケか! 人の財布で遊ぼうとすんな!」


「でも玄司様、そのまま走ってるとトラベリングになりますよ?」


「ならねえよバスケじゃねえから! これボールじゃなくて財布だからな!? お前バスケットウォレット見たことあんの!?」


「玄司様、それはどちらかと言えばウォレットではなくてパースでは?」


「知らねえよ細けえな! パースとウォレットの違い何だよ!?」


「ウォレットは一般的に財布のことを指し、パースはアメリカ英語では女性用のハンドバッグ、イギリス英語では小銭入れや女性用の財布を指しますよ」


「じゃあこれウォレットじゃねえか! どう見ても男物だし! んなことはどうでもいいんだよ! さっさと届けるぞ!」


「ですが玄司様、どうしても伝えないといけないことがあるんです」


「なんだよ!? ってうわっ!」


 高橋の方を見ながら走っていた俺は、小石につまづいて転んでしまった。いってえな……。高橋のせいで転んだじゃねえか。何やってくれてんだよこいつ。


「玄司様、伝えないといけないことというのは……」


「だからなんだよ!? いいからさっさと言ってもらえる!?」


「玄司様の目の前に小石がありますよと言いたかったんです」


「早く言えよ! お前がもったいぶってたせいで転んだだろうが! ほんとお前いい加減にしとけよ!?」


 土を払って立ち上がった俺は、再び前を行く馬車に向かって走り出した。高橋のせいでちょっと距離離れちゃったじゃねえか。小石があるならさっさと言えよ本当に……。


 なんだかんだ言ううちに、馬車との距離が縮まってくる。なんかこの馬車えらく遅いな。何か貴重品とか積んでるんだろうか。


 馬車の後ろまで来た俺たちは、とりあえず御者に気づいてもらうために大声を上げることにした。

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