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【完結保証】ボケルト異世界狂想曲〜手違いで死んだ俺は生き返るためにツッコミを入れる〜  作者: 仮面大将G
第二楽章 コボケ町のリタルダンド

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第57話 ナゾカケを盛り上げよう

「お題ください」


 その声に振り向くと、見慣れた赤いジャケットが目に入る。今まではこいつの顔とジャケットを見ると足が竦んでいたが、もう怖くはない。ナゾカケには、俺は必要無いんだ。


 俺はベンチに座っていたコヅツミと高橋を呼び、更に周りにいたボケルト人たちを呼んだ。


「みんなー! ナゾカケの即興謎かけが始まるぞー! 集まれー!」


「玄司様、そんな呼び方をしてもボケルト人は集まりませんよ。ちゃんと指笛で呼ばないと」


「アメリカのタクシーか! そんな呼び方で来ねえだろ人!」


「でも私たち、何故か指笛に反応しちゃうのよね。指笛が聞こえてきたら、ああ行かなきゃって遺伝子レベルで条件反射が組み込まれているみたい」


「何お前ら全員前世がアメリカのタクシードライバーなの!?」


「玄司様、私はダンジョンに潜ってヒーラーやってましたよ」


「そうだったなお前は! じゃあなんで指笛に反応するんだよ!」


「何言ってるんですか玄司様。私は指笛には反応しませんよ。私が反応するのは酸性の液体を垂らされた時です」


「え、お前リトマス紙!?」


 納得できないまま高橋と言い合いを続けていると、コヅツミが指笛を鳴らした。するとボケルト人たちは瞬く間にナゾカケの周りに集まり、綺麗に整列して敬礼のポーズを取る。


「大丈夫ボケルト人!? 変な訓練されてない!?」

 

「何か危機が訪れた時のために、一応みんなシステマは習得してます」


「ガチのやつじゃねえか! そんな危ない国なのボケルト王国!?」


「まあなんかたまにウクライナと揉めてはいますね」


「ロシア側の国なんだ!? お前大丈夫そんここと言って!?」


 人が集まってきたので、俺はナゾカケの横に立ち、エアーでマイクを持って司会進行役になり切った。


「それじゃみんな、今からここにいるナゾカケが、みんなが出してくれたお題で即興謎かけをします! ナゾカケにお題を出したい人ー?」


「玄司様、私からいいですか?」


「なんでお前なんだよ! 黙ってろよお前は!」


「でも私もお題を出してみたかったんですよ。ナゾカケとは互角に謎かけで戦った相手ですからね」


「お前のコールド負けだったけど!? あのマヨネーズ謎かけで互角だと思ってたの!?」


「じゃあお題いきますね。能面でどうでしょう」


「お題クセ強いな! なんでお前が能面とか知ってんだよ!」


「整理整頓しました」


「整えろって!」


 しかしナゾカケのこのスピード感はすごいな。こんなに一瞬で謎かけを思いつけるのは、そりゃ誰かに披露したいだろう。こいつはこいつで、ずっとみんなに認めてもらいたかっただけなんだな。


「能面とかけまして、元彼と別れたばかりの女性にあげるプレゼントと解きます。その心は、どちらも被ると怖いでしょう」


「WOOOOOOO!!」


「Amazing!!」


「You’re a genius!」


「アメリカ人のリアクション! こんな日本っぽいことやってんだからもっと和風のリアクションしろよ!」


「玄司様、私和風のリアクションできますよ。いきますね。かたじけない……」


「何されたんだよ! 謎かけに『かたじけない……』って言うやついる!? あとなんでお前が和風とか分かるんだよ!」


「それは私、しゃぶしゃぶチェーン店で和風出汁として働いてたことがありますからね」


「出汁として!? 液体だったのお前!? どうやって今の形になったんだよ!」


「ああ、今はフリーズドライです」


「そうだったの!? お前スープか何か!?」


「そうですよ。隠してたんですけど、実は私氷魔法使えますから」


「急にファンタジー出してくんなよ! 今までボケとツッコミでやってきただろ! どんな呪文でやってんだよ!?」


「聞きます? 『あなたの口座で不正な取引が確認されました』です」


「それ凍結されてんの銀行口座じゃねえ!?」


 俺と高橋のやり取りを聞いていた観客も、一言一言に笑ってくれる。なんだ、簡単なことだったんだ。ナゾカケには無理にツッコミを入れなくてもいい。その代わりに、俺と高橋でナゾカケの芸を盛り上げる。それだけで、ボケルト人たちにナゾカケは受け入れられたんだ。


 なんで俺はナゾカケに敵意や恐怖を持ってたんだろうな。別にナゾカケは敵じゃない。ただ、ボケルト人の中でもちょっと尖った才能を持ってただけのやつなんだ。

 それさえ受け入れたら、ナゾカケを人気者にしてやれる。俺の役目は、ナゾカケにとってはそこだったんだな。


 観客の笑い声を聞きながら高橋と会話し、ナゾカケにお題を振る。そんなことを繰り返していると、どんどん人が集まって来た。これで一躍ナゾカケは人気者。


 盛り上がるステージからこっそり降りて、俺と高橋はナゾカケを1人にした。


「良かったんですか玄司様。あのままナゾカケと成立しなくて」


「うんだから恋愛リアリティショーじゃねえのよ! しつけえなそのノリ! あと成立するにしてもせめて女性とさせてもらえる!?」


「ナゾ玄カップルを待ち望んでる人もいたと思いますよ」


「知らねえよなんだナゾ玄カップルって! 老舗の居酒屋か!」


「海鮮が美味い居酒屋ですよね。流木とか」


「お前流木のこと海鮮だと思ってんの!? 確かに海にあるけど! どうやってメニューにすんだよそんなもん!」


「そりゃもう、流木の丸揚げです」


「なんでお前なんでも丸揚げにしちゃうの!? 油に入れりゃいいってもんじゃねえだろ!」


 小さく聞こえる歓声を背に歩いていると、慌てた様子のフクラミがこちらに走って来るのが見えた。

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― 新着の感想 ―
アメリカのタクシードライバーにリトマス紙…本当…お腹痛いってぇww
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