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【完結保証】ボケルト異世界狂想曲〜手違いで死んだ俺は生き返るためにツッコミを入れる〜  作者: 仮面大将G
第四楽章 王都オオボケのコーダ

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第111話 鶴の一声

 ヘッポコを先頭にうどん屋に入って来た兵隊たちは、俺と高橋を見つけると一斉に槍を構える。

 

 おいおい、うどん屋でそんなことすんなよ。周りの人たちみんなびっくりしてんだろうが。

 先頭に立つヘッポコがずいっと前に出る。


「貴様! また懲りもせず姿を見せたか! 何故王城の食料庫を狙う!」


「別に食料庫は狙ってねえよ! いつそんな発言した俺!?」


「玄司様、私が以前王城に侵入してマヨネーズを大量に盗んだからです」


「お前また余計なことしてんじゃねえか! 何やってんのお前ほんと!?」


「これ以上王城にあるマヨネーズは渡さん! そろそろ備蓄マヨネーズが無くなってきているのだ!」


「お前らはお前らでなんでマヨネーズ備蓄してんの!? 都度買えよめんどくさい!」


「本当にそうですよね。あんな分かりやすく備蓄マヨネーズを置いておくから盗まれるんです」


「盗んだ本人は言うなそんなこと!」


 なんで俺たちは槍向けられてマヨネーズの話してんの? 意味分からなすぎて脳がバグるわ。え、ツッコミが禁止されてるから俺が追いかけられてるって話じゃなかった?


「自称救世主の城金玄司、そしてマヨネーズ泥棒の高橋、とっ捕まえて王城の牢屋にぶち込んでくれる!」


「ヘッポコ、私はマヨネーズ泥棒ではありません。マヨネーズ大泥棒です」


「どっちだっていいわ! その方向にグレードアップしてどうすんだよ!」


 兵隊たちは槍を向けたまま、じりじりとこちらに近づいて来る。どうすりゃいいんだこれ……。俺たちは戦える武器なんて持ってねえし、さっきの騒音公害はもう使えない。高橋がマヨネーズを摂取しちゃったからな。

 絶体絶命。牢屋行きは確定か……?


「少し待ちたまえ、ヘッポコくん」


「あなたは宮廷画家のシキサイ……? 何故あなたがここに?」


「見れば分かるだろう。うどんをデッサンしている」


「聞いても分かんねえわその説明だと! なんでうどんデッサンしてんのお前ほんと!?」


「ああなるほど、確かに毎日うどんをデッサンしているな……」


「そうなんだ!? 毎日!? もうちょっと頻度落としたら!? うどん屋の回転率に影響与えてそうだけど!?」


 シキサイはキャンバスを置いて立ち上がり、兵隊たちの方にゆっくりと歩いて行く。なんでこいつは俺たちを庇うんだ……? かけうどん持って来たぐらいしか絡んでないはずなんだが……。


「この者たちは、王様を救おうとしているのだよ。君たちにはそれが分からないのかね? 偏差値20かね?」


「余計な罵倒が入った! 要らねえこと言うなよお前!」


「救おうとしている……? しかしシキサイ、この者たちは王様の禁止したツッコミを……!」


「その通りだよ。この者たちは、今は王様に背いている。だが、その行動の意味を考えたことはあるかね?」


「行動の、意味……?」


 そうだよシキサイ。良いこと言うじゃねえか。俺たちはこの国を救おうとして動いてるんだ。王様も含めてな。結果的に王様に背いているように見えるけど、俺たちはただこの国に笑いを取り戻したいだけだ。


「この者たちが今王様に背いているのは、王様を倒し、自分たちが新たな王になろうとしているからだ」


「違うわバカ! 誰がボケルト王国の王様になりてえんだよ! お前変なこと言うのやめてほんと!?」


「貴様! 王様を倒すだと!? 絶対に許さん!」


「ほらこうなっちゃうじゃんこうなっちゃうじゃん! バカなのお前本当に!? 俺たちの話聞いてた!?」


「ああすまない。間違えてしまった。この者たちは、王様を救おうとしているんだよ」


 シキサイの言葉を聞いて、兵隊たちは立ち止まる。ゆっくりと槍を下ろしたヘッポコは、シキサイから俺たちの方に視線を戻した。


「貴様ら、王様を救おうとしているというのは本当か?」


「だからそうだって言ってんだろ! 何聞いてたんだよお前ら!」


「正直なことを言うと、我々も困ってはいる……。食料に限りがあるから、まともな食事を摂れていない。それに、ボケても何も返って来ない。こんな苦しい生活には、本当のところ嫌気が差していたのだ」


 ヘッポコがそう言うと、兵隊たちは口々に不満を漏らし始めた。


「俺も全然まともに食べられてないんですよ……。じゃがいもとサーロインステーキばっかりで……」


「俺も、最近食べたものと言えばサーロインステーキしか……」


「俺もサーロインステーキ……」


「サーロインステーキ……」


「みんなサーロインステーキ食ってんじゃねえか! 十分いい食事してるわお前ら!」


 ヘッポコは俺たちの方に歩み寄り、俺に向かって頭を下げた。


「救世主殿、王様を、そしてこの国とマヨネーズを、救ってはくれないか?」


「マヨネーズは知らねえわ! そこまで俺に義務ある!?」


「玄司様、マヨネーズを救うこともボケルト王国を救うことと同義ですよ」


「大丈夫今お前ボケルト王国イコールマヨネーズって言ったぞ!?」


「え、そうですけど。それが何か?」


「問題大ありだろ! 国をマヨネーズにすんな!」


 俺と高橋のやり取りを見ていた兵隊たちは、感嘆の声を上げ始める。


「これがツッコミ……! ボケて何かが返って来るというのは、こんなにも気持ちのいいものなのか……」


「俺も! 俺もツッコまれたい!」


「俺も俺も!」


「コインランドリーも!」


「今シジボウが混ざってなかった!? オトボケ村の教師の! コインランドリーが一人称なのあいつだけだろ!」


 まあとりあえず兵隊たちはシキサイのおかげで味方に付いたってことで良さそうだな。なんとかして王様を満足させて、この国を救ってやろう。

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