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第3話 ハヤトおにぃ、ミナの過去に心バグる

孤児院の夜は、ガキ共の「寝たくねえ!」という叫び声が静まった後、星空がキラキラと広がる。ハヤトは屋上の柵にもたれ、缶ジュースをグビッと飲みながら、昨日の「夏のガキ祭り」のカオスを反芻。


(ったく、ミナのあの浴衣姿と花火の寄りかかり…まだ頭ぐるぐるすんだよ。コイツの笑顔、ほんと反則だろ…! いや、ただの義妹だ! 俺がこんな動揺すんのは、アイツがめんどくさいからだ! うん、絶対それだけ!)


そこに、ミナがパジャマ姿で屋上にひょっこり。


「ハヤトおにぃ! こんな夜中に何してるの?」とニコニコ。髪を下ろしたミナのサラサラヘアが星明かりでキラッ、パジャマの裾がヒラッと揺れる。ミナがハヤトの隣にチョコンと座り、肩がスッと触れる。距離、近すぎ! ミナのほのかなシャンプーの匂いがハヤトの鼻を直撃。


( くそっ、パジャマ姿がこんな可愛いとかありかよ! 星空とコイツの笑顔、凶器すぎる! 俺のHP、開始1分で7割減!)


「ハヤトおにぃ、星見てたらさ、昔のこと思い出さない?」               


ミナがキラキラした目でハヤトを見上げる。ハヤト、心臓ドッカーン!


( コイツ、急に何!? 昔のこととか、思い出したら俺の心、完全にバグるだろ! 落ち着け、俺!)


3年前、雨の夜。10歳のミナが叔母の家から逃げ出し、孤児院の門にたどり着いた。両親を事故で亡くしたミナは、叔母に引き取られたが、冷たい言葉と無視で心を閉ざしていた。「役立たず」「お前のせいで家がめちゃくちゃ」と叔母に毎日責められ、ミナは笑顔を忘れかけていた。それでも、ミナは心のどこかで「誰かに必要とされたい」と願っていた。


孤児院に着いた夜、ミナはボロボロの服で震えながら、13歳のハヤトにバッタリ。「お、お前、なんだ!?」と驚くハヤトに、ミナはガタガタ震えながら「わたしっ! ミナです! よろしくね!」と大声で叫んだ。その笑顔は、怯えと強がりが混ざった、まるで雨に濡れた小さな星のよう。ハヤトは、親に捨てられ孤児院に来た自分の過去を思い出し、胸がギュッと締め付けられた。


(コイツ…こんなボロボロなのに、なんで笑うんだよ…。この笑顔、なんか放っとけねえ…。)


翌日、ガキ共が「新入り!」とミナをイジりそうになるが、ハヤトが「触んな、クソガキ共!」と一喝。ミナが「ハヤトおにぃ、かっこいい!」とニコッと笑い、以来、「ハヤトおにぃ」呼びが定着。ミナは孤児院で少しずつ笑顔を取り戻し、誰にでも無垢に接する性格が花開いた。でも、その無自覚な笑顔—ハヤトの服の裾をギュッとつかむ、隣で無防備に寝ちゃう、ニコニコで抱きつく—が、ハヤトの心を毎日クリティカルヒット。ハヤトは「めんどくせえ」とブツブツ言いながら、ミナの笑顔が消えないよう、いつもそばで見守るようになった。


(コイツの笑顔、なんか特別だ…。あの雨の夜の星みたいな光、俺が守らねえと消えちまう気がするんだよ…)


ミナがハヤトの袖をギュッとつかんで、


「ハヤトおにぃ、わたし、昔すっごく怖かったんだ。叔母さんに『いらない子』って言われて、誰もわたしのこと見てくれないって思ってた。でも、ハヤトおにぃが『触んな!』って守ってくれて、初めて『ここにいていいんだ』って思えたの」

とポツリ。星空の下、ミナの目がキラッと潤む。ハヤト、顔真っ赤で「バ、バカ、急にそんな話すんな!」とそっぽ向く。


(コイツ…なんでそんなこと言うんだよ! あの笑顔、3年前の星と同じだ…。くそっ、俺の心、グチャグチャだ!)


ミナがハヤトの腕にコテンと寄りかかり、「ハヤトおにぃがいてくれるから、わたし、いつも笑えるんだよ」とニコッ。パジャマの袖がハヤトの手にスリスリ、ミナの髪が風でサラッとハヤトの頬に触れる。ハヤト、完全フリーズ。 


( コイツの笑顔、近すぎ! この感触、柔らかすぎ! 俺のHP、ゼロどころかマイナス1兆! ただの義妹なのに、なんでこんな…!)


そこに、コウジがタケルとリョウを連れて屋上に乱入!「おお、ミナ! 夜の屋上、めっちゃロマンチック! 俺も星見るぜ!」とドヤ顔でミナに近づく。コウジの目は片思い全開、チラッとハヤトを「負けねえぞ!」と挑発。タケルが「コウジ、モテ期まだ諦めてねえ!」「ハヤト、ヤバいぞ!」とゲラゲラ。


( コウジのやつ…! 夜の屋上でミナに絡む気か!? 祭りのペア事件から調子乗りすぎ! 絶対、変なことさせねえ!)


「おい、コウジ! ガキは寝る時間だ!」


ハヤトが立ち上がり、コウジをガン飛ばす。コウジ、ビビりつつ「なんだよ、ハヤト! ミナと星見るくらいいいだろ!」とムキに。ミナが「コウジ君、星きれいだよね! でも、ハヤトおにぃと一緒がやっぱり落ち着くの!」と無自覚に爆弾発言。コウジ、「うぐっ!」と胸を押さえてよろけ、タケルとリョウが「コウジ、秒殺!」「ミナ、ハヤト一択!」と大爆笑。


ミナがハヤトの手をギュッと握り、「ハヤトおにぃ、星のシール貼ってあげる! これで一緒に星見る約束ね!」とパジャマのポケットからキラキラシールをハヤトの手にペタッ。ハヤト、顔真っ赤で「お、おい、子供っぽいことすんな!」と叫ぶけど、ミナのニコニコ顔にノックアウト。


( コイツの手、ちっちゃいのにこんな力強い…! シールとか、なんでこんな可愛いんだよ! 俺の心、完全にクラッシュ!)


ガキ共が「ハヤト、彼女かよ!」「ミナ、星のシール攻撃強すぎ!」と大合唱。コウジが「次は俺がミナと星見るからな!」と叫ぶけど、リョウに「コウジ、祭りのパンツ事件まだネタになってるぞ!」とツッコまれて撃沈。ミナが「ハヤトおにぃ、明日も屋上来てね!」とニコッ。ハヤト、「明日!? ふざけんな!」と吠えるけど、内心はミナの星のような笑顔に撃沈。屋上の夜は、ミナのきゅん攻撃とハヤトのHPゼロでキラキラと幕を閉じる。


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