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【完結保証】ボケルト異世界狂想曲〜手違いで死んだ俺は生き返るためにツッコミを入れる〜  作者: 仮面大将G
第三楽章 ズッコケ山のクレシェンド

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第64話 夢の中で

 ん? 何か物音がしたような……。でも今起きたくねえな。高橋が起こしに来るまで、しっかり睡眠は取っておこう。高橋も何も言ってないんだから、特に緊急事態とかじゃ無さそうだしな。どうせ何か荷物でも出したんだろう。


 眠気に身を任せていると、少しずつ俺は夢の中へと引き込まれていく。こんな外でも意外と眠れるもんなんだな。俺の神経が図太いんだろうか。


 気がつくと、俺の目の前にはピアノがあった。吸い寄せられるようにピアノの前に座り、演奏を始める。しばらくピアノに触っていなかったのに、指が動きを覚えていて、勝手に曲が奏でられていく。

 ああ、やっぱり俺はピアノを弾くのが好きなんだな。この鍵盤から奏でられる音色を聞いているだけで、心が落ち着くのを感じる。


 そんな音色に耳を傾けながら一心不乱に指を動かしていると、低く重厚な声が響いてきた。


『城金玄司よ。そなたに尋ねたいことがある』


「おお神様か。久しぶりだなおい。お前ずっと何してたんだよ。俺割とピンチな時もあったぞ?」


『私はいつでもそなたに干渉できるわけではないのだ。営業時間内でないと』


「ああ神ってちゃんと労働基準法に則ってるんだ!? まあ神も休む時欲しいもんな!?」


『その通りだ。私の営業時間は、大体土日の朝9時から15時までだ』


「バイトか! 何お前昼のピーク過ぎて片付けして帰ってんだよ! ファミレスみたいな働き方すんなよ!」


『グリストの掃除は大体私の仕事だ』


「知らねえよ! 嫌な仕事押し付けられてんじゃねえか! 何お前割と立場弱いバイトなの!?」


 相変わらず適当だなこの神は……。なんだ神のシフトって。神なんだからもうちょっと営業してろよ。何グリスト掃除してんだよ。神ってそんな汚い仕事やるんだ。


『それより城金玄司よ、そなたに尋ねたいことがあるのだ』


「ああそうだったな。何が聞きたいんだよ?」


『今度友神が紹介してくれた女神とデートなのだが、どのような服を着ていけばいいと思う?』


「知らねえよ! てめえで考えろ! なんだそのクソどうでもいい質問は!?」


『私には他に頼る相手がいないのだ。恋愛経験も無いし、どうすればいいか知りたい。その一心で、そなたにコンタクトを取ったのだ』


「だから知らねえって! そもそも神が服装とか気にすんの!? あとさっきスルーしてたけど友神って何!?」


『友達の神のことだ』


「それは字面で分かるけども! 読み方が友人と一緒だから分かりづらいんだよ!」


『それは良いではないか。とりあえず、今流行っている服装を知りたい。神が着ていてもおかしくない服装で頼むぞ。ジップパーカーとか』


「ラフすぎるわ! お前ジップパーカー着てる神見たことあんの!?」


『ゼウスあたりがよく着ているぞ』


「まじで言ってんの!? 全能の神がジップパーカー着てんの!?」


『そうだ。下はデニム、インナーはタンクトップで、大きくジップを開けて着ているぞ』


「チャラいなゼウス! 確かになんか浮気してるみたいな神話あった気がするけど! そういう感じで女にだらしないんだ!」


 ずっと何の話なんだよこれは……。知りたくなかった神の事情知っちゃったよ。めちゃくちゃどうでもいいけど。そんなこと聞くためにわざわざ俺に干渉してきたのこいつ? バカじゃねえの?


『それで、そなたのオススメの服は何だ?』


「それ本当に知りたい!? 俺別に服に興味ねえからあんま分かんねえぞ!?」


『そうなのか……。だが私には他に頼る相手がいない。そなたが最後の希望なのだ』


「俺に頼る前に友達作れよ! お前に女神紹介したやつとか何してんだよ!」


『その友神はシラミの神だ。私とは着られる服の種類が違いすぎる』


「ああそれは違いすぎるわ確かに! なんでお前シラミに女紹介してもらってんの!?」


『一応シラミスウェットとかいうシラミが大きくプリントされたスウェットを勧められたが、流石にそれは……』


「うんそれはそうだな! 流石にそれは……ってなるよな! ていうかそもそも俺お前の姿見たことねえから何もアドバイスとかできねえんだけど!?」


『そう言えばそうであったな。靴べらを想像してもらえれば大体同じだ』


「そんな見た目なんだ!? え、俺靴べらと喋ってたのずっと!? なんで靴べらが生きものの生死を管理してるんだよ!」


『私は靴べらそのものではない。靴べらにそっくりなだけだ。以前靴べらのそっくりさんとしてモノマネ神番組に出演した時、圧倒的票数で2位になったことがある』


「1位の言い方じゃねえか! なんでその言い方で2位なんだよ!?」


『そんなことはどうでもいいのだ。本題は私がデートに着ていく服だ』


「そっちの方がどうでもいいわ! スニーカーでも履いてろバカ!」


『だが私はどちらかと言えばバレエシューズ派なのだ』


「知らねえよ勝手にしろ! もうお前人の夢に入ってきて邪魔するのやめられる!?」


 ずっとどうでもいいなこいつの話。まじでなんでこのタイミングでわざわざ俺に接触してきたんだよ。俺じゃない誰かに聞けよそんなこと。


『それより城金玄司よ、そなたたちのことを着けている誰かがいるようだぞ。今そなたが目を覚ますと、見覚えの無いものが置いてあるはずだ』


「はあ? 見覚えの無いもの? なんだよそれ?」


『そこまでは分からぬ。が、この夢から覚めた時、必ずそなたの身の回りを確認した方が良い。店員さんにもらったプラスチックのスプーンとか落としてたら困るであろう』


「割とそれどうでもいいわ! もっと大事なもんあるだろ絶対!」


『では、そなたを夢から覚ますぞ。必ず身の回りを確認するが良い』


「おいちょっと待てよお前、人の眠りを邪魔するんじゃ……」


 その瞬間、俺は目を覚ました。まじで起こしたのかよあいつ……。高橋の見張り番はまだ終わってないし、もうちょっと寝てたかったな。

 そういやあの神様、なんか身の回りを確認しろって言ってたな。一応見てみるか。


 眠い目を擦りながら辺りを見渡すと、焚き火の傍に何か手の平より少し大きいくらいのものが置いてあるのが見えた。なんだあれ……?

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